もう一点は、いやしかしこれ「平和的生存権」を評価する側からも微妙すぎる判決ではあるまいかということである。本件判決は「控訴人らは、それぞれの重い人生や経験等に裏打ちされた強い平和への信念や心情を有している」と評価し、「そこに込められた切実な思いには、平和憲法かの日本国民として共感すべき部分が多く含まれているということができ、決して、間接民主制下における政治的敗者の個人的な憤慨、不快感又は挫折感等にすぎないなどと評価されるべきものではない」と述べるなど、「平和的生存権」に関する原告側主張を強力にサポートしているわけである。 また、本件派遣に関する事実認定を見ると「多国籍軍の活動は、単なる治安活動の域を超えたものであって、(......)泥沼化した戦争の状態になっているものということができる」と指摘し、そのような「国際的な武力紛争」が現に進行している「戦闘地域」において「多国籍軍との密接な連携