奈良県の母子放火殺人事件を題材にした単行本を巡る調書漏えい事件で、加害少年の精神鑑定医が刑法の秘密漏示罪で有罪判決を受けた。この罪の適用は統計に残る78年以降、初めてという。 取材源を秘匿できず、表現の仕方に配慮を欠いた著者と出版元の講談社の姿勢が公権力の介入を招き、「出版・報道の自由」を脅かした。メディアは、内部告発者や情報提供者を守る責任の重さを改めて自覚すべきである。 少年に対する審判の内容は公表されない。鑑定医は、著者のフリージャーナリストに調書を見せたことについて、「広汎性発達障害の知識を世間に広め、少年に殺意がなかったことを知らせたかった」と目的の正当性を主張していた。 調書には、少年の成育歴や家庭環境など知られたくない秘密も記載されている。公表で少年の更生を妨げたり、家族のプライバシーが失われるとの指摘もある。 著者や講談社は、そういった個人的な事情と社会が情報を共有して同種
--振り返って、「僕パパ」の内容や取材方法に問題はなかったか 「長男は広汎性発達障害だが、周囲が早期に発見し、対処すれば事件は防げる。今後、同種の事件が起きてほしくないという思いで書いた。内容にも取材方法にも問題は全くない」 --検察の捜査についてどう思うか 「言論活動に対する突然の強制捜査で断じて納得できない。私を追い込むために崎浜先生を巻き込んだやり方も許せない」 --証人尋問の際に取材源を明かしたのはなぜか 「講談社も崎浜先生もすでに明かしているならば、先生の無罪を主張するために証言する以上、取材源を明らかにしなければ意味がない。ジャーナリストとして秘匿し続けるよりも、人間として先生を助けることを優先すべきと思った」 --調書漏洩事件で、自身の活動への影響は 「活動休止状態。私が検察の聴取に『先生に頼んで見せてもらった』と供述したとNHKに報道されてから、報道番組からも出版社からも依
「自分のしたことは、間違っていない」。奈良地裁で15日、判決が言い渡された医師宅放火殺人の調書漏洩事件。秘密漏示罪に問われた崎浜盛三被告(51)は、供述調書を見せた自身の行為が信念に基づいたものであることを再三、強調していた。一方、その信念を託されたはずのフリージャーナリスト、草薙厚子さん(44)。事件のもう一人の“主役”の姿は、傍聴席になかった。 崎浜被告はこの日午後0時50分ごろ、これまでの公判と同様、弁護人らとともに奈良地裁に到着した。口を真一文字に結び、ダークスーツに白いシャツ、ネクタイ姿。弁護人席の前に設けられた被告人席に腰を下ろすと、落ち着かない様子で午後1時10分の開廷を待った。 「被告人は前へ」。石川恭司裁判長に促され、証言台に進み出る。主文が言い渡された後、裁判長に一礼して被告人席に戻った。 「『殺人者』というレッテルをはがしてあげたかった」。崎浜被告はこれまで繰り返し、
奈良県田原本町の母子3人放火殺人事件を題材にした単行本を巡る供述調書漏えい事件で、刑法の秘密漏示罪に問われた精神科医、崎浜盛三被告(51)に対し、奈良地裁(石川恭司裁判長)は15日、懲役4月、執行猶予3年(求刑・懲役6月)の有罪判決を言い渡した。石川裁判長は「少年の利益を図るためとはいえない。取材に対する協力としても、正当な理由があるとは認められない。被告の精神鑑定は医師の業務にあたる」と理由を述べた。プライバシー侵害を理由に取材協力者が逮捕された異例の事件だけに、今回の有罪判決は、取材活動に影響を及ぼす可能性もある。 問題の単行本はフリージャーナリスト、草薙厚子さん(44)=嫌疑不十分で不起訴=の「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)。 判決などによると、崎浜被告は自宅に放火した当時高校1年の長男(19)=殺人などの非行内容で中等少年院送致=の精神鑑定を担当。06年10月に供述調書
