歌人 水原紫苑 短歌といえば古い古いものと思われるでしょうが、今若者にも短歌が人気です。 私は先日、東大の短歌会にゲストで参加させていただいて、とても楽しく過ごしてきました。 短歌には、五七五七七の31音という以外に何の決まりも無く、額田王にも柿本人麻呂にも、与謝野晶子にも斎藤茂吉にも出会うことができる、というのが、魔法の形式のような短歌の魅力ではないでしょうか。 この朝に買った自転車が差すほうに向かえばそれが外国だから 平岡直子 「町」という同人誌に所属する作者です。物心ついた時に短歌に出会ったそうですが、どんな出会い方だったのでしょうか。引用の1首は、外国にさえかるがると行かれる無限の未来の光と、また裏腹に、どこまで行っても外国ではない島国の影とから成り立っています。しかし、若い作者にとっては、すべてが未知の地すなわち外国なのか