ここが知りたい! 高齢者診療のエビデンス 高齢者は複数の疾患,加齢に伴うさまざまな身体的・精神的症状を有するため,治療ガイドラインをそのまま適応することは患者の不利益になりかねません。併存疾患や余命,ADL,価値観などを考慮した治療ゴールを設定し,治療方針を決めていくことが重要です。本連載では,より良い治療を提供するために“高齢者診療のエビデンス”を検証し,各疾患へのアプローチを紹介します(老年医学のエキスパートたちによる,リレー連載の形でお届けします)。 [第11回]「終末期」と見なす適切な時期とは? 関口 健二(信州大学医学部附属病院/市立大町総合病院 総合診療科) (前回よりつづく) 症例 COPDで6年前から在宅酸素療法を行っている86歳女性。昨年1年間で3回の入院歴があり,退院後も体調が優れず,トイレの行き来でさえ息切れを覚えるようになった。体重はこの4 ヶ月間で3 kg減り