「そうっすね」「おもしろいっす」 男子学生の会話の語尾の「す」に気づいたのは1990年代。「日本語は『です』『ます』の丁寧体と『だ』の普通体に分けられ、『です』を短縮した表現『す』はその中間です。丁寧さは日本人の大切な価値観ですが、『す』は丁寧さに対する感覚を変えるんじゃないか?」。そんな予測から「ス体」と名付けて調べた。 体育会系クラブに所属する男子大学生の会話を録音分析して分かったのは、ス体は後輩が先輩に話す時に使い、決してその逆ではないこと。後輩同士でも避ける。つまりス体は「親しい丁寧さ」を表現する一種の敬語だった。「他にも主張を和らげる、仲間意識を示すなどの意味があってス体はとても繊細です」。そこに広がっていたのは「かわいげがあって憎めない豊かな世界」だった。 しかし世間ではどうだろう。「正しい日本語を話さないとみっともない」「ヤンキー言葉」との批判がネットでは多数派だ。「敬語は日
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