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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/semi_colon (16)

  • 世界で唯一の「エイズから回復した」人からまたHIVが"検出"される - 蝉コロン

    科学, ウイルス, ウイルスHIVに対して最初から抵抗性を持つ人たちがいるという話はたまに聞くと思うけれど、この人はエイズから完治した唯一の人間ということで"Berlin patient"の奇跡として報じられていた。CNNのニュースを受けて当ブログでも紹介していました(HIVがいなくなったわけ - 蝉コロン)。 この"Berlin patient"は2006年に急性骨髄性白血病の治療のため、骨髄移植をしたのだけれど、このときのドナーがHIVが細胞内にエントリーするのに必要なCCR5というのの遺伝子を欠損していて、HIV抵抗性を持っていた。その後、HIVがseronegative(ウイルスに対する抗体が作られているという感染の指標で陰性)であることが分かり、2010年12月にcured(回復した)とされた。それが以前のエントリ。論文はN Engl J Med. 2009 Feb 12;360

    atawi
    atawi 2012/06/14
  • DNAでもRNAでもない新たな遺伝物質XNAについて - 蝉コロン

    科学遺伝、進化できる物質作製に成功 生命起源や研究に貢献 - 47NEWS(よんななニュース)進化するだなんだ言っていますが、どうなんでしょう。実際の論文はこちら。 Synthetic Genetic Polymers Capable of Heredity and Evolution さて、DNAの構造はこんな感じです。http://en.wikipedia.org/wiki/File:DNA_chemical_structure.svgデオキシリボースという五炭糖(図中オレンジ)がリン酸(図中黄色P)を介して連なっていて、AGCTの塩基が枝みたいに伸びています。二鎖の相補対が点線で結ばれてます。ちなみに図でバックボーンと書かれているように、塩基がなくても縦のリン酸結合の数珠つなぎ自体は壊れない。DNA二鎖だったらそういう塩基のない部分は歯抜けみたいになりabasic siteと呼ば

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    atawi 2012/04/23
  • 恋は錯覚 - 蝉コロン

    動物ニンニンニーン!Science論文:Illusions Promote Mating Success in Great Bowerbirds 以前紹介した東屋を作るニワシドリの視覚トリック - 蝉コロンの続きです。庭師鳥。オスが立派な東屋を作ってメスに求婚する不思議な生態。東屋の周りは石が敷き詰められているのだけど、その石の大きさがメスの方向から見て「手前ほど小さく奥ほど大きく」なっているというのが前回のCurrent Biology論文でした。これで実際より奥行きが無いように見せているらしい。実際より高くみせようとするディズニーランドのシンデレラ城とは逆。 奥行きが分からないと手前の物が大きく見えます。いや元々手前の物は大きく見えるのが当たり前なんだけど、距離情報にトリックがあると当に大きいのだと錯覚してしまいます。特に写真みたいに視界が制限されている場合では。Forced Per

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    atawi 2012/01/23
  • 腸内細菌の変化で食欲が増してメタボリックシンドローム - 蝉コロン

    科学くっ…静まれ、俺の腸内細菌*1たちよ…っ!グアァーー!ムシャムシャムシャという話です。 昨年4月の論文:Metabolic Syndrome and Altered Gut Microbiota in Mice Lacking Toll-Like Receptor 5 , Science 9 April 2010: Vol. 328 no. 5975 pp. 228-231, DOI: 10.1126/science.1179721 TLR(トールライクレセプター)というのがあって、数年前から免疫分野では流行りの一つです。細菌とかウイルスしか持ち得ないような分子構造を認識する。「誰か来たみたいですよ」から始まる抗体と違って始めから病原体に特化しているセンサーと言えるでしょう。種類がいくつかあって、今回はそのうちTLR5の話。こいつは細菌の鞭毛を認識するタイプのスタンド使いです。 遺伝子

