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  • おおたとしまさ『【大学入試改革】英語民間試験導入だけでなく、国語の問題にも疑問の声が』

    2020年度以降予定されている大学入試改革において、東大が、英語の民間試験のスコアの提出を、当面は必須としないことを発表した。さらにここにきて、2017年12月に公開されていた、大学入学共通テストの国語の「試行テスト」の問題について、「これを国語の読解力といっていいのか?」という疑問も湧き上がっている。これまでの流れを振り返ってみよう。 センター試験を変える意味はあるのか? 2017年12月、大学入学共通テストの試行テストが公開された。特に記述式が出題された数学と国語に注目が集まった。 地方の公立進学校の教員に評価を聞くと、「今回はかなり頑張ってつくった良問だと思う」「たとえば数学は、単なる計算力では太刀打ちできないようになっている」と、概ね好評だった。ただし「問題のレベルが、一部の上位層にはちょうどいいが、それ以外の高校生には難しすぎるのではないか」という声も聞いた。 実際、国語の記述式

    おおたとしまさ『【大学入試改革】英語民間試験導入だけでなく、国語の問題にも疑問の声が』
  • おおたとしまさ『熱心な中学受験パパが陥りがちな罠』

    仕事ができる父親ほど、子育てに苦手意識がある」。そんな傾向があることは、昔から根強く囁かれている。仕事で結果を出すための手法と、子供の素質を伸ばすための手法が相反することが多いからだ。しかし、いざ「中学受験」となると、子供と共通目標を立てて合格という結果を得るために、自分のビジネスノウハウが活きてくるはず! と意気込む父親も多い。実は「中学受験」には大きな落とし穴があるとも知らずに……。 というコンセプトで執筆したOCEANS webでの短期集中連載をここにまとめておきますね。 なぜ辣腕ビジネスマンほど、中学受験で子供を“潰す”のか https://oceans.tokyo.jp/lifestyle/2018-0517-7/ 子供は「親を悲しませたくない」と思って中学受験の勉強をする https://oceans.tokyo.jp/lifestyle/2018-0531-1/ 「勝ち組

    おおたとしまさ『熱心な中学受験パパが陥りがちな罠』
  • おおたとしまさ『ダラダラしなくちゃ夏休みじゃない!』

    夏休み真っ盛り。受験生は大変だ。自らの目標に向かって頑張ってほしい。 でも、最近の子供たちは受験生ではなくても、夏休みにもしっかり宿題が出て、結構忙しいようだ。毎日コツコツ勉強しないと終わらないような課題が出されていることもある。 結果が出るまで何日間もかかる実験をやってみるとか、いろいろなところに行ってみないと完成しないレポートを書くとか、そういう宿題ならわかる。でも、夏休みにコツコツとドリル系の宿題をやらなきゃいけないというのはいかがなものか。 おそらく自律性を身に付けるという意味があるのだろう。ドリルをやったり、元素記号を覚えたり、夏休みの間にもコツコツ勉強すれば、2学期のテストではいい点数が取れるかもしれない。たしかにそれも大切だ。 でも、「ありあまるほどに時間がある」状況を体験することも、夏休みという期間にしかできない体験だと思う。 何もすることがなくて、とにかくだらけるだけだら

    おおたとしまさ『ダラダラしなくちゃ夏休みじゃない!』
  • おおたとしまさ『【書評】ペペロンチーノというお題をもとに、論理的思考と探究学習のお手本を示す』

    数年前に話題になったを、いまさらながら読んでみた。『男のパスタ道』(土屋敦)。おいしいペペロンチーノをつくることがこのの表面上の目的である。しかし真の目的は、1つのことを徹底的に論理的に探究するとどうなるかを試してみることである。シンプルなペペロンチーノだからかろうじて240ページほどに収まっているが、これがボロネーゼだったらタマネギの種類や豚肉の産地にまで話がおよび1000ページをゆうに超えてしまうだろう。 パスタそのものの感の科学的根拠を突き止めるためにわざわざパスタを粉砕してデンプンとグルテンに分けてそれぞれをゆでてみたり、パスタをゆでる湯の塩分濃度を何段階にも変えてみたり。論理的に推論し、それを実証する作法こそを、このは示している。生物学者・福岡伸一さんの『生物と無生物のあいだ』を読んだときに感じた「科学者の息づかい」と同質のものを、このの行間からも感じた。 いま教育現場

    おおたとしまさ『【書評】ペペロンチーノというお題をもとに、論理的思考と探究学習のお手本を示す』
  • おおたとしまさ『「働き方改革」を仕切り直そう! なぜ「働かせ方改革」になってしまったのか』

