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ブックマーク / genesis.hatenadiary.jp (42)

  • 小林章夫 『召使いたちの大英帝国』 - 博物士

    去る日曜日,移動中の機内で小林章夫(こばやし・あきお)『召使いたちの大英帝国』(ISBN:4896919351)を読む。 19世紀の大英帝国における使用人を視覚的に,かつ手際よく把握しようとするならば,村上リコ+森薫『エマ ヴィクトリアンガイド』(ISBN:4757716435)の方がまとまっている。家事使用人にあった厳格な序列――男性であれば家令(House Steward)や執事(Butler)/フットマン(Footman)/近侍(Valet),女性では侍女(Lady's Maid)/家庭教師(Governess)/乳母(Nurse)/メイド(Maid)――が図示され,そこに森薫による挿絵が添えられているので,視覚的に理解できる。 それに対して書は,いかにも英文学研究者が書いたもの。労働者たちの賃金のような実態の把握であるとか,仕事の「手抜きの仕方」といったウィットに富んだ視点が多く

    小林章夫 『召使いたちの大英帝国』 - 博物士
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    REV 2006/11/21
  • 博物士 - ライトノベル年代記 [1998, 2004]

    文学部での読書会に参加。新城カズマ『ライトノベル「超」入門』(ISBN:4797333383)を参照しながら,“ライトノベルを論じる”ことについて語り合う。 レポーターのAさんは,今回が初報告。読書量は多い人なので知識はあるものの断片的な情報になってしまい,うまく繋がらない(感想の開陳になってしまい,Aさんも苦労していた)。読書会においては,(1)先行研究による到達点を示し,課題図書の位置づけを明らかにする,(2)課題図書の内容を要約してポイントを浮き彫りにする,(3)それらを素材として討論すべき議題を報告者が設定する,(4)呼び水として報告者としての私見を添える――という手続が必要なのだけれど,これは場数を踏んで身につけてもらうものだしね。 そんなこともあって,いつもより多めに口を挟んできました。 私が提示した《作業仮説》は,第1にカドノ・インパクト(1998年),第2にサブカルチャーに

    博物士 - ライトノベル年代記 [1998, 2004]
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    REV 2006/11/10
  • Kanon 舞台探訪 (銀行) - 博物士

    北洋銀行 『京アニKanon』第1話「白銀の序曲 〜overture〜」の中で,美坂香里(と北川潤)が登場する直前に出てきた交差点です。所在地は,札幌市営地下鉄東西線「琴似(ことに)駅」。路線延長前は西の終点だったターミナル駅であり,JR函館線の琴似駅とを結ぶ道道276号線「琴似栄町通り」に沿って商店が立ち並んでいます。画面右側に写っている曲線的な建物は,北洋銀行の琴似中央支店です。 実在)北洋銀行 → アニメ)北里銀行 実在)カメラの川田 → アニメ)カメラの川口 なお,この周辺を市電は走っていません。撮影地点の真後ろはダイエー,左を向くとバスターミナルであるなど不一致な点が多く,少なくとも3箇所を合成して作られた風景だと推察されます。 参考資料)http://www.geocities.jp/sapporomisemasu/AI13.htm http://legwork.g.hate

    Kanon 舞台探訪 (銀行) - 博物士
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    REV 2006/10/24
  • チャオ フラテッロ! (ミラノ編) - 博物士

    ミラノ(Milano)で『ガンスリンガー・ガール』の舞台探訪をしてきた成果をお目にかけます。 http://legwork.dailybells.co.uk/ciao/fratello.html 調べてきたのは,アンジェリカにまつわるエピソードが展開される相田裕『GUNSLINGER GIRL』第16話(第3巻,ISBN:4840226229)の「扉絵」「立像」,それと義体の二期生ペトルーシュカがクラエスと接触する同33話(第7巻,ISBN:4840235325)の「ドゥオーモ」「市電と小型自動車」といったコマの背景についてです。