奈良県田原本町の医師(50)宅放火殺人の供述調書漏洩(ろうえい)事件で、秘密漏示罪に問われた精神科医、崎浜盛三被告(51)の判決公判が15日、奈良地裁で開かれ、石川恭司裁判長は懲役4月、執行猶予3年(求刑懲役6月)を言い渡した。 最高裁によると、記録が残る昭和53年以降、秘密漏示罪の判決宣告は初めて。報道・出版の自由や取材源の秘匿をめぐり論議を呼んだ異例の事件は、調書が引用された「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)を出版したフリージャーナリスト、草薙厚子さん(44)の刑事責任は問われないまま、取材源のみが有罪とされる結果となった。 弁護側は、崎浜被告が草薙さんに調書などを見せたことは認めたものの、放火殺人事件の少年審判で精神鑑定を担当した医師の長男(19)に殺意はなかったことを社会に理解してもらうためで、正当な理由があったと主張。さらに治療行為を行わない鑑定人は秘密漏示罪の対象となる医
奈良地裁に入る崎浜盛三被告=15日午後0時52分、小玉重隆撮影 06年に起きた奈良県田原本町の医師宅放火殺人事件をめぐり、長男(19)=中等少年院送致=らの供述調書を多数引用した本が出版された問題で、刑法の秘密漏示罪に問われた精神科医の崎浜盛三被告(51)に対し、奈良地裁(石川恭司裁判長)は15日、懲役4カ月執行猶予3年(求刑懲役6カ月)の有罪判決を言い渡した。石川裁判長は「調書を見せた行為は少年の利益を図るためのものとはいえず、取材への協力だったとしても正当な理由があったとは認められない」と述べた。弁護側は控訴する方針。 最高裁によると、医師や弁護士らが業務で知り得た秘密を正当な理由なく漏らす行為を対象にした秘密漏示罪の判決は、記録上初めて。社会的事件を扱った本の出版に関し、協力者が刑事責任を負うとの判断は、取材源秘匿のあり方とともに、国民の「知る権利」をめぐる議論に大きな波紋を投げ
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『僕はパパを殺すことに決めた』について 弊社学芸図書出版部は本年5月21日、『僕はパパを殺すことに決めた』を刊行いたしました。本書に関連するとして奈良地方検察庁は「秘密漏示」を名目とする一連の捜査を続け、10月14日、事件を起こした少年の精神鑑定を担当した医師を逮捕するに至りました。 私たちは今回の捜査の目的はメディアの取材活動を萎縮させることにあり、到底容認できるものではないと考えております。版元として取材源を明らかにすることはできませんが、本書に関連するとして身柄を拘束され、多大な苦痛を受けておられる鑑定医の方には心よりお詫び申し上げます。また、本書刊行の結果として、本来あってはならない出版・報道に対する権力の介入を引き起こしてしまった社会的責任を社として痛感しております。弊社では、本書出版の経緯、形態、意義について第三者を含む調査委員会を設けて詳細に検証を行い、その結果を改めて公表い
『僕はパパを殺すことに決めた』について 弊社学芸図書出版部は本年5月21日、『僕はパパを殺すことに決めた』を刊行いたしました。本書に関連するとして奈良地方検察庁は「秘密漏示」を名目とする一連の捜査を続け、10月14日、事件を起こした少年の精神鑑定を担当した医師を逮捕するに至りました。 私たちは今回の捜査の目的はメディアの取材活動を萎縮させることにあり、到底容認できるものではないと考えております。版元として取材源を明らかにすることはできませんが、本書に関連するとして身柄を拘束され、多大な苦痛を受けておられる鑑定医の方には心よりお詫び申し上げます。また、本書刊行の結果として、本来あってはならない出版・報道に対する権力の介入を引き起こしてしまった社会的責任を社として痛感しております。弊社では、本書出版の経緯、形態、意義について第三者を含む調査委員会を設けて詳細に検証を行い、その結果を改めて公表い
