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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (15)

  • The Economist:「クソな仕事 (ブルシット・ジョブ)」はクソ理論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary デヴィッド・グレーバーは、いまの資主義を批判するので人気があるが、最近の労働が実は無意味なものと化し、そこに従事している人びとが虚無と疎外感にとらわれているという『ブルシット・ジョブ』(2018) は、実際の人びとの労働意識を調べて見ると、まったく実態に即していない、ただの思いこみでしかない。それを述べたThe Economist記事を勝手に翻訳した。 デヴィッド・グレーバーは何やら一部の人にはえらく人気があって、お決まりのサヨク議論を何やらそれっぽい意匠で語ってみせるから、というのが普通の解釈だけれど、正直いってそれ以上のものだとは思わない。 で、彼のブルシット・ジョブ。ほとんどの人は読んでなくて、これが非正規のウーバー配達員とかそういう仕事のことだとおもっているんだけれど、実はちがう。オリンピック大臣の丸川珠代みたいな、何の技能もなく意味もないお飾

    The Economist:「クソな仕事 (ブルシット・ジョブ)」はクソ理論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    最近さまざまなメディアにおける人民諸君の発言を見るにつけ、であるな、多くの者が堕落し、あるべき革命精神を忘れ、軽視し、捨て去っているように見えるのだよ。特にへっぽこリベラルえせ知識人どもよ。そうした反革命分子どもにも、更正の機会を与えてやろうではないか。偉大なる首領、我らが指導者スターリン閣下のありがたきインタビューを読んで、あらためて社会における己の卑しき役割を再認識したまえ。 H・G・ウェルズによるスターリンのインタビュー、1934年7月 pdfが嫌な人は、この下に全文貼り付けてあるのでこのまま読み進めたまえ。 というわけで、H・G・ウェルズによるスターリンのインタビュー。大恐慌真っ最中の1934年にソ連を訪れたイギリスの大知識人たるウェルズは、もう資主義は終わりだ、社会主義の時代がすぐにやってくると、当時の (そして今の) 軽薄なリベラル知識人ぶりを全開にしてスターリンにインタビュ

    偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • レッシグ新刊で知ったアメリカ政治二極化の力学 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    久しぶりにレッシグの翻訳をしているんだけれど、なかなかおもしろい(部分もある)。 かつてのインターネット法や著作権法からレッシグの関心は大きく逸れて、ここしばらくのレッシグのは、アメリカの選挙献金制度の改革がテーマになっていた。何度か、翻訳の打診もきたし相談も受けたんだけれど、話があまりにアメリカの選挙制度に偏りすぎで、翻訳しても日人が関心持ちようがないと判断したので、申し訳ないんだがずっと見送りを奨めていた。 さらにその後、レッシグ自身が大統領選に出馬とかして、人的には真面目なんだろうけれど、端から見るとスタンドプレーにしか思えないことをやったりしたため、言っては悪いんだが、キワモノ的な雰囲気が高まっていたこともあって、もう最近のやつは読んでもいなかった。 それが、まあいろいろあって最新作を訳すことになって手をつけ始めている。おおむね関心は変わっておらず、アメリカ政治の根的な改革

    レッシグ新刊で知ったアメリカ政治二極化の力学 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』 AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな。まあご覧あれ。 Botnik Studios こいつを見て、あまりに感動してしまいました。この支離滅裂、異常な構想力、唐突な破綻ぶり。デスイーターたちが何だか知らないけど無意味にやおいらしきものを始めるところ。人工知能には創造性がないとかいっている連中がいるけれど、これでも、あるいはアルファゼロの囲碁でもそうだけれど、むしろ人工知能が明らかにしているのは、ぼくたち人間の知能や創造性と称するものがいかに制約されていて、型にはまっているかということだと思う。ウィリアム・バロウズが人間の矮小な構成力とキャパシティでほんの片鱗だけやってみせたことを、人工知能は鼻くそほじりながら(比喩的に)一瞬でやってのけている。 追記:このプロセスについてもう少し詳しく見た人がいる。これは当にほぼカットアップ

    AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    arihoshino
    arihoshino 2018/01/10
    “『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』”
  • 反知性主義3 Part 1: 内田編『日本の反知性主義』は編者のオレ様節が痛々しく浮いた、よじれた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    しばらく間が空いた。で、反知性主義についての簡単なお勉強を経て、ぼくが手に取ったのは『日の反知性主義』だった。 このの題名は、明らかに『アメリカの反知性主義』を意識しているようだ。その一方で、この面子を見ると、ぼくが冒頭に挙げた『現代思想』の執筆者と重なるようであり、「反知性主義」を「バーカ」の意味で使う連中の集団のようにも思える。で、どうなのよ? それがぼくの興味だった。が、その前に…… 「反知性主義」をちがう意味で使ってはいけないの? まず、そもそも「反知性主義」を「バーカ」の意味で使ってはいかんのか? ぼくはそうは思っていない。ぜんぜん構わないと思う。ただ、その場合にはホフスタッターとかを引き合いに出してはいけない。まるで意味がちがうからだ。 なぜか? ホフスタッターのは、名著とはいえ決してだれでも知っているメジャーなではない。ぼくはたまたま、漠然とホフスタッター的な意味合い

