“ワーキングプア”という言葉は世論を大きく変えた。今日NHKで放送された“NHKスペシャル「ワーキングプア1&2」”は2006年7月に放送された特番の再構成であるが、この番組の功績は大きい。 この言葉が取り上げられる前に多用されていた言葉は「フリーター」や「ニート」である。格差や貧困に関する諸問題は、ネオリベ派の知識人や政治家によって個人の自己の意欲といった自己責任の問題に矮小化され、また労働問題は相変わらず「失業率」といいう切り口で誤魔化され、小泉改革によって失業率が低下したというネオリベ派の主張に誰も反論できずにいたのである。 痛みを伴う改革に耐えれば景気が回復し、豊かになると信じていた国民も、いざなぎ超えと言われる長期好況状況で一向に所得が増えないことに薄々疑問を感じている時期であった。好況下で失業率が改善した話をされてもピントはずれと誰もが思っても、反論できる材料がなかったのである