    チャオ フラテッロ! (ミラノ編) - 博物士
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    REV 2006/10/01
  • 『ひぐらしのなく頃に』〔8〕 - 博物士

    07th Expansion『ひぐらしのなく頃に解』第8話「祭囃し編」。 18:05 MKにて購入。 20:00 インストール作業。まず NSDEC で展開し,分量を調べる。第1〜4話が 3,434kb だったのに対し,第5〜8話は 4,732kb(制御コードを含んだ状態。ベタテキストにすると,この2/3くらいだと思う)。*1 ひぐらしのなく頃に解 4,732kb うち 5. 目明し編 748kb うち 6. 罪滅し編 874kb うち 7. 皆殺し編 1,035kb うち 8. 祭囃し編 1,384kb ほか 「おまけ」など 20:30 開始。 21時台 研究者魂を揺さぶられる。 22:26 題字に到達。 23時台 小難しいことを言われたのでフローチャートを書きつつ進めるが,実は素直な造りだった。 26:31 昭和58年6月。そして,始まり。 29:10 サ変 動詞 名詞「あうあう」「あ

    『ひぐらしのなく頃に』〔8〕 - 博物士
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    REV 2006/08/14
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  • ライスの国のガンスリ - 博物士

    米国出張してきたたてにょんから,おみやげに『GUNSLINGER GIRL』の英語版をもらいました(id:lapis:20060213)。しかも嬉しいことに,送られてきたのは第2巻(ISBN:1413902332)。Grazie! あれ?と思ったのは裏表紙の説明書き。 Graphic Novel/Manga Sci-Fi RATED 16+ Sci-Fiは,サイエンスフィクションのことですね。そっか,世界基準に当てはめると『ガンスリ』って SF なんだ。 グラフィック・ノベルについては Wikipedia に解説があって,「通常は長く複雑なストーリーを備えた、しばしば大人の読者が対象とされる、厚い形式のアメリカン・コミックを指す用語」と定義されていました。 Wikipedia - グラフィックノベル 日語版と英語版を隅々まで見比べてみましたが,翻訳は順当なもので,驚くような箇所は見当たり

    ライスの国のガンスリ - 博物士
  • はてぶタグを縦1列に並べるためのスタイルシート - 博物士

    http://d.hatena.ne.jp/REV/20060427#p5 にて b:id:genesis をご紹介いただきました*1。せっかくの機会なので,少しばかり情報提供しておきます。 秩序だっていない keywordcloud が好きになれない性格なもので,はてなブックマークのタグについても CSS を操作することで整列させています。次の文を [設定]‐[デザイン編集]‐[スタイルシート] に書き加えることで実現させました。なお,これは「基テーマ」に合わせたもの。 div.taglist { width: 15%; margin-left: 48px; margin-bottom: 32px; } div.taglist ul li { display: block; background: #fafafa; border: 1px solid #eeeeee; padding-

    はてぶタグを縦1列に並べるためのスタイルシート - 博物士
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    REV 2006/04/29
  • 新城カズマ 『ライトノベル「超」入門』 - 博物士

    読み始めて3頁目で確信した。これは面白いに違いない。 読みながら何度も笑った。軽妙な筆致で楽しませてくれる。 読み終わったとき,興味深いところに貼り付けておいた付箋は40枚を超えていた。いつもは一桁なのに。 新城カズマ(しんじょう・かずま)『ライトノベル「超」入門』(ISBN:4797333383)の意義は,次の3点に求めることができよう。 【1】 ライトノベルという存在の過去と現在について,アンケートやインタビューあるいは対談を交えず,単独の著者が書いたものであること。 これだけで書は十分な価値がある。これまでに刊行された解説書はカタログとしての要素が強かったように思うが,書は分析として一筋が通っている。 【2】 現状をあるがままに記述するのではなく,現象に対して考察を巡らせたうえで,湧き上がる「なぜ?」にも著者なりの見解を打ち出していること。 さすがに〈入門〉と断っているだけあ