    「働き方改革」を仕切り直そう! なぜ「働かせ方改革」になってしまったのか | おおたとしまさオフィシャルブログ「Father's Eyes」Powered by Ameba 現在の労働力不足を解消するという主旨での「働き方改革」 いまではどこにいっても「働き方改革」という言葉を聞くが、その言葉の意味は、使われる文脈によってまちまちだ。あるときは過労死防止の意味であり、あるときは個別の企業の業務改善の意味であり、あるときは労働生産性向上の意味であり、あるときは多様な働き方の実現の意味で使われる。なんでもかんでも「働き方改革」と言ってしまえば聞こえがいいという感すらある。 「働き方改革」という概念がどこから発生してどう変化してきたのか、「働き方改革関連法案」が成立したこのタイミングでいま一度整理しておきたい。 議論の発端は、2015年10月から2016年6月にかけて計9回開催された「一億総活躍

    おおたとしまさ『「働き方改革」を仕切り直そう! なぜ「働かせ方改革」になってしまったのか』
  • おおたとしまさ『成人年齢18歳に引き下げ。失敗に不寛容な社会は発展しない』

    2022年4月から、ルールが変わる。18歳からが成人だ。といっても、酒・タバコ・ギャンブルは、20歳になるまでできない。最近の若者はいずれもあまりやらないというからそもそも関係ないかもしれないが。 法的には、さまざまな契約に保護者の署名が不必要になるなどの違いはある。それによって、まだ社会的に未熟な若者が、だまされたりということは起こりえるかもしれない。かといって、若いからだまされるというわけでもない。30歳になったって、40歳になったって、60歳になったって、だまされるひとはだまされる。 成人年齢が18歳に引き下げられたからといって、何かが変わったようには、多くのひとは感じないだろう。成人になる18歳にとっても。 ときに「成人」とは何か。辞書によればすなわち「おとな」とある。「おとな」とは何か。誰にもわからない。生物学的にいうのなら、性的に成熟し、生殖活動を行えるようになることを示すはず

    おおたとしまさ『成人年齢18歳に引き下げ。失敗に不寛容な社会は発展しない』
  • おおたとしまさ『5歳児虐待死と新幹線での22歳凶行の結節点。私たちは「親」という概念を過大評価している!?』

    5歳児の虐待死、22歳の青年による新幹線での凶行……。いずれに対しても「無念」の二文字しかない。「無念」とは思考停止ともいえるのかもしれない。こんなときこそ思考のエンジンを早くかけ直し、自分にできることを考えるべきなのかもしれないが、一方で、しばらく「無念」を噛みしめ、自らの心と向き合うことも大切だと思う。そのプロセスを経てこそ見えてくるものもあるはずだ。 凄惨な事件を知り、しばらく「無念」に浸ったあとで、自分なりにうっすら感じるに至ったことを、ここに書き留めておきたいと思う。 ****** 5歳児の「反省文」はあまりに衝撃的だった。彼女はたくさんの「約束」をさせられており、それを破ると暴行を受けていたようだ。多すぎる「約束」は生活の中に張り巡らされた「罠」でしかない。少しでも動けば「罠」が作動し、痛い目に遭う。子供を伸ばすのではなく萎縮させるほうに機能する。 子供に過度なしつけや教育的指

    おおたとしまさ『5歳児虐待死と新幹線での22歳凶行の結節点。私たちは「親」という概念を過大評価している!?』
  • おおたとしまさ『子供の暴言にどう反応するか。名門校のベテラン先生に学ぶ』

    書を読んで、「こんな先生たちに見守られていたら、男の子たちはかけがえのない時間をのびのびと過ごし、自分を見つめ、将来を見据えることができるだろう」と感じた読者も多かったのではないでしょうか。 生徒に生意気な態度をとられても、権力を振りかざしたり、高圧的に押さえつけたりはしないというスタンスが共通していました。 「生徒たちに好き勝手言わせていたら教師としての威厳に関わる」などと考えるひともいるのかもしれませんが、そんな飾り物のような威厳なら、特に生きる力が旺盛な優秀な子供たちにはすぐに見透かされてしまうだろうと私は思います。表面的には生徒たちを鎮圧できても、生徒たちの心の中はやさぐれ、学校は見る見るうちにすさんでいくはずです。 ひとは正しいことをやり抜く強さをもったひとに威厳を感じるものです。間違えたら素直に謝る、感謝の気持ちをもつ、思いやりを発揮するなどができるひとです。 「子供になめら

