中東発の反政府デモに、陰の理論的指導者ともいうべき人物がいた。現地の人々が勉強会まで開いて熱心に読む指導書をまとめたのは、生涯を非暴力革命の研究に捧げた老アメリカ人学者だった。 取材・文:松村保孝(ジャーナリスト) 101ページの脚本 エジプト・カイロの中心部に位置するタハリール広場で、民主化要求デモが繰り広げられた時のことだ。 デモの参加者の一人が、ドキュメンタリーフィルムの制作スタッフ、ロリー・アロー氏に対し、民主化運動を成功させるための198の方法が記載された文書のコピーを誇らしげに見せた。そして、ここエジプトではそのうちいくつ実行されたか、語った。 「それを作ったのは実はアメリカ人なんだよ」 アロー氏がそう教えると、この参加者は次のように反論したという。 「これはエジプト人の革命なんだ。アメリカ人に教えてもらおうとは思わない」 ---BBCニュース中東(2月21日)が伝えた報道の一