栃木県足利市で平成2年、女児が殺害された足利事件で再審無罪となった菅家利和さん(63)は22日午前、大阪地検特捜部の主任検事による証拠品改竄(かいざん)事件について「(大阪地検検事は)ちょっとひどい。足利事件でDNA鑑定が偽造されていたら、私は完全にアウトだった。検事からは正義とか、そういうものが感じられない」と批判した。 菅谷さんはこの日、刑事補償法に基づき宇都宮地裁に刑事補償の請求手続きを終え、県庁で記者会見した。記者団の質問に答えたもので、証拠品改竄事件は朝の新聞報道で知ったという。
大陪審(だいばいしん、英: grand jury)は、一般市民から選ばれた陪審員で構成される、犯罪を起訴するか否かを決定する機関をいう。起訴陪審(きそばいしん)ともいう。 大陪審は、アメリカ合衆国において、権力分立(チェック・アンド・バランス)の仕組みの一環と考えられており、検察官の処分だけで事件が裁判(対審)に付されるのを防ぐという意図がある。 概要[編集] 大陪審はコモン・ロー(英米法)上の制度であり、イギリスで発達し、アメリカ合衆国に受け継がれたが、現在、大陪審を実施しているのはほぼアメリカのみである。 刑事又は民事の事実審理(トライアル)に関与する通常の陪審(小陪審、petit jury)よりも構成人数が多いことから、大陪審という名称が生まれた[1]。伝統的に、大陪審は23人、小陪審は12人で構成されていた。 大陪審は、検察官の提出した証拠を審査した上でインダイトメント (indi
大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件(おおさかちけんとくそうぶしゅにんけんじしょうこかいざんじけん)とは、2010年(平成22年)9月21日に、大阪地方検察庁特別捜査部所属で、障害者郵便制度悪用事件担当主任検事であった前田恒彦が、証拠物件のフロッピーディスクを改竄(かいざん)したとして証拠隠滅の容疑で、同年10月1日には、当時の上司であった大阪地検元特捜部長・大坪弘道および元副部長・佐賀元明が、主任検事の前田による故意の証拠の改竄を知りながらこれを隠したとして犯人隠避の容疑で、それぞれ逮捕された事件である[1]。 現職の検事で、しかも特捜部の部長・副部長・主任検事が担当していた事件の職務執行に関連して逮捕されるという極めて異例の事態となり、検察庁のトップである検事総長・大林宏の辞職の引き金となった。 概要[編集] 担当検事の証拠偽造容疑[編集] 2010年(平成22年)9月10日、障害者郵
「まじめ過ぎる検事だった」−。厚生労働省の文書偽造事件に関与したとされた民主党の石井一参院議員は22日、最高検が証拠隠滅容疑で逮捕した大阪地検特捜部主任検事から事情聴取された際の状況を党会合で説明した。 石井氏によると、昨年秋に主任検事の要請で聴取に応じ、文書偽造事件に関与していないことを説明。石井氏が「政治的な意図があるのか」と尋ねたところ主任検事は否定し、証拠の存在に関してはあいまいな答え方をしたという。 主任検事が石井氏の質問に誠実に応対したとした上で「とにかく一つの方向を決めたら、目的のためには手段を選ばないという気がした」と指摘。「新聞に報道されると、極悪人という印象を受けるかもしれないが、実におとなしい、いい男だった」と述べた。
割引郵便制度を悪用した偽の証明書発行事件をめぐって、大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者が証拠品として押収したフロッピーディスク(FD)を改竄(かいざん)していたとして証拠隠滅容疑で最高検に逮捕された。 事件をでっち上げようとしたのも同然の行為だ。検察にとって前代未聞の不祥事で、異例の逮捕も当然である。最高検にはこの際、徹底した真相の究明と、厳正な対処を求めたい。 この事件では、1審無罪となった厚生労働省の村木厚子元局長の公判で、検察側が描いた事件の構図に沿って被告らの供述を誘導した疑いが指摘された。裏付け捜査を怠っていたことも明らかになり、控訴は断念された。 FDの改竄もやはり、事件の構図に不都合な事実を隠すために行われたとみられる。 村木元局長の部下の自宅から押収したFDには偽造証明書の文書データが保存されていたが、その最終更新日時は村木元局長が発行を部下に指示したと検察側が主張す
