わたしたちの視覚には「色」がある。だから、色があるのは当たり前と思うかもしれないけれど、色覚を持たない動物も多い。なぜわたしたちには色覚があり、どのように進化してきたのか。魚類から霊長類まで、広く深く色覚を追究している河村正二先生の研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=内海裕之)
ニホンイタチの保護に関する研究で林野庁長官賞に輝いた藤島高校生物部の高崎悠衣さん(左)と吉田悠人さん=11月25日、福井県福井市の同校 福井県立藤島高校生物部の2年生2人が、野生生物保護に関する環境省の発表大会で林野庁長官賞に輝いた。DNA分析を基に在来種のニホンイタチと、外来種のシベリアイタチとの交配が進んでいる可能性を指摘し、日本固有の生態系を守る大切さを訴えた。最高の環境大臣賞に次ぐ賞に11月25日、2人は「研究成果が認められてうれしい」と声を弾ませた。 2人は高崎悠衣さんと吉田悠人さん。シベリアイタチが福井県内でも増殖していることを生物部で学び、研究テーマに設定。在来種と外来種の外観やDNAを比べるため、同県鯖江市や福井市自然史博物館に協力してもらい、県内で発見された固体の調査を続けた。 DNAの塩基配列を詳しく調べたところ、母方がニホンイタチ、父方がシベリアイタチの雑種を発見した
サンゴやウナギ、カンモンハタなど月の満ち欠けと一斉産卵が重なるケースは多くあります。 クサフグもまた新月と満月の日に集団で産卵を行う生き物の一つです。 このように月の満ち欠けが様々な生物に影響を及ぼしているのは明らかであるものの、意外にもそのメカニズムに関しては明らかにされていませんでした。 そんな中、2022年10月名古屋大学を中心とした研究チームによってクサフグが月の満ち欠けに伴って集団産卵するメカニズムが発表され、注目を集めています。 A pheromone that explains why puffer fish spawn on beaches under moonlight https://phys.org/news/2022-10-pheromone-puffer-fish-spawn-beaches.html クサフグが大潮に一斉集団産卵する仕組みを解明 月の満ち欠けに
アメリカアカガエルは冬になると凍結し、春になると解凍される。(PHOTOGRAPH BY JANET M. STOREY) 筆者が大学生だったとき、教授が授業中にある実演をしてクラスに衝撃を与えた。教授は、まだ生きているのにガチガチに凍ったアメリカアカガエルを私たちに見せると、突然、それを壁に投げつけた。粉々に砕けたのを見て、誰もが息をのんだ。 教授はすぐに種明かしをした。実は、投げたのはカエルではなく、すり替えた氷の塊だった。大げさな演出のためだという。ともあれ、教授が説明したかったのは次のことだ。アメリカアカガエルは冬を越すために、実際に氷のように固く凍る。そして、春になると解凍されて動き出すのだ。 アメリカアカガエルは、地球上の“凍る動物”の中で、最もよく研究されているものの一つだ。秋に気温が下がると、木の葉の中に身を隠し、心臓や脳などあらゆる部分が完全に停止してしまうまで体を凍らせ
この海岸の三ツ瀬(みつせ)層と呼ばれる地層から2019年4月に発掘され、鑑定により大型のティラノサウルス科の歯と判明した。長さ85ミリ、根元の幅33ミリ、厚さ18ミリで、右下あごのものとみられる。生え替わりで抜けたもので、中央部は周囲の地層の圧力で変形している。歯冠の全てと歯根の一部があり、保存状態は良好という。 ティラノサウルス科は、後期白亜紀の後半の約8300万~6600万年前にいた獣脚類の進歩的なグループ。大型のものは北米でティラノサウルスやダスプレトサウルス、アジアではタルボサウルス、ズケンティラヌスなどがいた。 国内のティラノサウルスの仲間としては、ティラノサウルス科を含む大きなグループ「ティラノサウルス上科(じょうか)」に属する、前期白亜紀(約1億4500万~1億年前)の小さな化石が見つかってきた。大型のティラノサウルス科のものは、長崎ではこれで3点目となったほか、熊本県天草市
雪上に舞い降りるカラフトフクロウのメス。フィンランドで撮影。(PHOTOGRAPH BY WILD WONDERS OF EUROPE / ZACEK, NATURE PICTURE LIBRARY) カラフトフクロウは50センチも積もった雪の下に隠れているハタネズミを見つけ出し、硬い雪面を両脚で突き破って捕まえることができる。このような離れ業を成し遂げられるのは、ネズミの超音波振動を検知できるからだと考えられてきた。しかし、新たな研究により、カラフトフクロウは、ハタネズミが雪の中にトンネルを掘る音など、より低い音も拾っていることが示唆された。 2022年11月23日付けで学術誌「英国王立協会紀要B(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された研究論文は、カラフトフクロウが雪上でホバリングしてかすかな音を探し出すことと、その際に幅の広い顔が役立ってい
