目下ストレートに答えておきたい問題があります。しかし残念ながら、それはまだ今の私の手には余る作業です。そこで、それは置いておいて、少し回り道を書いておきます(昨晩、水村美苗『日本語が滅びるとき』買ってきたので書くかもしれません)。 この文書で私が言いたいことは、明治の文豪はまさに今、読むに足る面白さを提供しているということです。 危機から脱し続けた日本グローバリゼーションが進行しつつある現在、私たち日本人は世界的な金融と IT の波に飲み込まれるかのようです。昭和という時代を通じて国民を守ってきた国境は、その役目を終えつつあるかように見えます。日本の没落を前にして、私たちは底知れぬ恐怖と危機感に襲われています。 これを黒船来航から明治維新に喩える人があります。また先の対戦の敗戦に喩える人もありましょう。枠組みは同じです。欧米は巨大であり、その前に日本はあまりに弱く、先が見えなかったのです。
私の読書に付箋はかかせないツール。読みながら付箋をするなど邪道という方もいるが、少なくとも私の脳のスペックでは気になったところに付箋をつけておかないと、本の消化ができない。 "無印良品「透明付箋紙」はスゴ品 - Future Insight"で紹介されている付箋も確かによいが、私は同じ無印でも10mmのミニ付箋を使用している。 昔は、白、グレー、青などのもう少し落ち着いた色のシリーズがあって、そちらの方が好みだったのだが、最近は販売していないようなので上記のカラフルなやつで我慢している。 この付箋のよいところはとにかく小さいこと。文庫本に貼っても欄外で十分収まる。 また、安い上に大してかさばらないので大量に購入し、各スーツのポケットに1つ、各カバンに1つ、コートにも1つと色々なところに忍ばせておけるので、「あぁ、本は持ってきたが、付箋を持ってこなかった・・・」ということがあまりない。 紹介
吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。漫画『3月のライオン』や『ハチミツとクローバー』の作者、羽海野チカ先生について話していました。 (安東弘樹)さあ、このコーナーは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄ではいかない有名人の様々なその筋の話を聞いていきます。今日、豪さんに紹介してもらうのは、現在公開中の映画『3月のライオン』の作者、漫画家の羽海野チカさんです。まずは羽海野チカさんのあらすじとその筋をご紹介します。漫画家、羽海野チカさんは東京都足立区生まれ。グッズデザイナー、イラストレーターなどを経て2000年、美術大学を舞台にした『ハチミツとクローバー』で漫画家デビュー。デビュー作の『ハチミツとクローバー』が2005年にアニメ化。2006年には映画化。2008年にはドラマ化。しかも大ヒットしております。2007年からはヤングアニマルにて高校生棋士を主人公にした『3月のライオン』
ローマ帝国五賢帝最後の一人、マルクス・アウレリウス・アントニウスは、治世の多くを外敵との戦争に費やしたが、その陣中において、あるいは宮廷において、自分自身を省みるため、また戒めとして、ギリシア語で『自省録』を著した。これはそもそも人に見せるために書かれたものではないため、タイトルは特になく、冒頭「自分自身に」と記されてあったという。 幼い頃より培われた古典的教養に裏打ちされた深い哲学的洞察の結晶であるこの『自省録』は、後世に多大な影響を与えた。彼は、セネカやエピクテトスと並んでストア哲学者と称されるが、プラトンが夢見た、世界史上最初で、おそらく最後の哲人皇帝が、禁欲を重んじ、知識と理性を尊ぶストア哲学者であって、当時最強の権力者であるローマ皇帝として、蛮族との戦いに明け暮れなければならなかったということは、なんとも皮肉なことであると思わざるを得ない。 「もっともよい復讐の方法は自分まで同じ
日本から海外文学の灯が消える? 普段なにげなく、日本人作家の書いた小説を読んでいると、ふと「後に文豪と言われるような作家は、過去にどのような本を読んでいたのだろうか」なんてことを思ったことありませんか? え、ない? いや、ないと話が先に進みませんので、あるということにします。 著名な作家たちは、誰の作品に影響を受けたのか……もう気になって気になって仕方ないので、さっそく図書館へ…ではなくWikipediaで調べてみると、次のようなことが分かりました。 日本人で最もノーベル文学賞に近いと言われる村上春樹は高校時代にカフカを愛読し、国語教師である親に反発して外国文学を読んでいた。日本人として二人目のノーベル文学賞受賞者である大江健三郎は、英米文学からフランス文学まで幅広く愛読していたことで知られている。また、日本人初のノーベル文学賞作家である川端康成は、もともと英文学専攻で大学時代にはドストエ