民主党の「取り調べの全面可視化を実現する議員連盟」(会長・川内博史衆院議員)は22日、厚生労働省の文書偽造事件をめぐる大阪地検特捜部の主任検事の証拠隠滅事件に関し、公平性を担保するため最高検による捜査チームに第三者の委員も加えるよう求める声明を発表した。大阪地検の活動の全容解明と、責任の所在の明確化も要求した。 声明では文書偽造事件について「共犯者の虚偽の供述調書がなければ立件できず、取り調べの可視化が実現できていれば最初から防止できた」と指摘。証拠隠滅だけでなく供述調書作成に関与した検事の行動を含めた事実関係を公開すべきだとした。 また川内氏らは柳田稔法相と法務省で会い、声明の内容を申し入れた。
片山善博総務相は22日午前、大阪地検特捜部主任検事が証拠隠滅容疑で逮捕されたことによる大林宏検事総長の進退問題への波及について、「主任検事の単独犯行なのか、組織全体に及ぶものなのか、捜査の進展による」と述べ、推移を見守った上で判断すべきだとの考えを示した。東京都内で記者団に語った。 片山氏は「法と正義を守る検察で捏造(ねつぞう)などもってのほかだ。政府全体で、問題をきちんと検証しないといけない」と指摘。その上で「身びいきや手を緩めることは絶対あってはいけないし、恥の上塗りになる。人一倍厳正にやらなければいけない」と厳格な捜査を求めた。【笈田直樹】
証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部検事の前田恒彦容疑者(43)が地検の内部調査に対し、「今年1〜2月に当時の特捜部幹部や同僚に押収したFDのデータを書き換えてしまったかもしれないと伝えた」と説明していることがわかった。検察関係者が朝日新聞の取材に対して明らかにした。 前田検事の地検側への説明によると、東京地検特捜部に応援に行っていた1月下旬、同僚検事に電話で「(上村被告側へのFD返却直前の昨年7月に)データを変えてしまった可能性がある」と打ち明けたという。この時期は、郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で起訴された厚生労働省の元局長村木厚子氏(54)の初公判の直後だった。 当時の特捜部幹部に対しても、電話で同じ内容を報告したという。 前田検事はその後、この幹部から「地検幹部らに報告した」と聞いたが、どのように報告されたかについては知らないと地検の調査に答えたという。 一方、検
郵便不正事件に絡み押収したフロッピーディスク(FD)の最終更新日時を捜査に有利な内容に改竄したとして、大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)が逮捕された証拠隠滅事件で、最高検は22日、郵便不正事件の捜査に携わった上司や同僚の検事ら約20人に対し、23日から週末にかけ一斉聴取に踏み切る方針を固めた。主に改竄に加担していなかったかなどを聴くとみられるが、関係者によると、同僚の検事らはいずれも関与していなかった可能性が極めて高いという。 一方、前田容疑者は大阪地検の内部調査で「意図的に変えていない」と説明していたが、最高検の調べにも「故意でやったわけではない」と容疑を否認していることが、検察関係者への取材で新たに判明した。 関係者によると、聴取対象となるのは平成21年の郵便不正事件で前田容疑者の決裁を担当した上司や、ともに捜査に当たった検事・副検事ら約20人。事前に黙秘権を告知した上で
「主任検事がデータに作為を加えたらしい」 そんな噂が大阪地検をかけめぐったのは、無罪を主張していた厚生労働省元局長、村木厚子さん(54)の公判が始まった直後の1月下旬のことだった。 関係者によると、2月に入って上司から事情を聴かれた前田恒彦容疑者(43)は、素直に謝ったという。そして厚労省元係長、上村勉被告(41)が偽造証明書を作成して保存したフロッピーディスク(FD)について、「上村被告が最終更新日時をいじった可能性がありました。そういう操作ができるかどうかを確かめるために、捜査の一環としてやりました」と弁明した。 だが、そのときに「2004年6月1日午前1時20分6秒」から「6月8日午後9時10分56秒」に書き換えられた最終更新日時は、特捜部の描いた事件の構図に符合する、あまりにも絶妙の日時だった。 特捜部は、村木さんが上村被告に証明書発行を指示したのは、関係者の供述に基づき「6月上旬
