わたしは一応神道と仏教の信者である。神社に行けば神を拝み,仏閣では仏を拝む,ごくありふれた善男善女の一人だ。それはわたしにとって当然の営為である。けれど,それについて深く考えようとしたことはあまりなかった。ので,ここでは雑駁ではあるがわたしにとって宗教を信じるということについて語ってみたいと思う。 そもそもわたしはあまりお経や祝詞にきちんと目を通したことがない。概説書を通して間接的・表層的に教えに触れたことがあるくらいだ。 わたしは本読みの癖として,どうしても文章にツッコミを入れながら読む癖をやめられない。ツッコミを入れながら読んで,それでもなお最終的には「面白い!」と感じさせる小説を名作と呼び,それでもなお唸らされる研究を「すぐれた研究」というのだろうと勝手に思っている。ゆえにわたしは,教典という文章の形で示されたものを,心から信じるということができそうにない。聖書や仏典やクルアーンの現