食品・飲料業界を中心に希望小売価格からオープン価格に移行する動きが強まっている。昨年、ハウス食品はほぼすべての商品に、メルシャンはワインの全商品にオープン価格を導入した。ビールに関してはすでに2005年から全面的にオープン価格が始まっている。 オープン価格はメーカーが希望小売価格を設定せず、価格を小売店など流通業者に任せる制度。家電業界で値下げ競争が激化し、希望小売価格制度が崩壊したため、公正取引委員会が消費者を混乱させるとして、希望小売価格を撤廃するよう通達を出したことが契機になった。 それでは、オープン価格化で消費者は何らかのメリットを受けるのか。実はメーカーや卸売・流通業者の思惑があり、メリットどころか逆に値上げの方向に動くのだ。ビール業界の事情に詳しいジャーナリストの永井隆さんはこう語る。 「オープン価格に移行する“新取引制度”を主導したのはキリンビールだが、各社はシェア争いから始