黒田東彦日銀総裁があらゆる手段を尽くしても、残る1年の任期内にデフレ脱却を実現することは難しい状況だ。 就任直後に導入した量的・質的金融緩和による円安・株高で、一時は物価上昇への期待が高まったものの、原油価格の大幅な下落や増税に伴う消費の落ち込みによる景気低迷に阻まれた。 原油価格の回復に伴い、物価は再び上昇基調にあるが、黒田日銀が掲げる2%物価目標の達成への道のりは遠い。物価見通しの民間予想は今年0.6%、2018年は0.9%と1%を下回る。黒田総裁が続投しない限り、現行の金融政策の成否は次期総裁に託されることになる。 日銀出身のJPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは「物価に関しては完全に失敗だ。2年で達成するといっていたのが、4年たった今でも達成できていない。それどころか本当に達成できるのか相当疑わしい」と指摘。足立氏は残りわずかな任期中に黒田総裁がどのような手を打つのか見届け