タグ

ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (26)

  • 生政治の誕生 - 池田信夫 blog

    書のタイトルから、生政治という言葉でよく語られる「監視社会」批判の類を想像する読者も多いだろうが、フーコーはこうした問題にはまったく触れていない。彼が主題とするのは、生政治のもっとも洗練された形態としての経済的自由主義であり、その代表はハイエクである。生政治と自由主義というのは、常識的には対極にあるように思われるが、フーコーが晩年の『知への意志』でも警告しているように、自由を抑圧からの解放と考えることは、ナイーブな左翼的錯覚である。逆に、自由主義はきわめて高度な統治技術を必要とするのだ。大いなる規律の技術、すなわち個々人の行動様式をその最も細かい細部に至るまで毎日規則正しく引き受けるものとしの規律の技術が発達し、急成長し、社会を貫いて拡散するのは、自由主義の時代と正確に同時代のことでした。[・・・]ここにおいて管理はもはやパノプティズムの場合とは異なり、ただ単に自由に対して必要な歯止めで

  • ベスト経済学ブログ - 池田信夫 blog

    Brad DeLongのブログで、「経済学ブログのベスト10」が話題になっている。NetNewsWireがあげたのは次のリストだが、DeLongならずともちょっと首をかしげるところだ:Economist's View Marginal Revolution Curious Capitalist The Big Picture Econbrowser Angry Bear Real Time Economics The Conscience of a Liberal Market Movers Infectious Greed単純にテクノラティのリンク数(authority)で並べた26econ.comでは、次のようになっている:Freakonomics Marginal Revolution The Conscience of a Liberal The Big P

    Schuld
    Schuld 2008/07/27
  • 〈宗教化〉する現代思想 - 池田信夫 blog

    著者は「現代思想入門」みたいなをたくさん書いており、どれも似たような内容なので、それを読んだ人にはおすすめしない。しかし彼もいうように、そういう初歩的な知識もなしに「ネオリベ批判」とか「格差社会」を語る若者が最近、増殖しているようだ。「民族派」だったタレントがサヨクに「転向」して『蟹工船』に涙したり、秋葉原事件の殺人犯の「人間疎外」を語るメッセージに2ちゃんねるで共感の声が集まる、といった現象には不気味なものを感じる。 特にひどいのは、松尾匡『「はだかの王様」の経済学』だ。最初は冗談かと思ったのだが、どうやら彼は気で、初期マルクスの「疎外論」が現代に有効だと考えているらしい。書も指摘するように、現状を人間の質が「疎外」された状態として糾弾し、「来の姿」を取り戻そう、とネジをまくのは、かつての学生運動でおなじみの擬似宗教的なスローガンである。ポスコロも「ジェンダーフリー」もその変

    Schuld
    Schuld 2008/06/23
  • 「食糧自給率」の向上は食糧危機を悪化させる - 池田信夫 blog

    自民党の「米粉加工品を普及推進する議員連盟」が発足し、福田首相が糧危機に関連して「こういう内外情勢になると、糧自給率を上げることは国家戦略上の課題だ」とあいさつしたという。この点は民主党も同じで、「自給率100%をめざす」などと言っている。 しかし、この政策は論理的に間違っている。いま起こっている糧危機は、穀物価格の上昇である。以前の記事でも書いたように、高騰した小麦の国際価格でさえ、国内価格の約半分。米は1/3だ。自給率を高めるというのは、割高な国内穀物を増産することだから、価格高騰の対策にはならない。むしろ自給率(国内農家)を守るための補助金が、穀物の価格をさらに高くしているのだ。 では、供給の絶対的不足は起こるだろうか。1993年、米の凶作で260万トンの緊急輸入が行なわれたことがある。その原因は、減反政策で半分近い水田が休耕田になっていたためだ。普通に生産していれば、凶