  • グレートヌタのチョーク攻撃 - 蝉コロン

    動物サイエンティフィックレポーツの論文。 Hagfish predatory behaviour and slime defence mechanism : Scientific Reports : Nature Publishing Group ヌタウナギという無顎類の魚がいます。昔はメクラウナギと呼ばれていました。じつはウナギではない。魚かどうかも怪しい。原始的な脊椎動物の仲間なのです。脊椎動物の起源と進化を考える上でもまあまあ重要な位置にいる動物。ちなみにイールとはウナギのことだ蒲焼にするとうまいぞ。 死肉に群がるスカベンジャーだと考えられていて、こういう所でも観察されます。鯨骨生物群集の生物たちは普段こういう巨大なごちそうがない場合はどうしているのかしらという素朴な疑問があったのだけれど、とりわけヌタウナギは数が多くて、専門家の間でも腐肉をってるだけじゃあないなと推測されていたそ

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    atawi 2011/11/02
    深海動画の常連、ヌタウナギさんか。
  • 3万年前のDNAから抗生物質耐性遺伝子が見つかる - 蝉コロン

    科学, ゲノムSuperbugs Predate Wonder Drugs - ScienceNOW細菌「持ってたわー。その抗生物質への耐性3万年前から持ってたわー」面白いかと思ったセリフ改変が書いてみるとやたら説明的でがっかりした。ええと、言うまでもなく抗生物質は細菌感染の治療に多大な貢献をしているわけですが、一方で耐性菌の出現も問題になっております。今回の論文はそういう薬剤耐性菌が三万年前にすでにそこら辺にいた可能性を示しています。 http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature10388.html "Antibiotic resistance is ancient" Nature, Published online 31 August 2011僕的には最近お気に入り*1のメタゲノム解析。カナダのユーコン準州

  • 未熟児の脳損傷と回復のターゲット - 蝉コロン

    科学 新生児の脳損傷を回復 (Nature Neuroscience): NPG Nature Asia-Pacific URL2011-06-27 10:16:30 via bitly 未熟児と脳の損傷新生児医療の発展により命が助かる早産未熟児が増えたが、一方で脳に損傷が残る問題も大きくなっている。妊娠6ヶ月半以前に生まれた子どもの20%が脳にダメージがあるという。未熟児は肺の機能が弱く、また妊娠満期産でも新生児仮死により低酸素性虚血性脳症になる場合がある。これは脳性麻痺や認知障害の原因となり、現在のところまだ有効な治療の決め手がない。 脳で何が起きているか脳や脊髄の白質では神経細胞の伸ばした手がミエリンによってコーティングされているが(電線を絶縁体で覆っている電気コードに例えられる)、酸素が足りないとこのミエリン鞘の形成が阻害され、低酸素性虚血性脳症になる。また、自己免疫疾患である多発

    atawi
    atawi 2011/07/15
  • ゾンビテントウムシ - 蝉コロン

    動物ゾンビテントウムシA real-life zombie story in the life of bugs 論文:The cost of a bodyguard テントウムシとその寄生蜂テントウハラボソコマユバチのおはなしです。寄生蜂いろいろいるけど成虫に寄生するのはちょっと珍しいのかな。 テントウハラボソコマユバチのメスはテントウムシに卵を産み付けます。テントウハラボソコマユバチの幼虫は三週間ほどで腹部をい破ってキシャーっと出てくるわけですが、このとき、テントウムシはまだ生きているのです。ゾンビ!!キャー!! ちなみにテントウムシの英語名ladybugのladyは聖母マリアのことだそうで、そう考えるとなかなか退廃的。 テントウハラボソコマユバチの幼虫はテントウムシの脚の辺りで繭を作ります。テントウムシは生きてるけどそんなに活発には動けなくて、繭を抱えたままなんかプルプルするらしい。