    反知性主義3 Part 1: 内田編『日本の反知性主義』は編者のオレ様節が痛々しく浮いた、よじれた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • え? じゃあエンブレムの「コンセプト」は原案にはなかったってこと? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    東京オリンピックのエンブレムの問題はもう、実におもしろくてもともとオリンピックなんかやるなと思っていた身からすれば、これだけ楽しませてくれるんなら少しは大目にみようかと思ってしまうほど。 で、ぼくはどうでもいいオリンピックのエンブレムなんかどうでもいいんだけれど、そのぐだぐだぶりは大変おもしろく見ている。で、今日になってエンブレムの「原案」と称するものが出てきた。この左端。 ????? なにこれ?? というのも、最初にあのベルギーの劇場ロゴとそっくりだという指摘があったときに「いや全然ちがいます、コンセプトがちがいます」という主張が行われ、その際に出てきたときの「コンセプト」というのはこんな説明になっていた。 www.advertimes.com そのコンセプトというのは、正方形9分割に日の丸の丸を重ねて作ったものだ、ということだった。こんな図が出てきている。 分割した正方形と円を重ねて、

    え? じゃあエンブレムの「コンセプト」は原案にはなかったってこと? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 椹木『アウトサイダーアート入門』:いまさら何さわいでんの? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    アウトサイダー・アート入門 (幻冬舎新書) 作者:椹木 野衣幻冬舎Amazon まともなエスタブリッシュメントのオゲージュツカのアートに対して、キチガイや犯罪者が作ってしまった体制の外のアートがあるのだ、そういうのに注目してエスタブリッシュメントに対してそれをつきつけねばならない、という。 何騒いでんの、という感じ。 キチガイや犯罪者の作る作品があれこれもてはやされるって、昔からの話じゃないの? 耳切り落としたヤツとか、死刑囚で小説書いてほめられたやつとか、「狂気のナントカ」って昔から迫力ある芸術を誉める十八番の言い回しだし。 だから、アウトサイダー・アートなるものが存在し、そこに何か対立構造があって、という発想自体が今さらで古くさい。というか、世間的な評価はむしろ逆で、その「アウトサイダー・アート」的なものを昔から積極的にもてはやす風潮さえある。クスリやってましたとか、ゲイでしたとか、

    椹木『アウトサイダーアート入門』:いまさら何さわいでんの? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティがらみの話で、そろそろデータを見た人が反論を始めている。そして、日の状況はちがう、日はまれに見る平等社会、日は格差が開いていないどころかかえって狭まっている、よってピケティなんかダメ、という議論をしている。 さて、ピケティを盲信して格差、格差、この世の終わりだ資主義の宿痾だ革命だマルクス様の復活だついでにアベノミクス許さんとさわぐのはたいへん愚かで恥ずかしいことなので、やめていただきたいところ。金持ち儲かるんだろ、知ってたぜ、常識だフン、どうせオレたち貧乏人はいくら頑張ってもダメなのよ、ついでにアベノミクス許さん、とかいった間抜けな発言は、ツイッターくらいにとどめておいてほしい。 その意味

    ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
  • 喫煙レモンの理論:社会的規制強化の暴走について - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    (写真はSUGINOTEより拝借) 朝日新聞にこんな記事が出ている。喫煙者が行き場がなくて公園にたまり、公園がどうしようもなくなっているというような話。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11193516.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11193516 これはもちろん、よく見かける光景ではある。四谷のあそことか。神田から神保町に向かうあそこの公園とか。あの公園の桜が枯れたのはそのせいもあると思う。ときには公園がその後閉鎖され、どうもホームレスと喫煙者がその原因じゃないかと思えることさえある。地元の人がなにやら文句を言って、行政としては公園やめちゃうほうが手っ取り早いというわけだ。 で、もちろんこういう記事を見て、禁煙ファシズムだとかお門違いのことを騒ぐ連中はいくらもいる。が、ある意味で、ここにはある種の規

    喫煙レモンの理論:社会的規制強化の暴走について - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ゴードン『ミシンと日本の近代』:抜群におもしろい。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ミシンと日の近代―― 消費者の創出 作者: アンドルー・ゴードン,大島かおり出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/07/24メディア: 単行この商品を含むブログ (9件) を見る 読んでいる途中だが、抜群におもしれーわ、これ。ミシンの普及は掃除機や洗濯機と同じく、女は家庭で男は仕事、みたいな単純な性分業の一環として捕らえられがちだけれど、実は全然ちがっていて、ミシンによる内職を通じた女性の社会進出(自活)の一貫でもあり、またそれを使った日の繊維産業の発達の一貫でもあった。さらにシンガーミシンのための割賦販売というのが日における割賦販売の先駆であったんだけれど、ミシンの役割から見てこれはつまり、一種のマイクロファイナンスとしても機能していたわけだ。 さらにそれは、日における和装洋装論争にも関連しており、いまや見る影もない婦人誌(『主婦の友』とか)も一方でミシン販売に加担

