食品添加物、残留農薬、遺伝子組み換え食品、放射性物質(放射能)…。内閣府食品安全委員会のアンケートで、半数以上が「不安」と答えた項目だ。中でも放射性物質は8割近くが「不安」と回答。しかし、低線量放射線による、がん発症リスクは喫煙などに比べ、小さい。なぜ、不安に思うのか。『不安の構造-リスクを管理する方法』(エネルギーフォーラム)の著者、唐木英明・東大名誉教授(72)に聞いた。(平沢裕子)◇ ◆客観的には安全 --食品添加物や低線量放射線を不安に思う人は多い 私が物心ついた頃は戦時中で、家族はいつ空襲があるのかという切実な不安を抱え、暮らしていた。戦後の混乱期は、食料も仕事も将来の夢もなかった。高度経済成長期は化学物質による環境汚染が不安を広げた。客観的に見れば、時代とともに社会は安全になっている。でも、不安はいつの時代も減らない。不安が動物の本能だから。正体が分からないものや将来を見通せな