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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (129)

  • 2008年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    みなさんこんにちは。空中キャンプを書いている者です。今年いちばんおもしろかった映画を、みなさんの投票により、ちょう民主主義的に決定する「2008年の映画をふりかえる」の結果がでました。さっそく、順を追って発表していきたいとおもいます。みなさんからは、あらかじめ以下のフォーマットにてアンケートを集めました。 名前(id、もしくはテキトーな名前)/性別 2008年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 2で選んだ映画の中で、印象に残っている場面をひとつ教えてください 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか ひとことコメント 参加していただいた方々の人数と男女比は以下です。 まずは、参加していただいた方々にお礼を述べたいとおもいます。ありがとうございます! 今まででいちばんの人数、ついに大台の3ケタに到達しまして、よりたくさんの方の意見が含まれた貴重な調査結果になったので

    2008年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
  • たのしかった読書 〇八年 - 空中キャンプ

    今年になって読んだの中で、とくに印象的だったものをまとめました。それほど系統だてて読んでいるわけではないのですが、気がつくと米小説ばかりになってしまいました。どれもよく読まれているですが、とてもおもしろかったので、未読の方は手にとってみてもいいかとおもいます。 『われらが歌う時』/リチャード・パワーズ わたしの〇八年ベスト小説は、パワーズの “The Time of Our Singing” でした。パワーズじたい、今年になって初めて読んだのですが(『舞踏会へ向かう三人の農夫』)、どちらもとてもすばらしく、こんなにすごい小説家がいたのかと興奮しました。歴史のうねりをテキストに刻みつける、そのパワフルな躍動感がほんとうにすばらしい。上下巻で七千円近くする価格や、読了に十数時間かかる長編という敷居の高さを差し引いても、アメリカという国をより理解できるすごい小説だとおもいます。迫力のある小説

    たのしかった読書 〇八年 - 空中キャンプ
  • Don’t Trust Under Forty - 空中キャンプ

    肉体は放っておいても歳を取っていくが、精神はそうはいかないものである。わたしももうすぐ三十七歳。三十代になってから、ブラッド・ピットがチベットですごしたのと同じ時間が経つ。三十代も後半にさしかかり、あとちょっとで四十歳というところまできている。あとちょっとで四十歳。ぐわあっ。 歳を取るのはべつにいい。もともと、さほど若さに価値観を置いていたわけではなかったからね。わたしは、精神もひとりでに歳を取ってくれるものだとばかり考えていたから、いまだに精神がきちんと成熟してくれないことに動揺しているのである。外見ばかりが歳を取り、内面がいつまでも子どもというのではみっともない。いまだにいちごポッキーやプリンが大好きなのである。精神はかってに歳を取ってくれない。おそらく人は、どこかのポイントで、意識的に成熟を選び取っていかないとまずいことになる。 なんでこういうことを考えていたのかというと、フィッツジ

  • バターとマーガリン - 空中キャンプ

    いぜん、わたしの働いている会社にヤスダ君という男の子がいた。歳は二十四でまじめな性格だった。誰に対しても愛想がいいので好かれていたし、仕事もていねいにやってくれていたが、ただひとつ欠点があるとすれば、彼はわたしが今まで見たことがないくらいに字がへただった。彼に記入してもらった書類は、なにか見知らぬ言語で書かれた不吉なメッセージのように見えた。 「ヤスダ君、この書類のここ、なんて書いてあるの」とわたしが訊くと、「ええと、これは、なんて書いてあるんでしょう…。わかりません」と彼は答えた。彼自身にすら、判読は不能だったのだ。「ヤスダ君が読めないとなると、これ誰も読めないよ」とわたしがいうと、「ええ、はい。すいません。でも、うまく書けなくて、字が」と彼は弁解した。 これは字のへたな人に共通することなのだが、たいていの場合、字がとても小さい。ひとつひとつの文字が小さすぎて、判読がむずかしい。だからさ

    バターとマーガリン - 空中キャンプ
  • 『母は娘の人生を支配する』/斎藤環 - 空中キャンプ

    精神科医である斎藤環が、今年の五月に出した新刊(NHKブックス)。斎藤は、ひきこもりの治療や、精神科医の仕事についてのをいくつか著しているのだが、その中で「母親と娘が密着しているパターンがいちばんむずかしい。これだけはなかなか治療が進まない」ということを何度か書いていた。母親と娘の関係性、女性特有の身体感覚や、母性の強迫といった問題は、男であるわたしには理解することが困難だが、このを読んであるていどのイメージをつかむことができた。それだけでも、とてもよかったとおもう。 母親と娘が、どこまでも果てしなく一体化していく、おたがいの精神や肉体をほとんど共有してしまうくらいにつながっていくということが起こる。そこで発生した、きわめて複雑にからみあった依存の関係が、おたがいを閉じ込め、愛憎の激しさゆえに双方を苦しめるのだが、どうしてもそこから逃げだすことができないという循環。斎藤は、こうした状態

