巨匠・筒井康隆が最後の長編小説『モナドの領域』を語る 「究極のテーマ『神』について書いたので、これ以上書くことはない」 (取材・文/瀧井朝世) ―2年半ぶりとなる長篇小説です。まず、河川敷で女性の片腕が発見され警察の捜査が開始されるところから始まります。一方で、片腕の形のバゲットで話題を集めるベーカリーも登場し、常連客の老教授が奇妙な振る舞いを見せるようになる。最初は刑事が主人公のミステリーかと思ったら、予測のつかない方向に話が広がっていきますね。 最初のアイデアは、片腕の形をしたパンだったんです。私はパンのなかでバゲットが一番好きなんですが、腕の形のパンで短篇ができないかと考えたんです。そこに昔から考えていた神というテーマがくっつきました。 刑事たちの名前はNHKのBSニュースのアナウンサーたちの名前です。警部の上代真一は大ファンである上代真希ちゃんから(笑)。鑑識の堤は堤真由美、杉本刑