  • 博物士 - 美少女ゲームのパラダイムは4年で交代する〔仮説〕

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    REV 2006/04/08
  • 博物士 - 教養としての〈恋愛シミュレーションゲーム〉

    そもそもアドベンチャーとシミュレーションの違いが僕にはいまいち分からない。 どちらもゲームである以上、何かしらのゲーム性が付随される事は当然なのですが、「探求」と「擬似体験」のゲーム性の違いを明確に分ける事は可能なのでしょうか。 http://d.hatena.ne.jp/terasuy/20060327/p1 に寄せて。あちらのコメント欄に投稿したのですが読みづらいので,加筆修正したうえ掲載しておきます。 両者の相違を id:terasuy さんは現在における機能から眺めていますが,私ならば歴史的経緯から説明します。 1) 例えば,『天使たちの午後』(1988年,JAST)を〈恋愛AVG〉と称することはあっても〈恋愛SLG〉と呼ぶことはないでしょう。初期のAVGは「ゲームブック」になぞらえて説明されることが多かったのですが,まさしく困難を乗り越えていく冒険だったのであり,次の(女の子の)

    博物士 - 教養としての〈恋愛シミュレーションゲーム〉
  • KemonoMix - 博物士

    見過ごせない話題が出てきたので,少しばかり。 実は私,前世紀には「ケモノものファンサイト」を開いていたことがあり,98DOS時代には「ケモノものゲーム」を専門にレビューしていたのですよ*1。そんなわけで,次の件に関しては一家言あります。 でもまあ、正直な気持ちを言えば、ケモノ耳なんか飾りに過ぎないと思う。 http://d.hatena.ne.jp/trivial/20060310/1141939885 「ネコ耳、ウサ耳、ケモノ耳」 http://d.hatena.ne.jp/trivial/20060310/1141939886 「着脱自在のネコ耳」 指摘されているように、ネコミミは強い着脱可能性を持つ外見的属性ではあるのですが、ある程度の内面の規制が行われるという点で中々興味深いところであります。 http://d.hatena.ne.jp/cogni/20060312/p5 “Wha

    KemonoMix - 博物士
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    REV 2006/03/13
    「 なお,「ネコ耳の起源とバニーガールの関連性」だとか「ヒト耳とケモノ耳は同時に存在し得るか」については長い長い論争がありますので,軽々しく触れない方がいいです。」
  • 博物士

    アニメ・ゲーム・マンガの舞台となった名所をファンからの純粋な投票で選んでみよう! という企画を2年ぶりに実施したところ,総勢70名の方にご参加いただきました。ご応募どうもありがとうございます。 もっと早くに結果をお知らせしたかったのですが,集計がなかなか進まない。どうしてだろう?? と思っていたのですが,投票でノミネートされた場所は180か所にまで広がっていたため,手間がかかっていたのでした。また,投票される方によって場所の表記に揺れがあったのですが,同じ作品に由来する投票であればできるだけ寄せるようにしました(この照合で,さらに時間をかけてしまいました……)。そのため,投票時に書かれていた地名とは別のところに分類していることが多々ありますが,どうかご容赦を。 さらに,お一人様につき持ち票10票と多めであったことが災いして,11票以上書いてしまった方も結構いらっしゃいました。この場合は「先

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  • 博物士 - 葉鍵系の源流を〈1980年代後期少女まんが〉に求めてみる

    このエントリーは id:genesis:20060215:p1 の焼き直しです。傍論として「ついでに」書いておいたところを id:REV さんに注目していただき,それが縁となって『カトゆー家断絶』でもご紹介いただきました。おそらく関心を持たれたのであろうゲーム論に関する部分を,読みやすいように取りだして書き改めました。 私の認識不足でなければ,1980年代後期の少女まんがについての考察が,マンガ研究という分野では抜け落ちているようです。時期的には,柊あおいが乙女のバイブル『星の瞳のシルエット』(1985年)を描き始めてから,原作版『耳をすませば』(1989年)を送り出すあたりまで。具体的な作家としては,わかつきめぐみ/谷川史子/岡野史佳など。 特徴づけるならば,等身大の少女と少年が日常を繰り広げるなかで関係性を形成していく〈ガール・ミーツ・ボーイ〉もの。 マンガ研究の中では顧みられることが