    おおたとしまさ『子供の暴言にどう反応するか。名門校のベテラン先生に学ぶ』
  • おおたとしまさ『セクハラ、体罰、働き方……武勇伝も、いまは昔』

    (写真はイメージ) ハリウッドの有名映画プロデューサーがセクハラを告発されたことをきっかけに世界中でセクハラや性暴力、性の商品化についての関心が高まっている。当然ながら批判的な文脈で。性的なもののみならず、人種や文化に対する差別にも厳しい目が向けられるようになっている。 性暴力や露骨なヘイトは言語道断。しかしセクハラや差別表現となると線引きが難しい。文章で表現する立場としても、最近は昔以上に言葉選びには慎重にならざるを得ない。かつては賞賛を浴びたかもしれない武勇伝をこれみよがしに語ってみても、いまでは逆に冷や水を浴びせられることになるだろう。 「息苦しい世の中になったものだ」という声も聞こえてきそうだ。その通り、そういう人にとっては息苦しい世の中になったのだ。でもそれは、ほかの誰かがこれまで息苦しい思いをしていたことの裏返しでしかない。時代とともに価値観が変化するということであり、良くも悪

    おおたとしまさ『セクハラ、体罰、働き方……武勇伝も、いまは昔』
    Kanagaku
    Kanagaku 2018/04/08
  • おおたとしまさ『殴る蹴るは当たり前!? 親の感覚も麻痺!? 「プロ部活」の実態』

    プロ格闘家の青木真也選手が、柔道やレスリングにおける「プロ部活」の実態を語ってくれたインタビュー部分を、拙著から抜粋します。当時といまとでは違う部分もあるとは思いますが(そう思いたいですが)。 「プロ部活」とは、学校の部活を通してプロやそれに準ずるレベルの選手を育成する構造だ。似たような構造が、レスリング界でも見られるという。どちらもオリンピックにおける日の「お家芸」。学校という公的なシステムの中に、それぞれの競技のエリートを育てるシステムが不健全に寄生していると青木さんは指摘する 。 「中学の指導者は、中学生の大会で1番になることをやっぱり求めます。その場で成果を出そうとします。そのためにバカバカやらせるばかりで、高校でどうなるかとかは考えないわけですよ。子供は子供で中学でいい成績を残さないと高校に行けないと思うから必死でやります。どんどん目先にとらわれていく不幸な構造です」 体罰は当

    おおたとしまさ『殴る蹴るは当たり前!? 親の感覚も麻痺!? 「プロ部活」の実態』
  • おおたとしまさ『小言を言われるうちが華』

    小言が減ったら「気の用心」 私のサイト「パパの悩み相談横丁」には、「ママが育児を頑張ってくれていることにはとっても感謝しているんだけど、僕もそれなりに頑張っていて、それなのにダメ出しばかりされると、特に仕事も上手くいっていないときなんかには、ときどき当につらくなるんだけど……」という相談が寄せられます。パパたちはパパたちで結構ママの顔色をうかがっていたりするんです。 でも、自分では何の努力もサポートもした覚えがないのに、「最近アイツ小言を言わなくなったなぁ。育児にもだいぶ慣れてきたのかなぁ」なんて思っているパパがいたら要注意です。お宅のママ、"小言を言わなくなった"のではなくて、"小言を言う気力すらなくなってしまった"のかもしれません。 ストレスが軽度なうちは、人は愚痴や文句という形でSOSを発することができます。しかし、それを放っておくと、言葉でのSOSを発しなくなります。そうなると、

    おおたとしまさ『小言を言われるうちが華』
  • おおたとしまさ『学習塾「ena」が都立中高一貫校および都立高校受験対策で躍進できたのはなぜか?』

    学習塾「ena」が都立中高一貫校および都立高校受験対策で躍進できたのはなぜか? | おおたとしまさオフィシャルブログ「Father's Eyes」Powered by Ameba 西東京ではenaの合格者数が定員の6割を超える 東京都に最初の公立中高一貫校ができたのは2005年。大学進学実績が出てからは難関化が進んでいる。2017年の四谷大塚合格率80%偏差値を見ると、小石川で男女ともに64。これは同日に入試を行う、慶應義塾中等部(男子)、神奈川御三家の浅野、人気女子校の鴎友などに匹敵する難易度だ。同様に武蔵で男子61/女子64、両国で男子60/女子62。私立中高一貫校受験でも難関校の部類に入る偏差値帯だ。 いち早く公立中高一貫校の適性検査に特化したコースを設置し、多くの合格者を出すことに成功したのが西東京を中心に教室を展開する学習塾enaである。2017年度の東京都下の公立中高一貫校11

