江戸期築城の「尼崎城」の天守閣を、当時と同規模程度で再現するプロジェクトが動き始めた。家電量販店の旧ミドリ電化(現エディオン)創業者の安保(あぼ)詮(あきら)さん(82)=西宮市=が、10億円以上の私産を投じて天守閣を建設し、尼崎市に寄贈することを打診。市有地の利用などについて、同市と25日に協定を結んだ。(石川 翠) 安保さんは朝来市出身。1959年に尼崎市内で旧ミドリ電化の前身となる「みどり電気」を創設した。ゆかりの地に恩返しがしたいと、天守閣の再現を市に申し出た。 尼崎城は江戸時代初期、現在の阪神尼崎駅南東部に建てられた平城。尼崎藩主戸田氏鉄(うじかね)が4層の天守閣(幅約19メートル、奥行き約15メートル、高さ約25メートル)を築いたとされ、当時の図面では、城の敷地は約13万4千平方メートルと甲子園球場の3・4倍に及んだという。しかし、1873(明治6)年の廃城令で取り壊された