    Schuld
    Schuld 2008/06/17
  • UBSはいかにして380億ドルを失ったか - 池田信夫 blog

    今週の月曜、UBSは株主総会で、彼らがサブプライムローンでおかした失敗を分析する報告書を配布した。これは要約版で50ページ、文は400ページにも及ぶ詳細なものだ(Fortune)。 それによれば、最大の失敗は、2005年にDRCMという「内部ヘッジファンド」を設立し、CDOなど不動産関連の投資を大規模に行なったことだ。DRCMはUBSの一部門として創設されたため、会計も分離されず、資金もスタッフも内部から調達し、「UBSからの与信枠は無限大だった」と責任者は証言している。しかも主要なスタッフをDRCMに動員したため、UBS体のリスク管理が機能しなくなったことが重大な結果をまねいた。 DRCMはUBSのエリート集団だったため、内部牽制が十分行なわれず、DRCMもそうした警告を無視した。また金融技術によるヘッジを過信し、"tail event"(特異現象)に注意を払わなかった。結果的に

    Schuld
    Schuld 2008/04/26
  • 官製不況を生む「合理的バイアス」 - 池田信夫 blog

    経済学でバイアスというのは、合理的な行動を基準にした概念だが、人々のバイアスが広く知られている場合、それに合わせて行動することが合理的になる場合がある。 確率論で有名な、エルズバーグ・パラドックスというのがある。中の見えない壷Aには「赤い玉が50個、黒い玉が50個」入っており、壷Bには「赤か黒どちらかの玉が合計100個」入っている場合、赤をつかんだら100ドルもらえるとするといくら賭けるか、という実験をすると、赤をつかむ確率は同じなのに、壷Aへの賭け金はつねにBより大きい。 これは不確実性を避けるバイアスだ。いいかえれば、未知のコストより既知のコストのほうが好まれる。たとえば個人情報保護法が制定されて以来、企業の情報管理コストは膨大になった。実際には個人情報のほとんどは公知の事実で実害はないが、違法行為となるとメディアに大きく報道され、企業のブランドが傷つく。過剰報道のコストは予想でき

    Schuld
    Schuld 2008/04/10
  • Be Evil! - 池田信夫 blog

    Wired誌のアップル特集は、IT企業の「成功のルール」について、あらためて考えさせる:シリコンバレーのルール1:プラットフォームを開放し、協力せよ アップルのルール1:自分のマシンだけで動くソフトウェアを開発せよ シリコンバレーのルール2:企業情報を顧客に明かし、コミュニケーションをとれ アップルのルール2:メディアには何もしゃべるな シリコンバレーのルール3:市場の主導権をとっても、独占しようとするな アップルのルール3:優位になった市場から、徹底的に利益を上げろ シリコンバレーのルール4:顧客を中心にせよ アップルのルール4:自分の作りたいものを作れ シリコンバレーのルール5:社員のアイデアを大事にし、ボトムアップで意思決定せよ アップルのルール5:すべてをトップが決め、社員はそれに従えこの産業で人々が買うのは必需品ではないのだから、彼らが何を求めているかは予測でき

  • タカ派バイアス - 池田信夫 blog

    ここ数日の私の記事に対する反応は、99%(小倉秀夫さんを除いて)ネット規制に全面反対だ。しかし、こういう「タカ派」に勝ち目はない。世論調査では、90%以上がネット規制に賛成しているからだ。 こういう傾向をKahnemanは、タカ派バイアスと呼んでいる。行動経済学の実験で確かめられたバイアスは、すべてタカ派的な方向に偏っているからだ。たとえば被験者の80%が「自分は平均より運転がうまい」と信じている。また何をいったかよりも誰がいったかが重視されるから、戦いにのぞんで妥協的な態度をとる弱虫はきらわれやすい。 Kahnemanが分析しているのはイラク戦争だが、今の日政治状況も似たところがある。ねじれ国会はチキンゲームだから、ナッシュ均衡はどっちかが譲歩するしかない。しかし大連立のような弱虫的な態度をとると、党内から非難を浴びるので、小沢一郎氏はタカ派を演じなければならない。福田首相は弱虫

    Schuld
    Schuld 2008/04/06
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか - 池田信夫 blog

