◇真に必要な公共事業とは 「実にけしからん」。今月7日、金沢市。自民議員と県との懇談会で森喜朗元首相が、苦々しげにつぶやいた。政府与党が年内認可を合意した北陸新幹線金沢以西の延伸を、数日前に金沢入りした民主党幹部が「関係県と協議する」としたからだ。8日、小松市での森氏の演説会場。「民主党にだまされるな」。「建設業は壊滅」「失業者の山」。配ったチラシに扇情的な言葉が並んだ。 大型公共事業見直しなどで1・3兆円の捻出(ねんしゅつ)を宣言した民主に、県内の与党議員は「新幹線開業危うし」の大合唱で攻撃する。 民主も応じる。自民懇談会の3日後、同じ場所に座った民主・一川保夫参院議員は「もっと急げたはず。地元負担もおかしい」。総事業費1兆円(長野-金沢間)の巨大プロジェクトを前に、政策論争にはほど遠いなじり合いに終わった。 ◇ 昨年7月28日の浅野川水害で浸水被害に遭った金沢市昌永町。沖野良雄さん(7