中国が、東シナ海周辺海域に防空識別圏(ADIZ)を設定し、これを公表した。防空識別圏は自国領空に接近する他国の航空機を識別し、領空侵犯を防止するために自主的に設定するものである。中国はこれまで、防空識別圏は設けてこなかったが、今回の設定に続いて、適切な時期に、他の地域でも設定していく意向を明らかにしている。 ≪公海上の飛行の自由を侵害≫ 今回の設定目的は一つには、尖閣諸島の領有権主張を強める狙いとみられるが、設定範囲に尖閣のみならず東シナ海油田開発区域も含まれていることを考えれば、東シナ海全体が領海であると誇示する意図との見方もできる。 なぜ今、ADIZ設定・公表なのかは不明だが、先般の無人機侵入に際し、日本側が取った対応措置に鑑み、抑止機能を働かせようとしている可能性もあろう。 今回の設定空域は日本のほか、韓国、台湾の防空識別圏の一部も含み、結果として、3カ国・地域と防空識別圏が重なり合