「第3四半期までの決算はぎりぎり赤字になってしまった」 航空大手ANAホールディングスの平子裕志CFO(最高財務責任者)は1月27日の決算会見で、傘下のLCC(格安航空会社)バニラ・エアの業績をそう表現した。数千万円単位の赤字だという。前2015年度は第3四半期までで11億円の営業黒字が出ていたことを考えれば、大きな減速である。 最大の要因は、バニラの主戦場である台湾と香港の両路線が供給過多に陥っていることにある。バニラが現在運航する国際線7路線のうち、台湾路線は成田―台北(桃園、以下同)、成田―高雄、関空―台北、沖縄―台北の4つで合わせると1日最大7便となる。また、香港路線は成田―香港の1つで1日2便だ。つまり競争の激しい路線の割合が高い。 台湾・香港路線で競争が熾烈に 航空機を増やして新規路線を設けた結果、バニラはこの第3四半期までで旅客数が前年同期比約18%増となった。だが運賃下落が