人間・始皇帝 (岩波新書) 作者: 鶴間和幸出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/09/19メディア: 新書この商品を含むブログ (10件) を見る 司馬遷による『史記』の記述の検討と出土文字史料から、始皇帝の生涯を再構成する。まあ、2200年前のことで、タイトルにあるような「人間」始皇帝が明らかになっているかというと、微妙感はある。「肉声」が見えてくるような感じはしないな。 しかし、出土文字史料の豊穣さがすごいな。古井戸に遺棄されたとか、墓の副葬品だったとか。それによって、後世に改竄された可能性が高い史料より、同時代の眼で、検証できるようになった。 出生から始まって、即位、家臣粛清、暗殺未遂、統一後の巡行、「中華」を意識する動き、死去、そして死後の混乱と帝国の解体と、それぞれ章を分けて、検討している。そもそも、『史記』には始皇帝の名前が「趙政」とあるが、出土文字史料の検討からす