《構内デモ》1955年、国鉄労働組合蔵 《行動隊長 青木市五郎》1955-56年、立川市歴史民俗資料館蔵 東京・多摩地域で社会運動と結びついて熱く展開された美術の歴史を発掘する企画として、新海(しんかい)覚雄(かくお)(1904-68)の画業を紹介します。 彫刻家・新海(しんかい)竹太郎(たけたろう)の長男として東京・本郷に生まれ、川端画学校で油彩画を学んだ新海覚雄は、太平洋画会、二科会、一水会などで活躍、同時代の風俗や労働者の姿を描き、社会への眼差しを育みました。終戦を迎え美術界の民主化を掲げる日本美術会に参加、戦争に抵抗したドイツの美術家ケーテ・コルヴィッツに影響を受け、ヒューマニズムの立場で現実に生きる人々を描き、戦後のリアリズム美術運動を主導しました。 1950年代、社会問題に取材し、人々のたたかいを伝えた新海らの表現を、ルポルタージュ絵画と呼びます。1955年、砂川町(現在の立川