    高市早苗氏も高井美穂氏も、インターネットが「青少年に対するいじめに当たる情報であって、当該青少年に著しい心理的外傷を与える」と思っているらしいが、それは実証的に確かめられたこともない通俗的な思い込みに過ぎない。いじめというのは今に始まったことではないし、インターネットが原因でもない。 著者は、いじめは子供が集団を形成するとき異質な分子を排除する伝統的な行動だと指摘する。それが「心理的外傷」を与えるほど暴力的になるのは、多くの子供が喧嘩や悪口などのノイズに免疫がないため、群衆行動に走るからだ。したがって、インターネットから子供を隔離して「無菌状態」に置くのは、かえって子供の免疫力を弱め、いじめを助長するおそれが強い。 古きよき「国家の品格」が失われたために子供の心が荒廃した、という類のセンチメンタリズムも、著者は実験データをもとに一蹴する。伝統的な小集団では、「村八分」のような繰り返しゲ

    Schuld
    Schuld 2008/04/05
  • 所有権のドグマ - 池田信夫 blog

    教科書を書評するのは初めてだが、書はそれぐらいの価値がある。これが著者のような大御所の初めての著作権の教科書というのは意外だが、今後のスタンダードになるだろう。しかし大御所の教科書にありがちな前例踏襲型ではなく、時代の急速な変化に著作権法が追いついていないことを認識し、それをどう是正するかという未来志向型で書かれている。たとえば序章で、著者はこう問いかける:デジタル化の波は著作権法制に極めて大きな影響を与えていると考えられる。著作権法を所有権法制の枠内で捉え、その微修正でその場しのぎをしている現状は大きく変更されなければならないのかもしれない。万人が著作物の複製・改変をし、発信をする時代において、著作権法システムが従来のように所有権のドグマに捕らわれていたのでは、情報の利用にとってマイナスとはならないのか。(p.9、強調は引用者。以下も同じ)この「所有権のドグマ」についての著者の問題意識

  • リバタリアンな日本経団連 - 池田信夫 blog

    きょうのICPFシンポジウムがニュースになるとすれば、総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の中心人物である中村伊知哉氏が、「情報通信法」(仮称)について、「日経団連の案を支持する」と明言したことだろう。 当ブログでも何度かふれたように、業界ごとに縦割りになっている通信・放送規制をレイヤー別に再編成する情報通信法の考え方は、私も10年前から提言してきたことであり、ごく常識的な改革だ。しかし、この「丸」であるインフラの問題をほったらかしにして「表現の自由」ばかり問題になるのはおかしい、と中村氏はいい、「コンテンツの問題については、経団連の案のように原則規制なしにするほうがすっきりする」と評価した。 その経団連の提言は、ちょっと財界の文書とは思えないぐらいリバタリアンだ。特に通信業界にくらべて「放送については、制度発足以来、制度的枠組みについてほとんど手が付けられていない

    Schuld
    Schuld 2008/03/16
  • 電波社会主義の復活 - 池田信夫 blog

    社会主義はとっくに崩壊したと思っていたら、電波行政の世界では、ほとんどの人の知らないところで、社会主義が密かに復活しているようだ。 3月10日に、総務省の「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」の第9回会合が非公開で行なわれたが、関係者によれば、VHF帯のアナログ放送を止めた「跡地」には、現在のワンセグの延長上の技術であるISDB-Tmmが採用される方向らしい。しかも、これを提案しているのはテレビ局なので、電波の割り当てを受けるのもテレビ局の子会社になりそうだ。彼らは「VHF帯はもともと放送局のものだ」と主張しており、この懇談会も最初から「携帯端末向けマルチメディア放送」という用途を総務省が決めている。 この案には、根的な疑問がある。第一に、2011年にVHF帯が空くという想定は、非現実的だ。地上デジタル放送「対応」テレビは、今年2月で3100万台に達しただ