  • 記憶 - 空中キャンプ

    先ほど、電車の中で席に座りながら、そのまま眠ってしまいそうな、でも意識のどこかではふしぎと目覚めているような、半覚醒の状態になりつつおもったのだが、世の中には、かつて有名人と恋人として付きあった経験のある一般の人たちがたくさんいて、そういう人たちは、テレビをつけたり雑誌の広告を読んだりするたびに、かつての恋人の顔を見ていることになる。それはいったいどういう気持ちがするのだろうか。 たいてい、別れた恋人とは顔を合わせなくなるものである。今はなにをしているのか、どこに住んで誰とどうしているのか、知りようもない。それはしかたのないことだし、またポジティブな前進でもあって、われわれは過去とさっぱり決別して、次の段階にいける。忘れるのはいいことだしね。ところが、いったん有名人と付きあってしまうと、別れた後でも、その人はテレビや広告などに登場し、われわれの視界に入ってくる。考えてみると、これはけっこう

  • なんか今、そんな気持ち - 空中キャンプ

    たとえばわたしが、あまりぱっとしないプロ野球選手だったとする。入団からおよそ十年、通算打率は二割二分五厘。守備がそこそこ良かったこと、ベンチのムードメーカー的役割を果たしてきたこともあり、どうにか三十二歳までは現役を続けてこれたが、球団からは、来年以降は守備コーチとして若手を指導してほしいという要請を受けており、今シーズンかぎりで選手としては引退ということになった。 現役最後の年。しかし、なんで俺は二割二分しか打てなかったんだろうと考えると不甲斐ない。どうすれば打率が上がったのか。もっといいプレーができたのではないか。いずれにせよ、もう引退なんだ、いろいろ試してみよう。そうおもったわたしは、ある打席で、左ひじの力を抜きながら、リラックスした体勢でバットを振ってみたところ、ボールは今までに経験したことのないような強烈な打球となって、センターの頭上を軽く越えていった。あっ、こうすればよかったん

  • やりたかったことの五分の一くらい - 空中キャンプ

    先日ベランダに立って洗濯物を干しながら熟考したのだが、やはりこうしてこの世に生を受けた以上、われわれはできるだけ充実した生活をするべきである。なぜなら誰しもいつかは寿命が尽き、やがて不帰の客となるわけだから、やりたいことをたくさんやって、なるべく後悔のないように工夫することが肝要である。 具体的には、お金持ちになる、たのしく遊ぶ、仕事で成功する、異性にもてる、などの方向性が考えられるが、むろんそれだけとは限らず、しあわせのかたちは数多くあるといえるだろう。たとえば、南海でカジキマグロを釣る、東映のやくざ映画に出演する、漬物屋を経営する、男根崇拝の思想を歌にして発表する、娘が女たらしにひっかかる、その後くだんの女たらしが逮捕されてちょっとだけ溜飲を下げる、といったかたちで、人は自由闊達に生きることができるし、さまざまな充実感を得ることができる。 充実した人生。そんなことをつらつらと考えていた

  • わたしのお父さん - 空中キャンプ

    わたしのお父さんは、三年くらい前から日に住んでいて、わたしはずっとサウジアラビアに住んでいたのですが、今年からようやく、いっしょに住めることになり、こちらにひっこしをしてきました。四月からは、日の小がっ校にかよっています。わたしは二年せいです。おんなの子です。 日はちょうたのしいところだとおもう。つぶつぶいちごポッキーはおいしいし、でん車の中は冷ぼうがきいててすずしいし、プールで、もがもがもぐぐをするとおもしろいから。友だちは、ななちゃんとまきちゃんです。他にも友だちはいるけど、いちばんなかよしなのはこのふたり。ちなみに、もがもがもぐぐは、ななちゃんのかんがえたあそびで、三人でいっせいにプールにもぐってから、だれかひとりが「起しょう転けつ!」とか、「しゅっ発しん行!」とかのむずかしいことばを水の中でさけんで(なるべくむずかしいことばがよい)、でも水の中だから、「もがもがもぐぐ」としか