『僕はパパを殺すことに決めた』について 弊社学芸図書出版部は本年5月21日、『僕はパパを殺すことに決めた』を刊行いたしました。本書に関連するとして奈良地方検察庁は「秘密漏示」を名目とする一連の捜査を続け、10月14日、事件を起こした少年の精神鑑定を担当した医師を逮捕するに至りました。 私たちは今回の捜査の目的はメディアの取材活動を萎縮させることにあり、到底容認できるものではないと考えております。版元として取材源を明らかにすることはできませんが、本書に関連するとして身柄を拘束され、多大な苦痛を受けておられる鑑定医の方には心よりお詫び申し上げます。また、本書刊行の結果として、本来あってはならない出版・報道に対する権力の介入を引き起こしてしまった社会的責任を社として痛感しております。弊社では、本書出版の経緯、形態、意義について第三者を含む調査委員会を設けて詳細に検証を行い、その結果を改めて公表い
『僕はパパを殺すことに決めた』について 弊社学芸図書出版部は本年5月21日、『僕はパパを殺すことに決めた』を刊行いたしました。本書に関連するとして奈良地方検察庁は「秘密漏示」を名目とする一連の捜査を続け、10月14日、事件を起こした少年の精神鑑定を担当した医師を逮捕するに至りました。 私たちは今回の捜査の目的はメディアの取材活動を萎縮させることにあり、到底容認できるものではないと考えております。版元として取材源を明らかにすることはできませんが、本書に関連するとして身柄を拘束され、多大な苦痛を受けておられる鑑定医の方には心よりお詫び申し上げます。また、本書刊行の結果として、本来あってはならない出版・報道に対する権力の介入を引き起こしてしまった社会的責任を社として痛感しております。弊社では、本書出版の経緯、形態、意義について第三者を含む調査委員会を設けて詳細に検証を行い、その結果を改めて公表い
司法当局がいま、猛烈なメディア規制に乗り出している。フリージャーナリスト・草薙厚子氏が書いた『僕はパパを殺すことに決めた』が、その格好の餌食となり、草薙氏に供述調書を見せたとされる鑑定医の崎浜盛三医師が逮捕されたことは記憶に新しい。 ネタ元にも口封じ? 「われわれ記者は、常日頃から刑事や検察官、そして鑑定医から〝殺し〟の情報を集めている。こちらが食い込んだネタ元なら、調書だって見せてくれる。それを犯罪だといわれたらネタ元は委縮してしまうし、事件の真相をすっぱ抜くことはできなくなってしまう」(全国紙・社会部デスク) 2006年6月、奈良県の医師宅が放火され、妻子3人が亡くなり、高校1年の長男が逮捕されたこの事件は、全国に衝撃を与えた。 「長男について、奈良家裁から精神鑑定を頼まれた崎浜医師は昨年8月、親しい京都大学教授の紹介を受けて草薙氏と出会った。10月には自宅やホテルで調書を見せたり、鑑
■ 親殺し 過去の「類似しているかもしれない事件」などについては少年犯罪データベースドア等を参考にするとよい思いますが、情報が錯綜している事もあり、拙速なプロファイリングは避けたほうが無難かもとも思ったり。 まぁそれはともかくとして、便乗的に怪しげな言説を述べてるジャーナリストもいるようなのでプチツッコミ。 17年の少年の凶悪事件の再犯率は61%となんとも高いということを大人たちは忘れてはいけないでしょう。 [草薙厚子の“のほほん”事件簿:親殺しより引用] それは、再犯者率だということをジャーナリスト草薙厚子たちは忘れてはいけないでしょう。 ちなみに「凶悪事件の再犯者率」と言っても、その前科は凶悪事件とは限らない事や、17年の大人も含めた全体の再犯者率は約56%で、全体の再犯者率と少年のソレはあんまし代わらないということもジャーナリスト草薙厚子たちは忘れてはいけないでしょう。 ちなみに草薙
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