    おおたとしまさ『学習塾「ena」が都立中高一貫校および都立高校受験対策で躍進できたのはなぜか?』
  • おおたとしまさ『教師の過重労働も、子供の基礎学力定着も、中学受験生の睡眠不足も解決する、コロンブスの卵的発想とは』

    渋谷区が貧困家庭に塾クーポンを給付 渋谷区が2018年度から、貧困世帯の中学3年生を対象に塾で使えるクーポン券を支給すると発表した。資金はクラウドファンディングで集めるとのこと。(※1) 貧困家庭を対象に塾などで使えるクーポンを給付するというしくみについては、すでに2012年から大阪市の西成区からはじまり、現在では大阪市全域に広がった実績がある。 貧困家庭の子供に学校以外での教育の機会を与えるしくみとしては、自治体による公営塾、民間有志による無料塾、そして今回のような塾用クーポンなどがある。(※2) 塾クーポンという新しいしくみによって渋谷区の貧困家庭の子供の選択肢が増えたことは、ひとまず前向きに捉えたい。 当に支援を必要としている子供の実情 公営塾、無料塾、塾クーポン。いずれも「学校だけでは教育機会として不十分」という認識に立脚した発想だ。特に都市部においてはその認識を否定することはで

    おおたとしまさ『教師の過重労働も、子供の基礎学力定着も、中学受験生の睡眠不足も解決する、コロンブスの卵的発想とは』
  • おおたとしまさ『子供たちがそこにいるだけで立派である理由』

    アウストラロピテクスの家族 半年ほど前、ある小学校の全校生徒向けに、「家族について」というお題で特別授業を依頼された。カリキュラム的には「道徳」の一貫だ。各教室での授業では、自分が生まれたときのことを親に聞いて育ててくれたことに感謝しようとか、家族の一員としてお手伝いをしようみたいな話をしたようだ。両親がいない子供はいるだろうし、複雑な家庭事情を抱えている子供もいるだろう。いろいろな家族の形があることは前提としたうえで、僕からはあえてこんな話をした。 「僕も一応親として子育てもしているけど、子供に感謝してもらいたいなんて思っていないよ。むしろうちに生まれてきてくれてありがとうだよ。たぶんみなさんのお父さん、お母さんもそうだと思う。あれこれやってもらったんだから感謝しなさいというのは他人同士の関係って感じだよね。他人同士だったら何かしてもらったら感謝の気持ちを伝えないと、関係は維持でできない

    おおたとしまさ『子供たちがそこにいるだけで立派である理由』
  • おおたとしまさ『中学入試を終えた皆さんとこれから受験する皆さんへ』

    中学受験にはネガティブなイメージがつきまといます。中学受験をさせられている子どもは学歴社会の被害者と思われてしまうことすらあるようです。 しかし、中学受験という機会自体が子どもを傷つけることはないと、私は思います。子どもが傷つくことがあるとすれば、親子関係が原因であることがほとんどだと思います。 受験勉強をしている子どものことを、親がかわいそうだと思ってしまったら、子どもは「自分はかわいそうなんだ」と思ってしまいます。限度を超えて勉強を強要すれば、勉強に対するアレルギー反応がでてしまうこともあるでしょう。あまりに期待をかけすぎれば、プレッシャーに押しつぶされてしまうかもしれません。 たしかに、きれい事だけで中学受験はできません。ときには親子の衝突も起こるでしょう。「やるべきことはやらねばならぬ」という厳しさを与えなければならないこともあるでしょう。 しかし、絶対に忘れてほしくないことは、中

    おおたとしまさ『中学入試を終えた皆さんとこれから受験する皆さんへ』
    Kanagaku
    Kanagaku 2017/02/07
    「受験は親子にとっていい経験になった』と振り返る親には共通点があるということに気付きました。そういう親は、テストの点数や偏差値や、最終的な合否より、子どもの成長そのものに目を向けているということです」
  • おおたとしまさ『男性も結婚・育児で選択が必要』

    最後に少し、「母性」について考えてみたいと思う。ここで「母性」とカッコをつけているのにはわけがある。昨今、母性という言葉の意味があまりに狭義に解釈されていると思うからである。カッコをつけた「母性」は、父性の反対語ではない。次元が違う。女性や男性という性の違いを超越した、もっと大きな意味を示しているつもりなのだ。 次世代を守り、育むことは、あらゆる生命に植え付けられた能。生きとし生けるすべてのものの営みのメインストリームである。自分たちの命を生かし、次世代につなげるためにこそ、糧を得るのである。それをより確かなものとするために、人間は群れをつくり、むらをつくり、社会をつくり、発展してきたはず。つまり、高度に文明化された社会も、グローバルな経済活動も、もとはといえば「母性」を守るため、「母性」によって作られたはずである。 しかしいつしか、糧を得ること自体や、社会や経済を継続させることがメイン