「FDに時限爆弾仕掛けた」 改ざん容疑の検事、同僚に2010年9月23日4時30分 印刷 ソーシャルブックマーク 大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされた疑いのある事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された主任検事の前田恒彦容疑者(43)が同僚検事に「FDに時限爆弾を仕掛けた」と伝えていたことが朝日新聞の取材でわかった。データを書き換えた動機を示唆する発言とも受け取れるが、前田検事は逮捕後の調べに「誤って書き換えてしまった」と意図的な改ざんを否定している。 最高検によると、前田検事は昨年7月、厚生労働省元係長の上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=が作成した偽の証明書の最終更新日時を「04年6月1日」から「04年6月8日」に改ざんしたとされる。朝日新聞の取材に対し、昨年7月のFD返却後にデータを見た上村被告の弁護人は、最終更新日時が「6月1日」と記された捜査報告書と
「フロッピーディスク(FD)がないなら仕方ないじゃないか」 今年2月初旬。大阪地検の一室に集まった小林敬検事正ら地検上層部は自らを納得させるように口々につぶやいた。主任検事の前田恒彦容疑者(43)によるFDのデータ改(かい)竄(ざん)疑惑について報告を受け、全会一致で事態の推移を見守る−と決めた瞬間だった。 データ改竄の噂(うわさ)はこのころ、前田容疑者の同僚検事から広がっていた。検察関係者によると、事態の収拾を図るために大坪弘道前特捜部長(現京都地検次席検事)が前田容疑者に事実確認するよう副部長に指示したという。 副部長は前田容疑者から「ミスで変えてしまった可能性がある」と聞き取った上で、小林検事正らに「トータルとして考えるとミスと思う」と報告した。上層部は、FDが被告側に返却されており、変更内容が確認できない▽正しいデータに基づく捜査報告書が証拠採用され、公判に支障がない▽前田容疑者が
データ書き換えは故意か、過失か。厚生労働省の村木厚子元局長(54)の無罪が確定した郵便不正事件に絡む証拠品のフロッピーディスク(FD)のデータ改ざんを巡っては、いまなお不可解な点が多い。証拠隠滅の疑いで最高検に逮捕された大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)は、取り調べに「誤って書き換えてしまった」と供述、意図的な改ざんを否定し続けているという。最高検の捜査で、謎を解くカギは見つかるのか。 ◇FDをなぜ返却? 前田検事がFDのデータを書き換えたのは昨年7月13日。同16日にはこのFDを、厚労省元係長、上村勉被告(41)側に返却している。FDは本来なら公判に提出すべき資料。裁判所に証拠提出をしない上、データを書き換えたものを被告側に返却すれば、改ざんが発覚することは予想がつきそうだ。 改ざんしたのは、上村被告が障害者団体に渡す偽証明書をパソコンで作成した日付。「04年6月1日1時2
「やる気が萎えた」全国のヘルパーが激怒、訪問介護の基本報酬がまさかの引き下げ 国の方針のウラに隠れた「ある変化」とは
最高検聴取「おそらくある」=事件への言及避ける−前大阪特捜部長 最高検聴取「おそらくある」=事件への言及避ける−前大阪特捜部長 大阪地検特捜部の主任検事前田恒彦容疑者(43)が証拠隠滅容疑で逮捕された事件で、当時の上司で前特捜部長の大坪弘道京都地検次席検事は22日、同地検の定例会見で「最高検の聴取はまだないが、おそらくあるだろう」と言及する一方、事件について「コメントは控えたい」と話した。 大坪次席検事は、元部下の容疑に関し「今の時期に答えるのは適切ではない。わたしなりの存念がないわけではないが、この場では差し控えたい」と述べた。自身の責任には「時期が来たら…」と答えるにとどめた。(2010/09/22-23:42)