    Schuld
    Schuld 2008/03/12
  • 日本版SWFは第二の「新銀行東京」になるか - 池田信夫 blog

    昨日ある大手の機関投資家と話したら、「最近、突然出てきた100兆円ファンドの話は非常に心配だ」といわれた。これは、いわゆる日版SWFで、外為特別会計の外貨準備110兆円を、いま世界経済を席捲しているSWF(sovereign wealth fund)として運用しようという話で、自民党ではさっそく検討プロジェクトチームが立ち上がっている。 この話に火をつけたのは、実は当ブログでも紹介した高橋洋一氏だ。彼が「特別会計には少なくとも50兆円の隠し資産がある」ことを詳細に暴露したため、財務省が埋蔵金を出さざるをえなくなったのだ。外為特会は主に米国債で運用しているため、運用益どころか、かなり大きな為替差損が出ている。それを効率的に運用することは望ましいが、機関投資家氏の心配していたのは「そんな莫大な資金を運用できるファンドマネジャーは、日にはいない。まして公務員がやったら、新銀行東京の何百倍の

    Schuld
    Schuld 2008/03/01
  • 新たなる資本主義の正体 - 池田信夫 blog

    数年前、アメリカ友人の家で小さなパーティがあったとき、エンロン事件が話題になった。「日ではエンロンってどれぐらい話題になった?」ときくので、私が「ほとんどの日人は社名も知らないと思うよ」と答えると、彼女は意外な顔をした。当時、すでに有罪判決も出て、事件はほぼ終わっていたので、私は「ただの一過性のスキャンダルがなぜいつまでも話題になるのか」と不可解に思ったものだ。 しかし書を読むと、エンロン事件はもっと大きな変化をアメリカ主義に与えたことがわかる。それは株式が紙切れになった何万人もの株主に、経営者は信用できないという決定的な不信感を植えつけたのだ。『CEOvs取締役会』は、同じ問題を具体的な事件で描いている。エンロン事件のあと、HP、AIG、ボーイングなどでCEOが取締役会にクビにされる事件が続発し、経営者にとって取締役会は、敵対的買収以上の脅威となった。 これは一見、企業内

  • なぜ日本は失敗し続けるのか - 池田信夫 blog

    今週のEconomist誌の日特集は、これまでになくきびしいトーンだ。もう一つの要約記事とあわせて、簡単に紹介しておく(訳はかなり適当):いま世界の注目は、日に集まっている。それはその未来に対してではなく、過去に対してである。サブプライムローン問題は、1990年代に日の経験した不良債権問題に、性格も規模もよく似ている。そして日は、考えられるかぎり最悪の対応によって、その危機を10年以上も引き延ばし、経済を壊滅させた。アメリカはこの教訓に学び、すばやい償却や金融緩和などによって、危機を早く克服しようとしている。 しかし当の日には、あまり危機感が感じられない。小泉政権によって日は改革の方向に歩みだしたようにみえたが、その終わりとともに元に戻り始めている。その最大の原因は、政治が脳死状態に陥っていることだ。これについて当誌の記者が、自民党の大島国対委員長に取材したところ、彼は「何か

    Schuld
    Schuld 2008/02/22
  • 買収防衛策は有害無益だ(長文) - 池田信夫 blog

    北畑隆生氏の「株主はバカ」発言は大反響を呼び、ブログ検索でみると倖田来未の「羊水」発言を上回っている。しかし経産省では、blog.goo.ne.jpは有害サイト(?)としてフィルタリングされているそうなので、官僚諸氏が休日に読めるように、これまでの議論を整理してみた。なお、この記事は専門的で、一部は過去の記事やコメントと重複するので、興味のない人は無視してください。 ●会社はだれのものか 今回の問題の質は「バカ」発言ではなく、北畑氏の「真意」を説明した講演録にある。その「会社は株主だけのものか?」というタイトルに示されるように、彼のねらいは会社法の「会社は株主のものだ」という規定の批判にある。彼はこう問いかける:今の会社を見たときに、利益を生み出しているのはだれだと言えるでしょうか。お金は日に千四百兆円あるわけですし、世界中に金があふれ返っていて、お金を持っている人が「全部、おれの