    ゴードン『ミシンと日本の近代』:抜群におもしろい。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • くそ消費税引き上げ記念のウンコねた:ウンコ移植はいかが。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    まあ覚悟はしていたとはいえ、クソみたいな消費税引き上げが決まってしまったので、ウンコネタを。たまたま、家にたまった Science を読んでいたら、こんな記事が: The Promise of Poop (Science, 2013/8/30) 一部の感染症に他人のウンコを移植すると(つまりその人の腸内に別の人のウンコを押し込むと)、直ってしまう症例がたくさんあるんだって。 その理由は完全にわかったわけではないけれど、おそらく腸内の微生物がウンコといっしょに移植されて、それが免疫効果とか挙げるんじゃないか、とのこと。その微生物だけでいいんじゃないの、と思ってしまうのが素人の浅知恵。まず微生物はたくさんいる。そしてウンコをいっしょに移植することで、その微生物の生態系もいっしょに移植される。だからちゃんと定着する、ということらしい。もちろん、あらゆる病気に効くわけではないし、また相性とかもある

  • あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昔、Voiceに、オリンピックに経済効果なんかないし、無理して誘致すべきでない、というコラムを書いた。 オリンピックには経済効果なんかありません。(2007/05) 2007年の話で、ここで話題にしているのは、2016年リオデジャネイロオリンピックが選ばれたときの話。ぼくが言ったとおりアメリカ大陸になったでしょー。 で、その中で話題にしている研究というのは、以下のものだ。 Jeffrey G. Owen (2005) "Estimating the Cost and Benefit of Hosting Olympic Games: What Can Beijing Expect from Its 2008 Games?" The Industrial Geographer, Volume 3, Issue 1, p. 1-18 こうやっても君たちは読まないだろうから、ざっと訳してあげまし

  • フェイスブックは人を不幸にする! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) 作者: デビッド・カークパトリック,小林弘人解説,滑川海彦,高橋信夫出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2011/01/13メディア: ペーパーバック購入: 33人 クリック: 2,842回この商品を含むブログ (240件) を見る Get A Life!! Facebook is Bad for You (2013/8/17号 p.68) フェイスブック参加の誘惑に抵抗し続けてきた人々は、最新の研究成果を読んだら勝ち誇ることだろう。ちょうど「Public Librarry of Science (科学の公共図書館)」誌に発表された、ミシガン大イーサン・クロス&ベルギーのルーヴァン大フィリッペ・フェルデュンが実施した研究によれば、人はフェイスブックを使えば使うほど、人生に対する満足度が下がるとのこと

    フェイスブックは人を不幸にする! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 数年前のできごとなど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    数年前に、確かあれは何かアート系の宴会だったと思うんだが、顔を出したことがある。ぼくはあまり有名ではないし、あまり知った顔もいなかったんだけれど、まあ何人かとちょろちょろ立ち話をするうちに、ぼくより少し若そうな――そうだな、五つくらい若かったのかな――人物とちょっと話をはじめて、しばらくとりとめもない会話をしたあとで、当然ながら名刺交換とは相成った。相手は、どっかの大学の英米文学の講師かなんかで、だったらぼくのことも聞いたことくらいはあるだろう、とこちらの名刺を出したところ…… 相手は突然顔色を変えた。 「え! 山形浩生さん、なんですか? あなたが??」 ぼくは一般にかなり怖い人だと思われているらしいので、ときどき外見が普通のおっさんなので驚かれることはある。でもその顔色の変え方と口調は、そういう純粋な驚きではなく、むしろ顔面蒼白のヤバイ感じの驚きだった。 そして彼はいきなり 「それはまず

    数年前のできごとなど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 小熊『社会をかえるには』:大風呂敷広げといて結論は小学校レベル。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    社会を変えるには (講談社現代新書) 作者: 小熊英二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/17メディア: 新書購入: 8人 クリック: 352回この商品を含むブログ (71件) を見る 書の主張は非常に単純で、社会を変えるためには、ちゃんと自分なりの発言をして声をあげ、デモとかにも参加したりしましょう、ということ。 それだけのために、なんでこんな分厚い(500ページ以上)が必要なのか。まず最初の部分では社会の現状説明なんだけれど、高度成長期から始まってオイルショックでポスト工業社会で、という話。ここで読者が受け取るメッセージはつまり、社会というのは経済に依存する、ということだ。社会を変えるには経済を変える、という話なのか……と思うと、後半になって延々原発の話になるんだけど…… それって関係なくね? いや、著者自身がそれは関係ないことを指摘しているんだ。原発がなぜやめられ

    小熊『社会をかえるには』:大風呂敷広げといて結論は小学校レベル。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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