オーストラリア国立大学のIan G. Morgan教授らは、日本や中国、香港、韓国、シンガポールなど東アジアと東南アジアで近視が多いのは、過度の勉強や遺伝的なものではなく、屋外で日光を浴びる時間が短いためだとする論評を、英医学誌「Lancet」(2012; 379: 1739-1748)に発表した。これらの国々では、都市部に住む高校生の8〜9割が近視という。 ◎環境要因によるものが多い これまで近視は遺伝的要因によるものと考えられてきたが、近年になって環境要因によるものが大きいことが分かってきた。例えば、シンガポールでは1996年以降、主な3つの民族(中国系、インド系、マレー系)全てで近視の有病率が急上昇していることから、全民族に共通の危険因子があることが示唆されている。 遺伝的要因か環境要因かをめぐっては、移民を対象とした研究から興味深い結果が示されている。英国とオーストラリアに住む南ア