  • 博物士 - 『テヅカ・イズ・デッド』をめぐる逡巡

    昨秋の発売直後に買って読んだものの,途方に暮れていたのが伊藤剛(id:goito-mineral)『テヅカ・イズ・デッド――ひらかれたマンガ表現論へ』(ISBN:4757141297)。 平易な文章で書かれているのに,どうにも理解できないでいた。昨日,文学部の院生が開く読書会での題材に取り上げられていたので,討議に参加させてもらった。3時間ほど話し合って,ようやく着眼点らしきものが見えてきたので,備忘録として書き残しておくことにします。 このが提示したマンガの分析枠組みは,次の2つ。 キャラ/キャラクター フレームの不確定性 後者については,別な参加者が論文のネタにしているところのようなので,ここでは触れないでおきます。 端的に言ってしまえば,概念の不確定性と射程範囲の不明瞭さが書の分かりにくさを生んでいる理由でしょう。 例えると,鍛冶師が多機能スイスアーミーナイフを売り出したけれど,

    博物士 - 『テヅカ・イズ・デッド』をめぐる逡巡
  • 吸血鬼伝承――「生ける死体」の民俗学 - 博物士

    平賀英一郎(ひらが・えいいちろう)『吸血鬼伝承――「生ける死体」の民俗学』(ISBN:4121015614,2000年)を読む。 好著の称号を献ずるに相応しいだった。その良さは,冒頭の第I章を読むだけで伝わってくる。第I章「フォークロア的前提」は簡潔にして要を得るもので,わずか20頁ほどに書の趣旨がまとめられている。 以下,後続する読者から楽しみを奪うという無粋な真似になってしまいかねないのだが,内容を紹介させてもらうことにしよう。これから読もうという予定のある方は,ここらでお引き取り願いたい。 著者の経歴は良く分からない。東欧の大学を渡り歩き,ハンガリーの大学で Ph.D を取得したことが記されているが,学術論文DBを開いても業績らしきものが出てこない。学問的系譜としては柳田民俗学に倣うものであることが序文で示されている程度である。しかし生い立ちの不明瞭さが,この著作の面白さを減じる

    吸血鬼伝承――「生ける死体」の民俗学 - 博物士
  • 博物士 - 映画『最終兵器彼女』 The RUSTIC LOUSY Story on This Little Planet.

    ちせはかわいくない。 仕上がりは想像以上にシンコクで…… それ以上にサンタンだったんだ。 札幌シネマフロンティア爆撃 毎週日曜朝07時30分 なにもかもを根こそぎにしてしまった。 ごめんね おかしい……おかしいよぉっ! 破壊されたセカイ系 体が兵器の女の子って普通ですか? 吹き出しそう まぬけ時空 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい ぼくはあいかわらず いろいろな事を甘く見すぎていた。 ISBN:4091856829 やっちゃったよ 滅ばぬ地球 いったい何を評価すればいいのか せめて,映画らしく 学芸会 東映は一体どこで引き返すべきだったのか 前田亜季がワイド画面のように幅広で 須賀大観監督を問いつめたい 知らないほうが知っているより幸せなことがある。 アツシはどこへ消えた だめっ。笑わせないで! これを読んだあなた,どうか褒め方を教えてください。それだけが私たちの願いです。 私の頭の中

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    REV 2006/02/08
  • ひぐらしのなく頃に〔5〕 - 博物士

