古代日本語の音韻、表記、語彙、文法、日本語の起源、日本人の思考様式など幅広い業績を残した。特に『岩波古語辞典』の編纂や、日本語の起源を古代タミル語にあるとしたクレオールタミル語説で知られる。ほかに上代特殊仮名遣の強調、係り結びの倒置説、品詞の割合とジャンルとの関連性を指摘した大野の法則なども知られる。また、『日本語の起源』『日本語の文法を考える』『日本語の形成』『日本語練習帳』など、一般読者への啓蒙書を数多く出版した[4]。 大野はもともとアルタイ語研究者であった江実(ごうみのる)と共にウサルファ語[5]などのパプアニューギニアの言語に着目して日本語との系統関係を探ろうと試みていた[6]。しかし、やがて江は日本語やパプアニューギニアの言語の原点は「インド(等)のアジア」に行きつくという仮説を立て[7]、大野はドラヴィダ語と日本語とを結びつけるようになった。大野はオックスフォード『ドラヴィダ