すべての生きものは数をかぞえている。チンパンジーや犬だけじゃない。鳥も魚もネズミもライオンもイルカも数をかぞえ、アリもハチも計算し、セミは素数の周期を把握していた!! 言語をもたない生きものも、食べて繁殖して生存するために、数を認識し、かぞえている。いや、計算すらしているのだ――この大胆な仮説を、認知神経心理学の第一人者にして数的能力の遺伝について研究を続けてきたロンドン大学名誉教授が検証。そんな知的好奇心を駆り立てる1冊『魚は数をかぞえられるか?』から注目の章をピックアップ。 哺乳類の仲間の中で、素晴らしい計数の能力を持つネズミだが、脳の重さは0.5グラムにも満たない。一方、クジラは巨大な脳を持っている。たとえば、マッコウクジラ(学名:Physeter macrocephalus)は、地球上のあらゆる動物の中で最大の脳を持ち、その重さは大人のオスで7.8キロもある。人間の脳は、約1.4キ
縄張りの端で遊んでいた稚魚を口に入れ、安全な場所で吐き出すシクリッドの母親。(PHOTOGRAPH BY JANE BURTON, NATUREPL.COM) 子育ては大変だ。最新の研究によれば、子育てがあまりに大変なため、自分の子どもを食べるものがいるという。それも、4分の3以上も。 「驚きの事実です」と、2022年11月9日付けで学術誌「Biology Letter」に発表された論文の上級著者である米セントラル・ミシガン大学の生物学者ピーター・ダイクストラ氏は語る。「このようなことが本当によく起きています」 アフリカ中央部に生息するシクリッド科(カワスズメ科)の魚アスタトティラピア・ブルトーニ(Astatotilapia burtoni)は、口の中で子どもを育てる(マウスブルーダー)。この口内保育は魚類、特にシクリッド科では一般的だ。シクリッドはカラフルな淡水魚で、ペットとして人気があ
哺乳類の多くは5本指構造だが、進化の過程で環境に応じて指の形や本数を変えてきた。馬は大草原を速く走れるように5本指の一部を残し、残りを退化させてひづめの形になったとされる。ほとんどの犬は前足が5本指、後ろ足が4本指だが、前後とも5本指、4本指の犬種もある。 SHHは組織の再生やがんの形成にも関係する重要なタンパク質。胎児期に指などの器官ができる際にSHHが細胞の増殖や分化、四肢の発生を促すことが知られている。 濃度勾配は一定の領域内に濃度の濃淡があることで、液体などの中で濃度が異なる部分があると「濃度勾配がある」と表現される。組織内、細胞内のSHHの濃度勾配は器官ができる上で重要な役割を果たしているとされながら、濃度勾配がどのようにできるかは分かっていなかった。 東京大学大学院医学系研究科の廣川特任研究員らの研究グループは、細胞内で物質を輸送する重要な働きをしている「分子モーター」と呼ばれ
オーストラリアなどが原産のイエアメガエル(家雨蛙)。新興感染症「カエルツボカビ」は世界の希少なカエル集団に絶滅の危機をもたらしているとされる ネアンデルタール人由来の遺伝子を、現代人も受け継いでいる――。そんな研究が、今年のノーベル医学生理学賞に輝きました。過去の生物の遺伝情報をたどる研究は、人間以外の動物でも進んでいるようです。国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんが、ある動物をめぐるやっかいな感染症の歴史について解説します。 今年のノーベル医学生理学賞に輝いた独マックスプランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ教授は、ネアンデルタール人やデニソワ人といった旧人類の化石に残るDNAを分析することで、その遺伝的構造を明らかにして、人類の進化プロセスについて新たな事実を次々と発見した。
ニュージーランドの孤島に生息する「シュレーターペンギン(学名:Eudyptes sclateri)」は、最初に産んだ卵を捨てて、2個目の卵だけを大事に育てるという奇妙な習性を持っています。 これは、シュレーターペンギンを研究する専門家にとって、長年の大きな謎となっていました。 産卵は多大なエネルギーを消費するため、せっかく産んだ卵を捨てるのは、鳥類において異例の行動なのです。 しかしこのほど、ニュージーランド・オタゴ大学(University of Otago)の研究チームは、その最新調査から、シュレーターペンギンが1個目の卵を放棄する理由について、解答を提示しました。 その理由は、一夫一婦の両親が、2羽のヒナを同時には養えないことから来ているようです。 研究の詳細は、2022年10月12日付で科学雑誌『PLOS One』に掲載されました。 In ‘bizarre behavior,’ N