    atawi
    atawi 2011/06/28
  • 肉食動物のおしっこが怖い - 蝉コロン

    動物, 科学以前トリビアでJRがライオンの糞を線路に撒いて鹿を寄せ付けないようにしていたとかいうのがあった。草動物は天敵の糞尿の匂いを嗅ぎ取って逃げるというのは昔から知られていたがそのメカニズムはあんましよくわかっていない。 The smell of a meat-eater : Nature NewsDetection and avoidance of a carnivore odor by prey 匂いを感知するのは嗅覚レセプター。いっぱいある。すべて当に機能しているのかはわからないが、ゲノム上に数百〜1000くらい嗅覚レセプター遺伝子が存在している。これらの受容体はそれぞれ対応するニオイ分子を持つ。例えばうんこからはうんこ臭い分子がパワワワと出ていて、君の鼻にある、うんこの匂いを担当する嗅覚レセプターに結合する(うんこ成分が鼻に付着している)。そのシグナルは脳の特定の場所に投射

    atawi
    atawi 2011/06/21
    一方ある種の人間は…。
  • DNAがくるっと丸まってポーンと飛んでってウシの模様が変わる - 蝉コロン

    科学, 動物DNA Circles Cause Cow Coat Color Changes the Biology of Genomes meetingという学会での報告。 Belgian blue*1という牛の不思議です。知ってる人多いかもしれない。Belgian blueは筋肉ムキムキ牛として有名です。下の写真は普通のムキムキBelgian blue。by FaceMePLS今回話題のScience記事の画像はそんなにムキムキに見えないけど豆タンクみたいな感じします。黒い牛で背中に白い線がある。 ポスドクのDurkinさんはデータベース使って染色体の重複領域を調べるような研究をしていた。いろんな動物で見ていたみたいだけど、あるとき牛9頭で重複領域にKIT遺伝子が含まれていることに気づいたんだって。KITは血球系やってる人ならc-kitでおなじみだけれど、毛色にも関係する遺伝子だったり

  • HIVがいなくなったわけ - 蝉コロン

    科学, ウイルスCNN.co.jp:HIV感染の独男性、幹細胞移植で「完治」の研究報告の件。 バナナにHIV予防成分 - 蝉コロンでも書いたけれど、HIV感染のメカニズムはこんな感じ。HIVは免疫を担当するT細胞(とMΦ)を標的にします。T細胞はCD4というタンパク質を細胞表面にニョッキリ出しています。HIVが細胞内にエントリーするにはCD4との結合が不可欠です。CD4発現T細胞は免疫系の司令塔みたいなもんなのだけれど、HIVはよりにもよってこの細胞を叩くようにできている。しかし実はCD4だけではウイルスの侵入には不十分で、さらにコレセプターとしてCCR5もしくはCXCR4を必要とします。はじめのほう、何か細胞側に二つの受容体があるでしょう。CD4とCCR5もしくはCD4とCXCR4がウイルス侵入のターゲット。 んで、HIV感染抵抗性のある人を調べると、CCR5遺伝子に32 bpの欠損が見

  • ウンデル教授「うんこの話をしよう」 - 蝉コロン

    動物ゾウのうんこは未消化の植物が多く含まれているのでフンコロガシが喜ぶ。野うさぎは一回で十分な消化ができないので自分のうんこう。同様にモルモットも糞する。ニワトリは腸内細菌がビタミンをつくってくれるのでやはり自らのフンをついばむ。ウマが馬房で糞してるのは暇すぎるからだ。ヘラジカやガゼルの母親は仔の糞尿をう。匂いを残さないため。 公園で犬の落とした糞からメタンガスを集めてガス灯の燃料に。うんこキレイ。セセリチョウの幼虫はうんこを5フィートくらい遠くまで飛ばす。人間でいえば240フィート(73メートル)飛ばすくらいのウン擲パワー。20年くらい前に野毛山動物園のサル(チンパンジーだったかな)が、僕のすぐ横にいた外国人旅行者にうんこを投げつけた。ブロンドヘアーの女性であった。今はアクリル板があるはず。5年くらい前に川端通三条付近で早朝、カラスが大量に飛んでいてフン落とされたらかなわんなーと