    おおたとしまさ『男性も結婚・育児で選択が必要』
    Kanagaku
    Kanagaku 2017/01/13
    「多様性がある社会ほど、弾力性があり、強い。……だから、教育には、多様性が必要である。ゆえに、今やマイノリティとなっている『女子校……男子校という選択』も、大切にされなければならないのである」
  • おおたとしまさ『世の中にはもっと「寅さん」とか「浜ちゃん」とかが必要だ』

    深夜0時。珍しく出かけた銀座からタクシーで高速道路に乗ろうとするとき、日のメディアを牛耳る世界一の広告会社の社ビルはすっかり闇に溶け込んでいた。文字通りの不夜城が強制停止している姿は珍風景だった。タクシーの運転手さんが言う「いつまでこれ続くんでしょうね」。私はとっさに答えた。「そのうち早番と遅番のシフト制にしましたとか言って、結局不夜城に戻るかもしれませんよね」。 私もかつて、そのすぐ近くにあった似たような業界の不夜城の住民だった。 広告業界では、クライアントから少しでも多くの広告費を引き出すことが主な仕事となる。期末の目標達成前になると、頻繁に営業作戦会議を開き、夜を徹して急ごしらえの企画を練り上げ、日中はその企画書をもってクライアントをかけずりまわる。まさに気合いと根性で目標を達成する。 それをやり抜くチームが良いチームとされる。「数字のための数字を追うなんてくだらねぇ。そもそもど

    おおたとしまさ『世の中にはもっと「寅さん」とか「浜ちゃん」とかが必要だ』
    Kanagaku
    Kanagaku 2016/10/31
    「部活での長時間練習と勉強時間は長いほうが偉いという価値観……。この二つの価値観を受け入れ成功した者……が『勝ち組』として社会に出れば、長時間働くことが偉いと思う文化が幅をきかせるのは当然である」
  • おおたとしまさ『『浅野中学校・高等学校』発刊』

    10月7日『浅野中学校・高等学校』(ダイヤモンド社)が発刊されました。 東京湾を埋め立て、京浜工業地帯をつくった浅野總一郞がつくった学校です。 の中から著者として気に入っているところをいくつか抜粋します。 1931年に著された著書『綜合中学の実現』の中の「自分は、教育は実に人物価値の向上を以て最大要件とし、富なくも、位なくも、名なきも、若しその人の人格にして、天地に恥ぢざる良心を有せば、縦ひ其の人は智的教育に於ては中以下にありとも、教育の産児としては最高級に属するを信ずるものである」という言葉に水崎の教育観が凝縮され表現されている。 「昨今の教育改革議論の中では、社会に出てすぐに役立つ職業的な技能をできるだけ早い段階から教えようという方向性が見えますが、逆に中高時代はもうちょっとゆっくりじっくり普遍的な基礎基を身につけさせたり、人との関係を大切にすることを学ばせたりするべきではないかと

    おおたとしまさ『『浅野中学校・高等学校』発刊』
  • おおたとしまさ『「働き方改革」を「ゆとり教育改革」の二の舞にしないために』

    時間当たり生産性を基準にして成果実力主義とか言われると、未熟な若者が不利になるのは当然。さらに同一労働同一賃金になれば職務の「部品化」が進み、特に未熟な若者はいつでも取り替え可能な部品になってしまい、不景気のときこそ若者の失業率が上がる。若者の収入が減り、ますます少子化が進む可能性だってある。 長時間労働の是正や同一労働同一賃金はもちろん実現したいことであるが、主に既婚者向けの少子化対策の性格が強く、未婚の若者にとっては逆風になる可能性もある。おまけに共働きが増えると、世帯間経済格差は拡大する。収入の高い人同士結婚する傾向があるから。そして経済格差が教育格差に連鎖する……。 長時間労働や非正規雇用者冷遇が少子化の一因になっていることはたしかだと思うが、そこを修正しさせすればオールオッケーになるような単純な話であるはずがない。社会は大きな有機システムだから、どこかだけを直せば必ずどこかに不具

    おおたとしまさ『「働き方改革」を「ゆとり教育改革」の二の舞にしないために』
    Kanagaku
    Kanagaku 2016/09/23
    「『労働生産性』の高い国をランキングすると……資源国か金融センターが圧倒的に有利」
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