会見で頭を下げる最高検の伊藤鉄男・次長検事=21日午後9時16分、東京・霞が関、金子淳撮影 最高検による緊急の記者会見は21日午後9時10分すぎ、東京・霞が関の法務・検察が入る合同庁舎の20階にある最高検大会議室で始まった。検事総長に次ぐナンバー2の伊藤鉄男次長検事のほか、池上政幸刑事部長と刑事部の八木宏幸検事が前に並び、伊丹俊彦総務部長も臨席した。 詰めかけた約50人の記者やカメラマンを前に、伊藤次長はまず用意した紙を読み上げた。出席した検事らは一様に緊張した面持ち。郵便不正事件の主任検事だった前田恒彦容疑者(43)を逮捕した容疑を読み上げた後、「このような事態に至ったことを重大、深刻に受け止め、事実関係を徹底的に捜査し、早急かつ厳正に対処する」と話した。 その後、表情を変えず、村木厚生労働省元局長の裁判について、控訴を断念することもあわせて発表した。「上訴権を放棄する。判決を受け
郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件をめぐり、押収品のフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、最高検は21日夜、大阪地検特捜部でこの事件の主任検事を務めた前田恒彦容疑者(43)を、証拠隠滅の容疑で逮捕する方針を固めた。 朝日新聞が21日朝刊で疑惑を報じたことから、最高検が捜査に乗り出していた。 朝日新聞が入手した特捜部の捜査報告書などによると、FDは昨年5月、厚生労働省元局長の村木厚子氏(54)=一審・無罪判決=の元部下の上村(かみむら)勉被告(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=の自宅から押収された。自称障害者団体が同制度の適用を受けるため、上村被告が2004年6月に発行したとされる偽の証明書の作成日時データなどが入っていた。 特捜部は証明書の文書の最終更新日時を「04年6月1日午前1時20分06秒」とする捜査報告書を作成。FDは押収の約2カ月後にあたる
最高検が異例の早さで大阪地検特捜部の前田恒彦・主任検事(43)の逮捕に踏み切った。現職検事が刑事裁判の根幹となる客観証拠を改ざんしたとされる前代未聞の事件。今後は組織的な関与の有無の解明が焦点となる。 前田検事が改ざんしたとされるFDのデータは、厚労省元局長の村木厚子氏(54)が事件に関与したのかどうかを見極めるために必要な証拠だった。朝日新聞の取材に応じた検察関係者が「前田検事から『村木(元局長)による部下への指示が6月上旬との見立てに合うようにデータを書き換えた』と聞いた」と話すなど、地検内部では改ざんに関するうわさが一部で広がっていた。 こうした改ざんが前田検事だけで行われたのか、地検幹部や同僚が改ざん疑惑をいつ把握し、どう対応したのか――などの疑問に対し、最高検が応えることができなければ検察組織への信頼回復はあり得ない。 検察への不信が募る中、「最高検が『身内』の捜査にあたる
大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされた疑いのある事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された主任検事の前田恒彦容疑者(43)が同僚検事に「FDに時限爆弾を仕掛けた」と伝えていたことが朝日新聞の取材でわかった。データを書き換えた動機を示唆する発言とも受け取れるが、前田検事は逮捕後の調べに「誤って書き換えてしまった」と意図的な改ざんを否定している。 最高検によると、前田検事は昨年7月、厚生労働省元係長の上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=が作成した偽の証明書の最終更新日時を「04年6月1日」から「04年6月8日」に改ざんしたとされる。朝日新聞の取材に対し、昨年7月のFD返却後にデータを見た上村被告の弁護人は、最終更新日時が「6月1日」と記された捜査報告書と異なることに驚き、単独犯を主張する上村被告にとって不利になる証拠ととらえて表に出すことをためらったという。 検