    意見が飛び交っている*1のに興味をひかれ,『ひぐらしのなく頃に解』の〈目明し編〉を数日かけて読み進めた。 http://07th-expansion.net/(07th Expansion) この先に展開されるついては朧気ながら聞き知っている。むしろ先にネタバレされた方が,冷静に読み込みが出来るので好都合(それで,この段階で読もうという気になった)。 さて第5話,「園崎詩音」を主人公に据えた物語の主題は,人の狂気ということになるだろうか。このようなテーマ性から『ひぐらし』を読むのは不適切かもしれないが,少々物足りなかった。もっとも竜騎士07は,既に〈祟殺し編〉において,張りつめていく殺意の描写を行っている。それに比べれば,の話なのだけれど。 たぶん,「詩音」の狂気には「静けさ」が欠けていたのだと思う。それは,ピノッキオと対峙していた瞬間,トリエラを支配していた感情に似ていて。 狂気を主観で

    ひぐらしのなく頃に〔5〕 - 博物士
  • 博物士 - GUNSLINGER GIRL と BITTERSWEET FOOLS の簡単な歴史

    『ビタースイート・フールズ』リパッケージ版(ASIN:B000BYVLL2)の発売日です。帰りがけに,予約してあったものを迎えに行ってきました*1。外箱の表面は,チラシ(引用画像)と同じ。 http://www.minori.ph/ 御存知ない方の為に,簡単な紹介を。一言でまとめると,「古都・フィレンツェを舞台とした青春群像劇」です。発売は,2001年8月。その後,PS2/Dreamcastに移植されました*2が,原点であるPC版は長らく絶版となっていました*3。コンシューマー版では音声が入っているのですが,リパッケージ版は当初のまま。私は出演者の声を高く評価しているだけに,かなり残念なところです。 http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050319/p1 (拙稿:レビュー) http://legwork.dailybells.co.uk/ciao/fratell

    博物士 - GUNSLINGER GIRL と BITTERSWEET FOOLS の簡単な歴史
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    REV 2005/12/29
  • すぐわかるキリスト教絵画の見かた - 博物士

    原稿の締切まで,あと48時間。こんな時は文字の詰まったものは読みたくないので,絵の比率が高いものが嬉しい。 最近眺めているのは,千足伸行+石鍋真澄『すぐわかるキリスト教絵画の見かた』(東京美術,ISBN:4808707896)。 旧約聖書における〈天地創造〉に始まり,イエスの降誕,キリストの受難から復活,それに聖家族や聖人たちまで幅広く80の主題を集める。それぞれの主題ごとに1枚の名画をカラーで紹介したうえで,主題の解説(聖書における意味)と場面の紹介(図像に何が描きこまれているのか)を,ほぼ同量の比重で説いていく。 題名に「すぐ××る」と付いているのは得てして掘り下げ方が甘いものだが,このは解説が優れている。特に「場面を読む」と題された箇所では,絵の中に仕込まれている〈約束事〉について仔細に記されているのが良い*1。キリスト教絵画では,画面の中に配置されたシンボルやアトリビュート(持ち

    すぐわかるキリスト教絵画の見かた - 博物士
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    REV 2005/12/04
    シンボル論など。萌え要素は宗教画に通ず?うぐぅ。
  • 本田透 『萌える男』 - 博物士

    田透(ほんだ・とおる)『萌える男』(ISBN:4480062718)を読む。 あきれるほど酷い。これが「トンデモ」なり「アジ小説」であれば笑って済ませられるところなのだが…… 新書という体裁をとり,外見を装って(偽って)いるからには,放っておくわけにもいかない。 まず,第1章「萌える男は正しい」は読むに堪えない。 第5章「萌えの目指す地平」と第6章「萌えない社会の結末」は,「世界をセカイに革命する力を!」*1と叫んでいるだけで,内容的には前章までに述べたことを反復しているのみ。まったくの無駄。 よって書で読む必要がある箇所は,フレームワーク(枠組み)を提示している第2章「萌えの心理的機能」と,具体的な作品を挙げながらフレームの適用を論じる第3章「萌の心理的機能」&第4章「萌えの社会的機能」に留まる。 framework 田の説くところをまとめると,次のようになる。 ▼ 第1章 萌え

    本田透 『萌える男』 - 博物士