東日本大震災の復興には巨額の国費を要する。その資金を日本銀行に直接国債を引き受けさせて調達しようという考えがある。民主党のなかでも震災復興の基本法案の協議過程で「震災国債」の「日銀引き受け」が検討課題にあがった。 非常時には平時とは違った対応が必要だ。それは分かるが、何をやってもいいということではない。日銀引き受けには反対だ。 国債の増発は避けがたい状況だろう。しかし、日銀引き受けは国債の急落(長期金利の上昇)や国債の格付けの引き下げ(国の信用の低下)をまねくおそれが強い。さらには資本の海外逃避も懸念される。金融機関の中には長期国債を大量に抱えているところが多く、国債の値下がりは経営を直撃し金融システムの安定性を脅かしかねない。 そして何よりもインフレの引き金をひきかねないのがこわい。年金生活者の暮らしは破壊されてしまうだろう。財政法は第5条で日銀引き受けを禁止している。戦時中の日銀引き受