  • 松屋で本を読むなかれ - 空中キャンプ

    bassai718
    bassai718 2008/09/09
    料理を待つ間に文庫本を読む時間っていいですよね。
  • 「リアルのゆくえ」/大塚英志 + 東浩紀 - 空中キャンプ

  • あさがおは咲かないが、お知らせ! - 空中キャンプ

  • 2008-08-14 - 空中キャンプ

    耳をきれいに掃除する方法を、人はどのように学ぶのだろうか。これは、両親が子どもへと伝えていくべき種類ものなのだろうか。「はさみを人に渡すときには、先端を相手に向けてはいけません。そして耳はこうしてキレイにしなさい」というように。とはいえ、これは耳の穴のことではない。耳の穴であれば、耳かきとか綿棒とかを入れてぐりぐりし、老廃物をほじくりだせばよいのであって、わたしが言っているのは、餃子みたいなかたちをした周辺の部分である。 耳のかたちはなぜか、折りたたんであるような、縁が丸まっているような、よくわからないシェイプなので、とうぜんそこに垢がたまりやすい。とはいえ、風呂でからだを洗っているのと同時に、スポンジで耳をごしごしやるわけにもいかない。うっかり水が入ったりだとか、いくら頭を揺すっても水がでてこなかったりだとか、二時間くらいしてから急に耳からあったかい水がじわーってでてきたりするのはいやで

    2008-08-14 - 空中キャンプ
  • バーチャル無職 - 空中キャンプ

    ここぞというタイミングで要領がわるく、損ばかりしている。会社から五日間の夏休みがもらえるのはよかったが、気がつくと、休みたかった日程はあらかじめ埋まってしまっていた。いつもこうなのだ。たいていの人が取りたがる休み、たとえば盆の三日間や、土日と合わせて三連休、四連休にできる金曜や月曜も、わたしが休みの予定を入れる段階では、誰かの名前がいくぶん運命論的に書き込まれ、もうすでになくなっている。 わたしは週に一度ずつ、水曜に休みを取ることになった。もちろん、お盆の週は注意ぶかく避けなければいけない。他の人が休むからだ。しかし、いったいこんな休み方でなにができるというのか。中には、六連休する同僚だっているというではないか。もっと押し出しのつよい性格だったら。わたしは、自分の鈍くささを恥じながら、週の真ん中に一日だけ、さして脈絡もなくひょいと投げ出された夏休みを、満喫するでもなく、誰と会うわけでもなく

    バーチャル無職 - 空中キャンプ
  • ■「逆接の民主主義」/大澤真幸 - 空中キャンプ

    もはや、寝ても覚めても大澤真幸のことが頭から離れないのである。読むたびに発見があり、おどろきがあり、知的興奮がある。なんでこんなにおもしろいを書けるのか。しだいに、わたしのMasachi熱はよくわからない方向へと進路を変えていき、「真幸先生はふだんなにをべているんだろう。豆腐かな…」「なんで、真幸先生はあんなに天然パーマなのだろう」などと、ぼんやりしながらもつい、大澤のことばかりを考えていたりする。 今年の大澤はなんだかとても旺盛に執筆しており、もたくさん出していて、文庫化も含めると現時点ですでに四冊、読むのが追いつかないほどである。くわえて、長らく絶版になっていた「虚構の時代の果て」もようやく文庫化する。これ、いろんな人がいろんなで引用するから、読みたくてしかたなかったんだけど、絶版だから読めなくて困っていたのだ。「逆説の民主主義」(角川oneテーマ21)は、大澤にとって「戦後の

  • オニオンパイ - 空中キャンプ

    アメリカの作家、ポール・オースターは、自らの貧乏だった過去について書くことが得意で、それはほとんど芸の域にまで達している。彼の貧乏話にはふしぎなユーモアがあり、どこか心やすらぐ要素がある。かつてそこを通り、さんざん苦労をし、ようやく抜け出すことができた湿地帯のような場所。われわれは、まちがっても自分が貧しくはなりたくないと、転落の恐怖におののき、そうならないことを一心に祈りながら、同時に貧しさを愛でている。 最悪だったのは冬の暮れから初春にかけてである。小切手はなかなか来ないし、犬は一匹さらわれてしまうし、台所にしまった物の蓄えもじわじわ減っていった。ついには玉ネギ一袋とクッキングオイル一瓶、そして前に誰かが買ったパイ皮一箱(私たちが越してきたときからあった、前年の夏の侘しい名残り)を残すばかりとなった。Lと私は午前中ずっと持ちこたえた。午後に入ってもなお頑張ったが、二時半に至ってついに

