同じ目的を持って、ひとつの場所に集まって,偶々言葉を交わす。 そこにもきっと、なにかの縁というものがあるのだと、この歳になると思うようになった。 この土地に引っ越しをしてきて3年目の春。 少しづつ新たな知り合いも増えた。 その方は、たった一言だけ会話をした方だった。 突然亡くなったと聞いたとき、なぜか頭から離れずに、いまだ彼の人生について考える。 どこか懐かしさのようなものを感じるその眼差しに、少しだけ父に似たものを感じたからかも知れない。 それは、なにか欠けている自分の一部分を探しているような少しぼんやりとした雰囲気。 心の奥底に、忘れたくないなにかを持っているような、少し秘密めいた佇まい。 昨日、煙突から煙となって旅立った。 自分自身と再会することはできましたか? 心の中で話しかけた。 新たな名で生きていた。 彼は数年前、千尋が名前を失って、千になったように自分自身の名前を失っていた。