村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/03/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見るこれまで村上春樹さんが訳してきた本をひとつひとつ取り上げながら(概ね70冊ぐらいかな)、本人が簡単なコメントを残していくスタイルで構成された一冊である。 簡単なといっても多いものだと800文字、少なくてもだいたい400字ぐらいはあり、そのほとんどが当時の思い出話であったり、著者と交流した際の思い出話であったり書評のような文章でなかなかに読み応えがある。僕はけっこう春樹翻訳を読んできたと思うけれども、「おお、こんなのが出てたんだなあ」と意外な一冊もあったりして、こうやってまとまってくれると拾いこぼしを防げるので大変ありがたい。 村上春樹翻訳で記憶に強く残っているのはレイモンド・カーヴァー関連の本(の中でも個人的には大聖堂)、テ
グリコ森永事件をテーマにした小説『罪の声』。発売からじわじわと火が着き、発売から半年で15万部を突破するヒット作となった。 「小説が売れない」と言われる時代に、なぜこの作品は売り上げを伸ばし続けたのか。3月31日に、その「秘密」を明かす著者初のトークイベントが開催されるが、それに先立ち、作者の塩田武士氏が本作執筆の苦悶と売るための戦略を綴ったエッセイを、特別公開する。 (イベントの詳細はこちらから→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51070) 怒りの火花が散った 冬の京都らしい、冷たい雨の落ちる日だった。 疎らに客がいるホテルのレストランで、私はしばし沈黙した後に言った。 「言っている意味が分からない」 対面に座る担当編集者が険しい表情で目を伏せた。それからまた重苦しい時間が続いた。 2015年12月23日の遅い午後。この日は本来、連載の打ち上げと軽
(Photo credit: https://pixabay.com/en/books-door-entrance-italy-colors-1655783/) この記事は一昨年のこの書籍紹介記事のアップデート版です。 相変わらず毎月のように新刊書が出続けるデータ分析業界ですが、良い本が増え続けてきたせいでついに初級者向けは6冊、中級者向けは何と15冊にまで膨れ上がってしまいました(汗)。ともあれ、自分のところにアフィリエイトの類は一銭も入らないにもかかわらず*1懲りずに書籍紹介をやろうと思います。 あ、最初に断っておきますが僕の知識レベルは極めて適当なので、極めていい加減なことを書いている可能性があります。また最初に読んでから時間が経っていて記憶があやふやなせいで、内容に関する記述が不正確な書評が混じっている可能性もあります。誤っているところやおかしいところがあったらバンバン突っ込んでく
▼Week10-#01:宮増浩『管理会計 実践入門』(日本実業出版社, 2012年) 感想:★★★☆☆ 読了:2017/03/09 ▼Week10-#02:石野雄一『道具としてのファイナンス』(日本実業出版社, 2005年) 感想:★★★★☆ 読了:2017/03/13 2017年第10週は、ファイナンス関連で2冊の入門書を読みました。実務ではファイナンスもアカウンティングも司ってはいるものの、すべて必要に迫られて実務で覚えてきたものであるので、基礎から体系だって学んだことはなく、かといってブリーリー&マイヤーズによる有名すぎる教科書『コーポレート・ファイナンス』にいきなり手を付けるのも日和ってしまい、まずは簡単な書物で概要を押さえてから、と考えました。この2冊はともに日本実業出版社の書籍ですが、同社のファイナンス関連の書籍のラインナップには、数年前に読んだ磯崎哲也さんの『起業のファイナン
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る村上春樹氏の新刊である。って僕が宣言しなくてもみな知っていると思うが、新刊なのは確かである。読む人は読むし、読まない人は読まないだろう。つまり僕が紹介する意味もあまりないから、振り返りながらざっくりとした感想を書いてみたい。 簡単に全体を通しての感想を先に述べておくと、前回の長篇『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』からは4年、より本格的な長篇『1Q84』からはおおむね7年ということで、久々に村上春樹によるガッツリとした物語を読めたなという満足感
