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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (7)

  • オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary トマス・ピンチョンのオーウェル『1984年』序文は、まったく構造化されず、思いつきを羅列しただけ。何の脈絡も論理の筋もない。しかもその思いつきもつまらないものばかり。唯一見るべきは、「補遺;ニュースピークの原理」が過去形で書かれていることにこめられた希望だけ。だが、考えて見れば、ピンチョンはすべて雑然とした羅列しかできない人ではある。それを複雑な世界の反映となる豊穣な猥雑さだと思ってみんなもてはやしてきた。だが実はそれは、読者側の深読みにすぎないのかもしれない。そしてその深読みが匂わせる陰謀論が意味ありげだった時代——つまり大きな世界構造がしっかりあって、裏の世界が意味をもった60-80年代——にはそれで通ったのに、1990年代以降はもっと露骨な陰謀論が表に出てきてしまい、ピンチョン的な匂わせるだけの陰謀論は無意味になった。それがかれの最近の作品に見られ

    オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    avictors
    avictors 2023/11/14
    ピンチョン序文の訳と、への批評。要約と全文比べてフェアな批判か分からないけど「世界変える陰謀てありそう」より具体的な寓意を持たずありうる構造の提示がないとサスペンス感どまりでニュース性ないのは分かる。
  • 6/26 プリゴジンの乱に対するプーチン弁解の見方 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 6/24プリゴジンの乱についてプーチンが6/26に出した玉音放送は、プーチンが今回の騒乱で何を気にしているかがうかがえる。ワグネルがほとんど何の抵抗もなしにモスクワの手前に到達できたし、また一部では歓迎すらされたというのを大変気にしている模様。同時に、自分たちがそれに対して無策でおたついていた (少なくともそう見られている) のも気にして、「いや最初から手は打った! 反撃がなかったのは流血を避けるため! 対応がないのは改心の時間を与えたため!」と弁解。 またワグネルグループも、首謀者プリゴジンはもちろん獄門打ち首、その手下たちもお咎めなしのように見せつつ、兵士になって過ちを償え=死ね、という話で、むごい。 6/26 プリゴジンの乱についての弁解の見方 ロシアの6/24プリゴジンの乱は、いろんな意味でわけがわからず、それだけにいろいろおもしろいところ。いろ

    6/26 プリゴジンの乱に対するプーチン弁解の見方 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    avictors
    avictors 2023/06/28
  • プーチン重要論説集 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なんかこんなのを作ってしまったので、読みたい人は読みなさい。何かお気づきの点があればご教示たもれ……と思ったら商業出版の話が出たので、無料公開は停止。 なお、ウクライナ侵攻のときの演説が変だという検討については、第4期のまとめp.222- と、その対比で第3期のまとめp.153-をお読みください。 プーチン重要論説集 (星海社新書) 作者:ウラジミール・プーチン星海社Amazon 例によって、デスクトップ環境ではしおり/目次リンクがめちゃくちゃになるので。Adobeに上げてpdf化した。昨日よりは便利になったかな?

    プーチン重要論説集 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • プーチン「新千年紀を迎えるロシア」(1999) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 1999年大晦日、プーチンの大統領代行就任直前に発表された、ロシアの今後の政策についての概要文書。ソ連崩壊とその後改革による経済的な低迷と社会的な混乱を描き、自由と民主主義に基づきつつも、ロシア的な国家重視を維持した体制の強化を進め、競争と市場原理と産業高度化に基づく経済発展と生活水準の向上を目指し、そのために国の仕組みと行政府を強化しつつ、それを監視する市民社会も重視することが謳われている。 自由と民主主義を重視している部分を重視するか、国家重視の部分を重視するかで如何様にも読める玉虫色の文書だが、出発点でのプーチンは、かなりバランスの取れた考え方をしていたことはうかがえる。 プーチンシリーズで、ついでながら1999年大晦日にプーチンがロシア大統領代行に就任する直前に発表した、政策方針の文書も訳したので、座興でアップロードしておく。 1999年大晦日、

    プーチン「新千年紀を迎えるロシア」(1999) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    avictors
    avictors 2023/01/31
  • プーチン『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』(2021) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    プーチンが、ウクライナ侵略の9ヶ月前に発表した論文、というかアジ文。ウクライナロシアと一体、という文章のように題名だけ見ると思えるが、実際にはウクライナは常にロシアの庇護下にあったし、ロシアが守ってやらないとやってけないぜ、ついでにドンバスとかクリミアとか、ロシア系が多くてみんなロシアになびいているのにウクライナ政府がそれを邪魔してネオナチ国粋主義者が虐殺していて、西側がそれを支援していてけしからん、という文章。 2022年のウクライナ侵略におけるプーチンの考え方を示す資料としてときどき言及されるが、きちんとした訳をみたことがないので (きちんとしていない、機械翻訳以下の訳が東京都市大名誉教授によるものとして存在するようだ) 自分でやりました。翻訳は、クレムリンの公式英訳に基づいている. ロシア語との齟齬があるかもしれないが、チェックしていない. 付記:ロシア大使館の翻訳がすでにあった。

    プーチン『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』(2021) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ぼくは「モンティ・ホール問題」がよくわからない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    10月24日に、Change to Hopeというイベントがあって、スティーブン・ピンカーが来日して基調講演をする……予定だったのがコロナで来れずオンラインになってしまったんだが、ぼくがその司会役、というか質問係をおおせつかったのでした。 www.change-to-hope.com で、これは新著『人はどこまで合理的か』をベースに最近のネタを散りばめる講演で、ぼくも付け焼き刃でざっと読んでみました。基は、人はいろいろ数学パズルみたいなものにごまかされて合理性を発揮しにくくなる部分があるのだ、という話や経済学的な合理性の話などで、あとは合理性がいかにしてこれまでの人類の発展を率いてきたか、これからも理性をちゃんと使ってがんばらないといけないよ、というもの。一般向けの講義をまとめたものだそうで、人によっては知ってる話ばかりでつまらないかもしれない。まったく知らなかった目新しい話はない。類書

    ぼくは「モンティ・ホール問題」がよくわからない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    avictors
    avictors 2022/10/31
    天才山形が何故。多分、時間的に先後の関係だという点を見落としてんじゃないかな。もしわからないというのが本気だとすれば。あと司会者がドアオープンの際にハギーワギーくんを全く気にかけてないということを。
  • ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    我らが偉大なhicksian 様のこのツイートで紹介されていたブログ記事、とてもおもしろい。 broadstreet.blog この著者はMITのソ連ロシア史教授、エリザベス・ウッズ。プーチンは、ヒル&ガディの現時点ではベストなプーチン伝「プーチンの世界」で紹介されている、「プーチンは歴史の男だ」というまとめを敷衍して、その「歴史」というのがおとぎ話に近いネトウヨ妄想なのだ、という点を指摘している。 プーチンの世界―「皇帝」になった工作員― 作者:フィオナ・ヒル,クリフォード・G・ガディ新潮社Amazon このブログでは、その妄想ぶりについてかなり細かく指摘されているけれど、基的にはこれまでしょっちゅうお目にかかった、大ロシア帝国復活こそが歴史的必然であり、民族の悲願なのであり、それを西側がじゃましくさっておるのよ、という話。いやそれよりひどくて、ロシアは昔から、優しい民主的な共存共栄の

    ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    avictors
    avictors 2022/03/08
    露史に余り興味ないし首脳の史観が「エル・カンターレ」「なろう史観」とまで矮小化揶揄できるほどか分からない。でも交渉使節に史家を選ぶ人選は確かに侵攻決意の背景に帝国回復を使命とする史観があると感じさす。
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