天下統一を成し遂げた豊臣秀吉は1586年、豪壮な城郭・聚楽第(じゅらくだい)の造営に着手した。さらに大名屋敷の建設、公家屋敷の再編、寺院街(寺町)の形成、町割りの変更など京都の都市改造を急速に推し進めた。 中でも私が驚くのは御土居(おどい)の建設である。京都の中心部を、高さ約5メートルの土塁と、幅約20メートルの堀でぐるりと取り囲んでしまったのだ。南北約8・5キロ、東西約3・5キロ、総延長約22・5キロ。外敵からの防御や水害対策が目的というが、わずか2カ月から4カ月で仕上げた突貫工事だったとか。いかにも派手好き・普請好きの太閤さんらしい。 その土木マニアも真っ青なのがトランプ米大統領。なんたって約3150キロあるメキシコ国境に壁を築くというのである。御土居の約140倍、秀吉並みの突貫工事で23~47年かかる勘定だ。米紙ワシントン・ポストは建設費用を約2兆8400億円と試算。さすが不動産王ら