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このブログのあとがき愛読もようやく10回目。それを記念し、今年没後10年の網野善彦を取り上げたいと思う*1。 無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 (平凡社ライブラリー (150)) 作者: 網野善彦 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 1996/06 メディア: 新書 購入: 4人 クリック: 50回 この商品を含むブログ (92件) を見る 「作家の言葉を信じるな」という金言を耳にした。 曰く、作品を研究するにあたり、作家自身の言葉に振り回されすぎるな、ということらしい。 その好例が近世洋画の祖、司馬江漢だろう。 彼は、長崎にてオランダ人イサーク・ティチングから画帖を送られ、それで西洋画をマスターしたと自ら称しており、一昔前の辞典類に「江漢はオランダ人から洋画を学んだ」と記載されていたのもこれが根拠だったという。 しかし研究者らがよく調べたところ、そのオランダ人が滞日時期と江漢が長崎
皆さま、こんにちは。メディア事業部のまゆです。だんだんと肌寒い日が多くなってきましたね。夏バテで毎年天に召されそうになっていた私にとっては、待ちわびた季節がやってきました。 さて、秋といえば読書の秋、食欲の秋、芸術の秋などといった有名な言葉がありますが、今回は本好きにはたまらない、本を読みたくなる便利な書籍関連サイト8選+αをご紹介させていただきます。 本好きの人に役立つサイト8選 まずは、本を読んだり、借りたり、探したりなど、本好きの人にはとても役立つサイトを8つ紹介させていただきます。 1. カーリル https://calil.jp/ 「日本最大の図書館検蔵書検索サイト」として、全国の図書館からリアルタイムで貸出状況を確認することができるサイトです。 「読みたいリスト」というサービス(別途登録が必要)を使えば、図書館に行くときに読みたい本の貸出状況をまとめて確認することができます。
私の課題図書的読書リスト 言葉と考え方の本 一冊だけレビュー 難しげな本「若さにまかせて読破せよ(4~11)」 教養としてのサイエンス(12~27) フィクションの鉄板 私の課題図書的読書リスト 秋の夜長に読書タイムを繰り広げるための読書ネタです。 有名ブログ『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』で特集される本は私にとって、人生の課題図書的な扱いになっています。たくさん記事はあれど今年の6月に見かけて以来、ちょっとずつ追いかけているこちらの記事。追いかけっぷりをメモっておきます。 大学教師が新入生に薦める100冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる 題名からして「新入生のうちに読んどけよ」って自己ツッコミが止まらないわけなんですが、人生で「今日」より若い日はないのだ、と自分を慰めつつせっせと本を探しています。 ここでは基本的に私の未読本をメモ。既読本はスル
2014.07.25 インタビューほか 鹿島茂×佐藤亜紀 対談「パリの下半身と魅惑の地下世界」 「本の話」編集部 (文學界 2014年7月号より) パリを舞台に、バルザックや実在の人物たちが地上で地下で大冒険を繰り広げる、鹿島茂氏の新刊『モンフォーコンの鼠』。「危険思想」集団同士の抗争、広がる地下社会、巨大化した鼠など、博覧強記の鹿島氏が書き上げためくるめく小説世界――パリの歴史と文学に造詣が深い佐藤亜紀氏との対話で「モンフォーコン」の秘密に迫る! 『モンフォーコンの鼠』(鹿島茂 著)佐藤 『モンフォーコンの鼠』、非常に面白かったです。バルザックの作品群を土台に、ジャン・ヴァルジャンやジャヴェール警部が出てきたりと『レ・ミゼラブル』の世界とも接続しながら、バルザックの『十三人組物語』を当のバルザックたちが再現していくメタテクスト風になり、そのまま怒濤の冒険小説的展開に。文学の仕掛けをきちん
ずいぶん久々の更新になりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか? 小生の方は、ぼちぼちと探求していた本をブックオフやら古書店街で発見し、いくつか憑き物が取れました。引き続き帯の状態の良いもの、栞だけクエストなど、なかなかにしんどくなってきました。 古い中公新書の方は、ぼちぼちと神保町の棚から発見して購入している。いかんせん見つからないのが変色してしまった帯の本たち。ブックオフ等新古書店を見ているものの、こちらはタイミングや保存の問題でなかなか見つからない。帯が蛍光系と青色系の帯が実は曲者で、なかなか良い状態のものに巡り合わない。 コレクター道は山を越えると次の山が待っていて、次は何を集めるか考えるのだが、いまのところまだまだ時間がかかりそうなので、中公新書初版帯(あるいは栞)クエストは当面続きそうである。引き続き情報をお待ちしております(探求書リストを更新しました)。>https://
2014年春に家具販売店「IKEA(イケア)」がオープンし、2015年には大型ショッピングモール「ららぽーと」が開業の予定。立川はここ10年ほどで急速に発展し、さらなる進化が期待される東京西部の中心都市だ。今回取材するのは、1日の乗降客数が15万人を超えるビッグターミナル、立川駅を中心に20店舗ほどを展開する中堅チェーン書店、オリオン書房ノルテ店。オリオン書房は「北」を意味する「ノルテ」店の他、南口側のサザン店、駅のファッションビルに入るルミネ店、文具・雑貨・書籍セレクトショップのパピルス店など、個性的なお店が多い。中でもノルテ店は、東京西部地域で一番の規模を誇る旗艦店となる。 文芸担当の辻内千織さんによると、ノルテ店の商圏は広い。特に中央線沿線では、東は吉祥寺と商圏を分け合い、西は山梨県内からのお客様もあるという。八王子や多摩センターが競合といえば競合だが、品揃えなら負けない。探している
