性に対して主体的な女性像を描き、現代女性の性に対する意識を大きく変えたと言われるドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』。しかし、同作が放送を開始する1998年の6年も前に、フランスで女性の“主体的な性”を描いた作品が一世を風靡していたことをご存じだろうか。フランスの国民的作家、アニー・エルノーによる私小説『シンプルな情熱』。シングルマザーが10歳ほど年下の既婚男性との不倫を独白した本書は、フランスのみならず日本でも大きな話題となった。 そんな90年代のベストセラーを同名タイトルで映画化した作品が、7月2日に公開される。主人公のエレーヌを、アニー・エルノーの若き日を彷彿とさせるレティシア・ドッシュが、年下の恋人アレクサンドルをロシアの天才ダンサー、セルゲイ・ポルーニンが演じている。 バレエで鍛え上げられた彫刻のような身体、刺すような冷酷な瞳、ミステリアスな存在感……ポルーニンの肉体的魅力が、