注文するとすぐに、華やかに盛りつけられたひと皿が運ばれてくる。いかにも新鮮そうなネタが並び、お腹が鳴るが、手にしているのは浅黒い肌の異国の男性。優しげな笑顔が印象的な彼が、この店の「板長」マウン・ラ・シュイさんだ。 南国の顔立ちを見て驚くお客もいる。が、料理を口にすると、表情が変わるのだ。ほどよく脂の乗ったネタとシャリとが口の中でほどける。甘さと一緒にとろけていく。一品料理だって、白魚の唐揚げは磯の香りが立っているし、活しじみの出汁が効いた玉子焼きのふんわり優しいこと。日本人でこの味を出せる人が、どのくらいいるのだろうかと思う。 ここはマウンさんたち、ミャンマー人が経営する寿司屋なのだ。腕を振るう3人の板前は、日本で長年、日本人とまったく同じ土俵で、寿司職人として修行を積んできた人々。彼らが独立し、浅草で勝負をかけて出店したのが、この「寿司令和」だ。 ミャンマーから来て、日本で修行すること