  • 「ウェブ社会の思想」/鈴木謙介 - 空中キャンプ

    鈴木謙介のは、「カーニヴァル化する社会」をいぜんに読んだだけで、他のは読んだことがなかったのですが、最近になって、鈴木氏(以下チャーリー。でもなぜ彼はチャーリーと呼ばれているのか…)のラジオをよく聴くようになり、それきっかけでも読んでみることにしました。とてもおもしろく読めました。関係ないけど、チャーリーはラジオ向きのいい声をしているとおもう。 こので論じられているのは、あたらしいテクノロジーに支えられた社会において、あらためて選択や自由という行為の意味づけ(または、公共圏や民主主義といった概念の定義)が変わってくるのではないか、ということである。個人情報管理型の社会という前半の論点は、ここ最近の東浩紀の議論を踏まえているように感じました。後半の、共同性や民主主義といった論点については、大澤真幸に近い印象がありました。もちろん、他にも参考にしている論はあるとおもいますが、特に大澤の

  • 「できること」の領域 - 空中キャンプ

    あるスポーツの種目でひとりのアスリートが世界記録を大きく更新すると、それまで何年かかっても到達できなかったその近辺の記録を出すアスリートたちが、突然、次々に出るというふしぎな現象がある。これはなぜだろうか? かかる疑問を呈していたのは柄谷行人で、たとえば、あるランナーがマラソンで二時間四分台の記録を出すと、その後、短期間のあいだに同じ四分台で走るランナーたちが次々にあらわれる。大澤真幸も同様にこの現象について触れ、初めて二時間四分台を達成した選手と、後続する選手たちの意識の違いはどこにあるのかを論じている。 今までできなかったことができるようになる。なんか、急にできるようになる。実にふしぎである。なんだろうね、これは。なぜ、今までなかなか到達できなかったのか。それが今になって、わりとたやすく到達できてしまうのはどうしてなのか。理由は説明できないけれど、わたしたちは経験則として、そういったこ

  • 「『かわいい』論」/四方田犬彦 - 空中キャンプ

    今まで、四方田犬彦のを読んだことがなかった。どういうを出している人かもわからなかった。映画史を中心にした執筆で知られる著者であるのに、それらのを未読というのは、いち映画ファンとしては恥ずかしいかぎりである。その前に、四方田という名字の読み方を知らなかった。下の名前である犬彦にしたって、そのまま「いぬひこ」と読んでいいものかどうかもはっきりしない。いぬひこ。阪神の元監督に、吉田義男(よしだよしお)という方がいたけれど、ネーミングの意図を計りかねる点においてはおおむね近いものがある。ただし、「四方田犬彦」はあくまで筆名らしいので安心しました。もし親が息子に「犬彦」と名付けたのだとしたら、それだけでなんだか切ない気持ちになってしまう。今回こうして彼のを手に取るきっかけになったのは、最近になって人の講演を聴いたためである。 四方田はおもしろかった。実に活発で、元気のいい生きものだった。他

  • これで完ぺき、XTCのオリジナルアルバム12枚まるわかり解説! 2008-06-22 - 空中キャンプ

    わたしはいぜんからXTCというイギリスのバンドが好きだったのですが、すべてのアルバムを聴いたわけではなくて、持っていない作品もあったし、聴いたことのない曲もけっこうありました。考えてみれば、ぜんぶで何枚アルバムがでているのか、それらがどういう内容なのかもあまりよくわかっていなかった。 それで、たぶん二ヶ月くらい前あたりになるのですが、彼らのディスコグラフィーを調べてから、未聴のアルバムを何枚かまとめて買って聴いてみたところ、それまで持っていなかったアルバムにもすごくいい曲がたくさんあることに気がついた。「よし、こうなったらオリジナルアルバムは12枚ぜんぶ聴いてみよう」ということになったわけです。これがとてもおもしろかった。ここ最近はずっとXTCばかり聴いていました。そこで、まだXTCをよく知らない人に、XTCはどんなバンドで、どのアルバムがどのような内容なのかを解説していきたいとおもいます

    これで完ぺき、XTCのオリジナルアルバム12枚まるわかり解説! 2008-06-22 - 空中キャンプ