ホッキョクグマとヒグマの交雑種。「ピズリー」「グローラーベア」などと呼ばれる。地球が温暖化し、ホッキョクグマとヒグマの生息地が重なるようになると、2種の交雑種が増える可能性がある。(PHOTOGRAPH BY PHILIPPE CLEMENT, ARTERRA, UNIVERSAL IMAGES GROUP, GETTY) 2020年夏、科学者たちは米ペンシルベニア州で不思議な鳥に遭遇した。それは、見かけはムネアカイカルだが、鳴き声はアカフウキンチョウにそっくりだった。 同州ピッツバーグにある国立鳥園の鳥類学者ボブ・マルビヒル氏が、鳥を捕獲して血液を採取し、遺伝子を分析した結果、この鳥は異種の親から生まれた雑種の「交雑種」であると結論付けられた。 交雑種と言えば、ウマとロバを掛け合わせたラバが有名だ。しかしこのとき発見された鳥のように、それぞれの種の体色が大きく異なるケースは珍しい。ムネア
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「エド」はスフィンクスと呼ばれる種類のネコ。好奇心が強く、社交的で、愛情深く、人の感情に敏感に反応する。「おしゃべり」も大好きで、名前を呼ぶとのどをごろごろと鳴らす。写真の中のエドは耳を前に向けこちらに集中している。細くなった瞳孔はリラックスしている証拠だ。(PHOTOGRAPH BY VINCENT LAGRANGE) 動物は感情をもつのだろうか? イヌやネコが、幸福感やストレス、不満、脅えを感じていることは、これまでの調べでわかっている。イヌの場合は飼い主の感情を察することもできるようだ。(参考記事:「飼い主の感情は犬に「伝染」する、どうやって?」) ほかの動物たちはどうだろうか? 行動学の研究から、動物たちが認知能力だけでなく感情を持っていることがわかってきた。ナショナル ジオグラフィック2022年10月号の特集「動物たちの心」では、共感や思いやりといった複雑な感情を示す動物たちを紹
ハイイログマは体重360キロほどまで成長する。写真は米ワシントン州立大学のクマ飼育施設「WSUベア・センター」で飼育されているハイイログマ。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HUBNER, WASHINGTON STATE UNIVERSITY) 1日に何万キロカロリーも食べて体を太らせたあと、ほとんど動かずに数カ月間を過ごす。もし人間がこんな生活をすれば、健康状態は最悪になるだろう。ではなぜ、ハイイログマ(グリズリー)はそんな生活をしても糖尿病にならないのだろうか。科学者たちを長年悩ませてきたこの疑問が解かれつつある。 米ワシントン州立大学の研究者たちは、ハイイログマ(Ursus arctos)でインスリンの効き具合(抵抗性)をコントロールできる遺伝子的な仕組みがあることを示す手がかりを発見した。2022年9月21日付けで学術誌「iScience」に掲載された論文によると、この
鈴木俊貴 白眉センター特定助教らの研究グループは、鳥類の1種であるシジュウカラにおいて、2つの連続する鳴き声を1つのまとまりとして認識する能力を実験的に確認しました。 ヒトの多彩な言語表現は、2つの要素を1つにまとめる力のもとに成り立ちます。例えば、「小さくて黒い犬」という表現は、「小さくて」と「黒い犬」が1つにまとまったものであり、そのうち「黒い犬」は、「黒い」と「犬」が1つにまとまった表現です。このように、2語を1つのまとまりとして認識する能力は、言語学では併合(Merge)と呼ばれ、ヒトの言語の核であると考えられています。 シジュウカラは、仲間と共に天敵を追い払うための号令として、警戒声と集合声を連ねて鳴きます。この音列を1つの音源(1羽を想定)から再生すると、それを聴いたシジュウカラは天敵を追い払うために集まります。しかし、警戒声と集合声を2つの音源(2羽を想定)から別々に聴かせる
――「マンボウは3億個の卵を産むが、成魚になれるのは2匹程度」というのは本当なのでしょうか? 正しい情報と間違った情報が混ざっています。そもそも、マンボウがどれだけの卵を産むのか、またそこからどれくらいの数が成魚になるのかはまったくわかっていないんです。 ――では、なぜこのような噂が生まれたのでしょうか? 発端は1921年、つまり100年以上前にイギリスの有名な科学雑誌『Nature』で発表された、Schmidt氏の論文です。この論文には、「マンボウの卵巣内に3億個以上の小さな未成熟の卵が含まれていることを発見した」という短い一文が記載されています。 ――となると、「3億個の卵を産む」というのは本当だったということでしょうか。 そうではありません。現代の知見では一般的に、「未成熟の卵」は「これから産み出される卵」として数えません。メスの体内で成熟していく過程で、卵の細胞数が変わり、また細胞
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