最高検、23日にも前特捜部長ら聴取 地検改ざん事件2010年9月23日3時8分 印刷 ソーシャルブックマーク 大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされたとされる事件で、最高検は23日にも、証拠隠滅容疑で逮捕された前田恒彦容疑者(43)の上司だった大坪弘道・前特捜部長(現・京都地検次席検事)と前副部長を聴取する。全容解明のためには、改ざんの経緯やその後の対応などについて詳しく聴く必要があると判断したとみられる。 大坪前部長と前副部長は、多額の郵便料金を不正に免れた郵便法違反事件や厚生労働省元局長の村木厚子氏(54)らを逮捕・起訴した郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件の捜査を指揮した。 一方、特捜部幹部が前田検事にFDのデータを書き換えた経緯を詳しくまとめた報告書を作成させていたことが朝日新聞の取材でわかった。小林敬(たかし)検事正ら地検首脳に提出されておらず
大阪地検前特捜部長らを聴取 証拠改ざん事件で最高検2010年9月24日3時11分 印刷 ソーシャルブックマーク 最高検に向かう大坪弘道・前大阪地検特捜部長(現・京都地検次席検事)=23日午後0時49分、東京・霞が関、戸村登撮影 最高検の聴取を受けるため、JR品川駅に到着した大坪弘道・前大阪地検特捜部長(現・京都地検次席検事)=23日午後0時29分、東京都港区、高橋雄大撮影 最高検は23日午後、郵便不正事件の捜査を指揮した大阪地検特捜部の大坪弘道・前部長(現・京都地検次席検事)と、同部の佐賀元明・前副部長(現・神戸地検特別刑事部長)から事情聴取した。2人の部下だった同部検事・前田恒彦容疑者が証拠隠滅容疑で逮捕されたことを受けた検証の一環だ。 大坪前部長と佐賀前副部長は、前田検事から今年1〜2月に「FDのデータを書き換えた可能性がある」と明かされた経緯や、その後に「問題ない」と小林敬・大阪地検
※図をクリックすると拡大します 大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされた疑いのある事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された主任検事の前田恒彦容疑者(43)が同僚検事に「FDに時限爆弾を仕掛けた」と伝えていたことが朝日新聞の取材でわかった。データを書き換えた動機を示唆する発言とも受け取れるが、前田検事は逮捕後の調べに「誤って書き換えてしまった」と意図的な改ざんを否定している。 最高検によると、前田検事は昨年7月、厚生労働省元係長の上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=が作成した偽の証明書の最終更新日時を「04年6月1日」から「04年6月8日」に改ざんしたとされる。朝日新聞の取材に対し、昨年7月のFD返却後にデータを見た上村被告の弁護人は、最終更新日時が「6月1日」と記された捜査報告書と異なることに驚き、単独犯を主張する上村被告にとって不利になる証拠ととらえて表に
◇否定しても署名強要 昨年6月。大阪市福島区のビジネス街にある大阪地検特捜部で事情聴取を受けた厚生労働省の男性職員が、帰京のため重い足取りで駅に向かっていた。ふいに携帯電話が鳴った。担当の検事からだった。「もう一点だけ聞きたいことがある」。急いできびすを返した。 検事は1枚の供述調書を示し「これでよければ署名して」と求めた。調書には04年当時、福祉制度の変更に向けて職場が忙しかったという内容が書かれていた。特捜部は当時、この制度変更に有力議員への根回しが必要だったとの前提で捜査を進めていた。だが職員にとって調書は全く聴かれていない内容。「こんなこと分かりません」と言ったが、検事は「いいから」と署名を求めた。取り調べで疲れていた職員は面倒になり、「いいのかな」と思いながら署名したという。職員は記者に吐き捨てるように言った。「そうやって供述調書が作られていった。検察は『厚労省の組織的犯罪』と言
◇秘密裏に呼び出し 「急な呼び出しだな」「週明けじゃなかったのか」。日曜日の09年6月14日午後。堂島川を挟んで文教・ビジネス地区「中之島」を望む大阪地検(大阪市福島区)に、特捜部の係官らが次々に出勤して来た。休日出勤の連絡に、誰もが意表を突かれていた。 この日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の村木厚子局長(54)=当時=は、大阪地検特捜部に逮捕された。村木局長の「Xデー」を知っていたのはごく一部の検事だけ。それ以外の検事や事務官は何も知らされず、保秘が徹底された。 極秘の動きは、最高検の意向を反映したものだったという。最高検は村木局長の取り調べに当たり「目立ちやすい任意同行はしない。秘密裏に呼び出し、マスコミ報道はさせない」と大阪地検に条件を付けた。念には念を入れ、呼び出しは新聞発行がない休刊日が選ばれた。村木局長の供述によっては、逮捕を見送るという選択肢を残すため、報道を封じる作戦だっ