  • カモノハシ毒 - 蝉コロン

    動物哺乳類で毒をもっているものは少ないですが、その一つがカモノハシです。かわいいと思って不用意に近づくとカモにされてしまうわけですな。可愛いカモノハシには毒がある。関係ないけど昔「綺麗なバラには刺がある。汚いバラにも刺がある」と言った人がいましたな。 オスの後肢蹴爪から出るそうです毒。蹴爪ってのは後肢の五指とは別の、その後ろの付け根にある爪みたいのがそうです。体内に毒腺があって毒が出る。成長したオスだけに見られる。wikipedia:カモノハシによると犬ほどの大きさの動物ならば死に至ることもあるとか。怖い。幸い人間が死亡した例はないそうです。でも超痛いんだって。蜂の大群に刺されたくらい痛いのだとか。それ死んじゃわね? Duck-Billed Platypus Venom Peptides Induce Ca2+ Influx in Neuroblastoma Cells - Journa

    atawi
    atawi 2010/11/22
  • セントラルドグマから外れたncRNAの新たな役割(と新たなオープンアクセスジャーナル) - 蝉コロン

    ウイルス, 科学こないだちょっと「遺伝子」なんだろねみたいな話をしたけれども、そんな、現在「遺伝子」としてカウントされてるんだかされてないんだか分からない、蛋白質を作らないノンコーディングRNA(ncRNA)にニューカマーが登場です。Unique Signatures of Long Noncoding RNA Expression in Response to Virus Infection and Altered Innate Immune Signaling ? mBio この論文では短いRNAであるmicroRNAと区別するためにncRNAのうち200nt以上のものをlncRNAと呼んでいる。 small RNAsじゃないncRNAで有名どころはXistかな。X染色体不活性化(♀はXを二つ持っててずるいから片方はおとなしくしていてもらいましょう効果)に働く因子。あとは元々なんらかの

  • 海は巨大ウイルスでいっぱいだー - 蝉コロン

    科学, ウイルスここ数年、巨大ウイルスの存在がちらほら報告されている。巨大ウイルスはただおっきいだけじゃない - 蝉コロン ウイルスに感染するウイルス - 蝉コロン 一般的に言ってウイルスは、ゲノムサイズが小さく最低限の遺伝子セットしか持っていない。複製には宿主細胞の機構を利用するので、自分自身はわりとコンパクトにまとまっている。遺伝子10個とかそんな感じ。B型肝炎ウイルスなんて全長3kbくらいで遺伝子4つ。こんなシンプルな(ように見える)構造のウイルスをなかなか排除できないってのも一つの興味ではあるけれども、今回は巨大ウイルスの話。 ゲノムサイズ最大のウイルスであるミミウイルスの仲間、ママウイルスは淡水に棲むアメーバに感染するウイルスで、ゲノムサイズ1200kbで1200個以上の遺伝子を持っている。どうですHBVと桁違いすぎでしょう。で、こういうでっかいのは極めてレアなケースなのか、ある

  • 新型インフルエンザにあんまりひどいめにあわずに済んだ理由 - 蝉コロン

    季節性インフルエンザ。毎年流行る、ヒトの免疫をくぐり抜けられる抗原性が変化したウイルスが選択され続ける。新型インフルエンザ。ブタからでてきたばっかりの新人。ヒトの免疫からの攻撃を初めて受ける。 ウイルスv.s.免疫機構は、ウイルス表面の抗原を認識できる抗体があるかないかの勝負になる。ウイルスは自分の情報を書き換え続け、免疫はウイルス情報をアップデートし続ける。 今回の新型インフルエンザはH1N1。これまでH1N1で流行したのはスペインかぜとソ連かぜ。スペインかぜは1918-1919年だが、ウイルス自体は1957年くらいまであった*1。今はもういない。ソ連型ウイルスは1977年に出現して現在まで季節性として流行。今でもいる。 H1N1についてヒト集団の持っている抗原情報は50年前のスペインかぜウイルスのと、30年前から現在まで繰り返しアップデートされているソ連型ウイルスの。ヒトは感染して免疫

    atawi
    atawi 2010/02/09
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