検索エンジンで世界を制覇した米グーグルは今,位置情報や医療情報など個人にヒモ付く情報の蓄積にも乗り出している。国内でも,個人の行動情報「ライフログ」活用のニーズはあるものの,ゆっくりとしか進まないプライバシ保護の基盤整備や日本の法律運用が足かせとなり,サービス事業者は実用化へ向けて足踏みしている状況だ。ライフログの利活用という新しいビジネスでも米国のIT企業の勢いに圧倒される可能性が高まっている。ライフログ・ビジネスのイノベーションを加速するためには,どのような法律運用が必要なのか。IT法務の第一人者,牧野二郎弁護士に話を聞いた。 私は,ライフログというものには2方向のベクトルがあると考えている。 一つは,病歴や投薬履歴,人の思想にかかわる読書履歴など,より個人のコアに向かうベクトルだ。非常にセンシティブなプライバシ情報を事業者が蓄積することを疑問視する意見もあるが,個人の情報を正確に保管