政治体制としての権威主義(authoritarianism)の特性は、個人、あるいは少数の特権的な集団が政権を独占し、あらゆる政策決定から国民の大多数を排除できることです。 そのため、権威主義国の指導者は戦争を遂行する費用、犠牲、損失を国民の大多数に押し付けておき、戦果として獲得した動産、不動産を政権に欠かせない特権的集団に優先的に配分することが可能です。 ただし、これらの考察が妥当なのは、民主化を要求する一部の国民を抑圧し、あるいは懐柔できる場合に限定されています。軍隊に動員された国民は、政治参加の意識を強める傾向があるので、指導者は彼らの政治行動が政権批判や反体制運動へ向かうことがないように指導者は注意を払う必要があります。 エドワード・マンスフィールドとジャック・スナイダーは『戦うための選挙(Electing to Fight)』(2005)で、この問題を取り上げたことがあり、軍事力