ブックオフと出版業界 ブックオフ・ビジネスの実像 小田光雄 / ぱる出版 / 00/06/26 ★★★ これはきつい 『出版社と書店はいかにして消えていくか』の著者が、急速に成長している新古書店のフランチャイズ・チェーン「ブックオフ」について書いた本。『出版社と書店はいかにして消えていくか』は、日本の出版業界の再販制と委託制の歴史と、その歪みがもたらしている問題を解説する興味深い本だったが、「文化を担う良い本を出している中小出版社」への思い入れのあまり、そのような出版社の業績不振を読者の側に責任転嫁するピント外れの内容も持っていた。なお、『出版現実論』は、こういうタイプの主張のピントの外れ方に絶望して逆の方向に走ったが、未練が残っている、という感じの著者による本。 前著で再販制と委託制を批判していたのだから、ブックオフを擁護してもおかしくはないと思うのだが、本書は新古書店を「パラサイト」呼
倫理21 柄谷行人 / 平凡社 / 00/02/23 ★★★ ちょっと無理があるのでは 帯には「初の書き下ろし評論」とあるが、その実は講演原稿に加筆修正したもの。カントなどをもとに「倫理」と「道徳」を区別し、戦争責任などの具体的な例に「倫理」を適用しようという内容。 しかし私には、著者の思考は逆の道筋をたどったとしか思えないのである。つまり、まず最初に「批判したい対象」や「支持したい対象」があり、これに「共同体の道徳」以外の理由を見いだそうとして、「倫理」というキーワードを発見し、それを支持するような言葉をあちこちから探し集めたという経緯(まあこの手の評論は珍しくもないが、とりわけ有名なのは蓮實重彦で、あの人の場合は、大衆娯楽として見られていた西部劇や家族ドラマなどが好きな自分に困惑し、それを正当化するための屁理屈をいろいろと考えついたのだと思われる。その屁理屈を本気にしてしまった人はかな
西欧の植民地喪失と日本 オランダ領東インドの消滅と日本軍抑留所 Het Oostindisch Kampsyndroom ルディ・カウスブルック / 草思社 / 98/09/10 ★★★★★ オランダの自虐史観か! 素晴らしいエッセイ集 著者の経歴を引用。オランダの著名な評論家、エッセイスト、コラムニスト。1929年にオランダ領東インド(現インドネシア)に生まれ、42年、オランダ軍の降伏により、スマトラ島の日本軍民間人抑留所に収容される。46年、オランダ本国に引き上げる。 原著の"Het Oostindisch Kampsyndroom"(『オランダ領東インド抑留所シンドローム』)は570ページにわたる自伝的エッセイであるらしい。この訳書は、そのうちの「日本人読者向きに選び出した一四節」を訳したものである(うち1節は別の著書『再び生国の土を踏んで』からとったとのこと)。この本が(たぶん)1
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