米サイエンス誌が,アルツハイマー病のアミロイドβオリゴマー仮説の根拠となった有名な論文「Lesné S, et al. A specific amyloid-beta protein assembly in the brain impairs memory. Nature. 2006;440(7082):352-7」が捏造されたものである可能性を指摘しています.少し歴史を紐解くと,まずアミロイドβ(Aβ)が線維化・凝集することで老人斑ができ,老人斑が引き金となって神経原線維変化が生じ,そのため神経細胞死が起きて認知症が発症するという説が提唱されました(アミロイド仮説;1992年).この仮説に基づいて,Aβの産生を抑えたり,除去したりする薬が数多く開発され,臨床試験が行われましたが,ことごとく失敗しました.これに対し,神経細胞死を起こすのはAβの線維状凝集体ではなく,その前にできる可溶性のオ