◇「議員に金」見込み捜査 「国会議員に渡す金だったんだろ。早く言え、クズ野郎」。大阪拘置所(大阪市都島区)2階の5号取調室。大阪地検特捜部の男性検事は、机を挟んで座る広告会社元取締役、阿部徹被告(57)=大阪地裁で起訴内容を認め公判中=を怒鳴り続けていた。 阿部被告は09年2月、障害者向け郵便物の料金割引制度を悪用し、大量のダイレクトメール(DM)を発送したとして郵便法違反容疑で逮捕された。その後、同じ容疑で3回も逮捕され、拘置は112日間に及んだ。取り調べで聴かれた内容の大半は、郵便料金の不正ではなく国会議員への金銭供与疑惑だった。 障害者団体の刊行物を装って格安でDMが発送された郵便法違反事件。特捜部は背後に国会議員の関与があると見込んで捜査を進めていた。その突破口に狙いを定めたのが阿部被告だった。 ■ ■ 特捜部は内偵捜査の過程で、民主党衆院議員の名刺が張られた阿部被告のノートと、
郵便不正事件を巡る証拠品のフロッピーディスク(FD)改ざん事件で、最高検の捜査チームは23日午後、証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部の主任検事・前田恒彦容疑者(43)の上司だった大坪弘道・前特捜部長(現・京都地検次席検事)と佐賀元明・前副部長(現・神戸地検特別刑事部長)の事情聴取を始めた。 聴取は東京・霞が関の検察合同庁舎内で行われている。 大坪前部長らは今年2月初め頃、FDの改ざんについて、前田容疑者から「故意ではないが、自分がFDを操作した可能性がある」と伝えられたとされる。 最高検の捜査チームは、大坪前部長らが、前田容疑者の改ざん行為を、どこまで把握していたかについて詳しく聞く方針。
前田容疑者 「架空の調書作成」福島県汚職元県幹部明かす 押収資料を改ざんしたとして証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部の主任検事前田恒彦容疑者(43)が東京地検特捜部時代、捜査にかかわった福島県発注工事をめぐる汚職事件で、事情聴取された元福島県幹部が「言っていないことまで供述調書に記された」と話していたことが22日、関係者への取材で分かった。 関係者によると、元県幹部は県やゼネコン関係者が一斉に聴取された2006年夏以降、東京地検特捜部で事情聴取を受けた。県発注工事で談合があったかどうかや、業者との関係などの説明を求められたという。 聴取後、県幹部は「自分は談合などに関して供述しなかったのに、担当検事(前田容疑者)は供述調書を作成した」と関係者に語ったという。 関係者によると、前田容疑者は贈賄側(時効)の水谷功・元水谷建設会長の事情聴取も一部担当。水谷建設が02年9月、収賄側の前知
第1回:9月19日(日)※インターネットで聴講できます テーマ:「住宅の室内空気質について」 講師:東 賢一さん(近畿大学医学部講師)
先週の郵便不正事件判決で検察の控訴断念が取り沙汰されるなか、16日には、福岡高裁で、爪はぎ事件で傷害罪に問われていた元看護課長に対し、検察調書の信用性を否定したうえで逆転無罪の判決が言い渡されるなど、検察の威信が大きく揺らいでいる。 この2つの事件の共通点は、これまで絶対的な効力を持っていた検事調書が、いずれも法廷の場で覆されたことだ。検事調書は検察の取り調べ段階で被疑者や証人から得た供述検察が調書としたもので、その後証人が法廷で供述内容を覆しても、調書が圧倒的な効力を持つ場合がほとんどだったため、検面調書至上主義などと言われてきた。 しかし、郵便不正事件判決でも爪はぎ事件でも、この検面調書の供述が誘導、強要などによるものと判断され、法廷での証言が優先される異例の事態となった。 今週のニュース・コメンタリーでは、検察の法と正義に疑念が生じていることの社会への影響や、取調べ可視化などの
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