村上春樹の最新長編小説『騎士団長殺し』の感想を書く。物語の核心に触れないよう細心の注意を払うけど(つまり、まだ読んでない人が目にしても大丈夫なように書くけど)、とはいえ「何も知らない状態で『騎士団長殺し』を読みたいんだッ!」という人にはこの感想はスルーしてもらったほうがいいと思う。本を読み終わったらまたブログを読みに来てください。 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/02/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る ある時点に戻ってひとつの間違いを修正できたとしても まず読み終わって最初に思ってしまったのは、村上春樹ももう68歳、作家
都築響一 1956年、東京生まれ。76年から86年までポパイ、ブルータス誌で現代美術、建築、デザイン、都市生活などの記事をおもに担当する。89年から92年にかけて、1980年代の世界の現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆活動、書籍編集を続けている。1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。1996年発売の『ROADSIDE JAPAN』で第23回・木村伊兵衛賞受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中である。 僕の感覚でいうと、日本の一割くらいが都市で、田舎が3割くらい。あとは郊外という感じがします。人口密度がどうとかではなくて、文化が郊外型というところが6割くらい。郊外型の文化なり日常なりというのは、今の日本で一番大きいものですよね。商店街じ
読み始めたら、徹夜を覚悟する小説がある。 いきなり心臓をワシ掴みにされたり、直感が大好物だと告げたり、いくらも読まないのに、「これは当たりだ!」と小躍りしたくなる。 嬉しいことに、この予感は高確率で当たる。だが恐ろしいことに、それは高確率で平日の夜だったりする。ここでは、翌日の寝不足を犠牲にして掘り当てた、「徹夜保証の小説=徹夜小説」を紹介する。 ただし、2つだけ約束してほしい。ひとつめ、複数巻に渡るものは、全巻そろえてから読み始めること。上巻だけ買えばいいなんて甘く見てると、サクっと読みきってしまい、翌朝まで禁断症状に苦しむことになるだろう。ふたつめ、明日の予定がない夜に読み始めること。さもなくば、寝不足の頭を抱える破目になるだろう。2つとも経験したから言える、読み始めたら最後、絶対寝かせてくれない。だから約束だぞ。 『ガダラの豚』中島らも 2ちゃんねらが絶賛してたので、うっかり手にして
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術 作者:山口 周出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2015/10/20メディア: Kindle版わたしも「読書」には一家言ある人間である。 だからこそ痺れた。 運命の1冊と言って良い。 著者の主張は色々あるが、一人の本好きとしても、同じコンサルタントとしても、いちいち納得できるものばかりである。その中でもわたしが特に感銘を受けたのが、教養書を読むための「三度読み」と、ビジネス書を読むための「ビジネス書マンダラ」という考え方である。 まず教養書について。 著者は、本は使い倒してナンボという考え方である。だから何度も読むことを推奨する。また「哲学」「歴史」「心理学」「医学・生理学・脳科学」「工学(含コンピューターサイエンス)」「生物学」「文化人類学」の7領域を教養書の分類とするが、教養書の場合はいつどこで役に立つかはわからないし、そも
決められないのは分かっている。それでもやりたくなってしまうのが、本読みの性。 今年も2016年最高の一冊を決めるコーナーがやってきた。 とにもかくにも、今年はノンフィクションの当たり年だったと思う。次々から次へと読み切れないくらいの良書が発売され、積ん読の山を前に呆然と立ち尽くす日を何度迎えたことだろうか。 そんな中、HONZ発で多くのヒット作品を世に知らしめることができたのも嬉しい限りである。それはひとえにHONZというサイトが本を売っているのではなく、読書体験を売っているからだと自負している。 メンバー達の連なりも、また一つの読書体験と言えるだろう。今年はメンバー達の2016年最高の一冊を、性格タイプ別に紹介していきたい。 まず最初のページは、自らが今年HONZで紹介した本を再びこちらにも持ってきたタイプの人たちだ。良く言えばブレない人たち、悪く言えば普通な人たち。ただし、元々選んでい
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