被災文化財の再生 岩手の技で真の復興を 大規模災害の混乱の中で、文化財をいかに早く、より多く救うか。熊本地震では、石垣が崩れるなど大きな被害を受けた熊本城の復旧への動きが早くも始まっている。 修復費用として日本財団が30億円の提供を発表したほか、改修を終えた小田原城(神奈川県)の入館料寄付など、支援の輪が全国的に広がっている。 熊本城を中核とした文化財再生への機運の高まりは、城が有数の観光資源であることに加え、東日本大震災の経験が後押ししていることも大きいだろう。 被災者の心の支えとして、有形無形の文化財がどれほど大切か。震災は、このことを社会が広く共有する契機でもあった。熊本地震被災地も、歴史文化を生かした「真の復興」に向け、着実に歩みを進めてほしい。 ただ、懸念はある。熊本城や阿蘇神社など国指定文化財は目に付きやすいが、未指定で個人蔵の資料の被災状況は定かではない。地域の歴史文化を継承