ノンフィクション作家・佐野眞一さん〈1〉 本の哲学こそ深化させるとき[掲載]2011年2月6日電子書籍端末「リーダー」に、自著『だれが「本」を殺すのか』を入れた=東京都内の公園、郭允撮影著者:佐野 眞一 出版社:プレジデント社 価格:¥ 1,890 今年は電子書籍元年になる。今年こそ電子本が紙の本を追い越す。こんな宣伝コピーをどれだけ読まされ、その都度裏切られてきたことか。 主にIT評論家によって書かれたこの種の本は、本というものに対するあまりにも乱暴な、といって語弊があるなら、深い愛情と歴史的省察を欠いた論理展開は、古典的な活字中毒者の私からいわせれば、とても付き合いきれる代物ではない。 彼らは本が電子化されれば、そこから音楽も、映像も出るようになるという。でも、それって本当に本の進歩なの。活字と対話する孤独な作業の中からしか、自分だけの音楽も映像も生まれてこない。それこそが想像力を錬