戦国時代をはじめとして、またも歴史ブームが再燃している。さて、そうした知識を得たいときに、足を運ぶ場所とはどこだろう。そのひとつに、図書館があることは間違いない。 そして実は図書館史こそ、歴史好きのハートを揺さぶる面白さに満ちている。 昨年、『図書館の日本史』(勉誠出版)という労著を上梓した新藤透・文学部准教授は、日本の古代から現代までを見渡し、「図書館」の潮流に連なる事例を渉猟、ひとつの通史としての図書館史を書き上げた。インタビューの前編ではまず、なぜ図書館史なのか、さらにはその魅力を存分に語ってもらった。 従来の図書館史研究でイメージされている図書館というものは、一言でいえば建物のことでした。図書館の前身とされている「文庫」という建物がまずあって、その制度や組織を中心に研究が進められてきたのです。図書館という存在だけを時代からスポッと取り出して、時系列で並べていく、という向きが強かった