    Schuld
    Schuld 2008/02/17
  • 新銀行東京は破綻処理せよ - 池田信夫 blog

    経営危機に瀕している「新銀行東京」について、都は400億円の追加出資を決めたという。しかし、これによって収益の回復する見込みはない。そもそもビジネスモデルが間違っているからだ。大前研一氏によれば、この構想のきっかけは、2001年に彼が石原都知事に次のように話したことだったという:大銀行をはじめとして、金融機関がバタバタと倒れている時世に、東京都の運用資金など日によって9兆円にも達するお金を、1000万円以上保証されない都市銀行に預けていていいのか。危ないのではないか。このとき大前氏の考えていたのは、都の資金を預かるのがメインで決済専門の「ナロウバンク」に近い発想で、店舗ももたず、各銀行に支店口座をもつ最小規模の「仮想銀行」だった。ところが、石原氏がこれを「中小企業の貸し渋り対策」に使うといい始めたころから、話がおかしくなった。規模もどんどんふくらみ、2005年に開業したときは、都が1000

    Schuld
    Schuld 2008/02/15
  • 意図せざる結果の法則 - 池田信夫 blog

    コメントで教えてもらったが、Marginal Revolution(もとはFreakonomics)に意図せざる結果についてのおもしろい記事が出ている。これは当ブログで何度も取り上げた「一段階論理の正義」と同じ話だが、産業政策にあてはめると、こうなる:ある役所が「オメガ計画」という大プロジェクトをつくり、日の「ICT国際競争力」を上げるため、「日発の国際標準」をとった企業に技術開発費を政府が全額補助することにした。しかし普通の携帯電話技術は欧米企業が特許をもっているので、日メーカーX社はそれとは別の「次世代PHB」という規格を開発し、ITUに提案した。実際の開発は孫請けにやらせ、X社は「管理費」として2割とる。ITUは、どうせそんな技術はだれも使わないので、"**** Annex.J"という名称で国際標準として勧告した。X社は、開発した技術を使わないで放置した。それによって開発費の2

    Schuld
    Schuld 2008/02/13
  • 音楽のレッスン - 池田信夫 blog

    Seth's Blogより: あなたが音楽業界(の崩壊)から学べること新しいものは古いものより決してよくない、少なくとも今は 過去の業績は、将来の成功の保証にはならない コピープロテクションは、デジタル時代の空しい夢(pipe dream)だ インタラクティビティはコピーできない パーミッションは将来の資産である 消費者に恐怖を与えても幸福にはできない これは重要:ビジネスモデルを変えるのは、過去の勢いがあるうちだ ボブ・ディランのルールを思い出せ:これはただのレコードではなく、運動なのだ 新しいビジネスモデルが古いものほど「クリーン」でなくても、パニックになるな 壁に書かれた言葉を読め(*) ロングテールを捨てるな デジタルの力を理解しろ 有名人は過小評価されている 価値は、多数から少数に行くとき、あるいはその逆のとき生まれる 可能なときは、つねにサブスクリ

  • プロ・パテントから転換するアメリカ - 池田信夫 blog

    WSJによれば、アメリカのCAFC(日の知財高裁にあたる裁判所)は、いわゆるビジネス方法特許について「実用的な応用が可能で、コンピュータなど特定の技術にリンクしていることが必要で、思いつきだけの特許は認めない」という判決を出した。これは1998年にCAFCが初めてビジネス方法特許を認めて以来、その範囲を初めて明確にせばめる画期的な判決である。 4月には連邦最高裁が「先行特許の自明な組み合わせによる特許は無効」という判決を出し、これまでプロ・パテントの方向に強まる一方だった知的財産権の保護を弱める方向に転換するものとして注目された。9月には、世界各国から批判を浴びていた特許の先発明主義を他国と同じ先願主義に転換するとともに、いったん成立した特許を見直す制度を創設する特許法改正案が下院で可決された。 現在のアメリカの特許制度は泥沼化しており、自明で広範囲の特許を取ったまま使わず、他社が似