ドカ読み上等!若さに任せて読みふけろ、読むべき本を読み干すべし。 このリストは、以下の4500冊超の中から、読むべき100冊を選んだもの。だから、「大学新入生に薦める」というより、若かったわたしに読ませたいリストであり、もう若くないわたしが読むべきリストなのだ。しょうもない新刊ばかり追いかけて踊らされているわたしの目を覚まし、叱咤激励するリストなのだ。 書籍『東大教師が新入生にすすめる本』文藝春秋編 書籍『東大教師が新入生にすすめる本<2>』文藝春秋編 書籍『教養のためのブックガイド』小林康夫ほか 書籍『大学新入生に薦める101冊の本』広島大学101冊の本プロジェクト編 書籍『大学新入生に薦める101冊の本 新版』広島大学101冊の本委員会編 書籍『必読書150』柄谷行人ほか サイト[東京大学 学科別 分類による推薦図書] サイト[本は脳を育てる 北大教員による新入生への推薦図書] TV番
アントニオ・タブッキ『レクイエム』に、登場人物がリスボンの美術館でヒエロニムス・ボッシュ『聖アントニヌスの誘惑』を眺めるシーンがある。はじめて本書を読んだとき、ボッシュも『聖アントニヌスの誘惑』も知らなかったわたしは、これほどまでに登場人物を惹きつけてやまぬ美術とはいかほどのものなのか、想像することも難しかった。 そしてとうとう、本物を見てきた。本物はわたしが想像していたよりずっと小さかったが、取り憑かれたようにみいってしまう平面の魔物だった。なんという脳髄の快楽。そしてわたしは思ったのだった、ヨーロッパの文学を読むなら、それを育んできた大伽藍である西洋絵画のことを知れば、もっと楽しめるのではないかと。 その予感は当たっていて、新しい小説を読んでいるときのように楽しい(わたしにとってこれは最高の褒め言葉である)。この1か月に読んだ本のうち、おもしろかった本を紹介する。 奇想に満ちた聖書とギ
何のために本を読むのかと聞かれたら、書くためだと答える。何のために書くのかと聞かれたら、知るためだと答える。何のために知るのかと聞かれたら、考えるためだと答える。答えは用意してあるのだが、聞かれたことは一度もない。 東京大学教授による『教養のためのブックガイド』が面白かった。 発起人の小林康夫教授は、学生が本を読まなくなったと嘆く。教養がないと会話ができない、自分で道を切り開くことができない、本は考える力を養うためにある。そんな思いを伝えるために、このガイドブックが企画された。 本書に登場する370冊のうち、私が気になったのはこちらの50冊。 第一部 いま、教養とは? カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) 作者: ドストエフスキー,原卓也出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1978/07/20メディア: 文庫購入: 43人 クリック: 1,142回この商品を含むブログ (313件) を見
私はよくこのブログで、書評のような感想文のような、得体の知れないものを書いています。*1 そんな中で先日、内田樹の『村上春樹にご用心』を読んでいる途中で、書評に関して「おお、これだ!」と思う表現に出会いました。孫引きになりますが、ちょっと引用してみます。村上春樹の文章です。 筋をずらずらと書いてしまう書評って困ったものですね。とくに結末まで書いてしまうというのは問題があります。(……)一般論で言って、書評というのは人々の食欲をそそるものであるべきだと、僕は思うんです。たとえそれが否定的なものであったとしても、「ここまでひどく言われるのならどんなものだかちょっと読んでみよう」くらい思わせるものであってほしい。それが書評家の芸ではないでしょうか。 『少年カフカ』p,232*2 書評のゴールはどこにある? 私自身たいした書評が書けるわけではないので、「書評の書き方とは!」なんて教えられる身分では
「村上春樹の小説がどうも好かん」という方に、たまに出くわします。 一方私は、けっこうな村上ファンです。長編小説はすべて読んでおり、短編小説も一部をのぞいてほとんど読んでいます。エッセイもたくさん持っています。 ただし、村上ファンであることを公言するとアンチ村上派に鼻で笑われるので、最近は「村上春樹が好き」であることを、あまり表立って言わないようにしています。 (表立って言えないので、ブログに書いています……。) 村上肯定派も、アンチ派も、この方の小説に関しては、いろいろと言いたいことがあるもよう。 アンチ派の意見として代表的なのは、Amazonの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のレビューで★1の評価をつけている、ドリーさんのようなものでしょうか。 Amazon.co.jp: ドリーさんのプロフィール: レビュー このドリーさんのレビューは大変面白くて、ファンである私も、思わず吹
前に岩波文庫の青帯で西洋思想がどこまで読めるかのリストを作った。 ここまで読める、連れて歩ける→岩波文庫青帯で読める西洋思想の基本書70冊 読書猿Classic: between / beyond readers あの時除け者にされた岩波文庫 白帯に光を当てるのと、いっそ文庫なら岩波に拘らず、社会科学の古典がどこまで読めるかやってみた。 社会科学というのが、それから古典というのが、いったいどこからどこまでを指して言うのか、異論はもちろんあり得る。が、みんなが納得いくものができないからといって何もやらないというのは本末転倒である、と尊敬する生徒会長も言っていることだし、リストを始めよう。 (関連記事) ・言われなくても読んでおくべき岩波新書青版をオススメ順に力の限り紹介する 読書猿Classic: between / beyond readers ・一人で読めて大抵のことは載っている教科書(
ギンズバーグによって書かれた本書『チーズとうじ虫―― 16世紀の一粉挽屋の世界像 (始まりの本)』は1976年に出版された。かつて「国王たちの事跡」しか知ろうとしないといって批判された歴史家とは違い、もっと注目されていなかった、忘れ去られそもそもの存在を知られていなかったような16世紀の「市民」に焦点を当てて書かれた一冊。 基本的に歴史は勝者によって記される。文字を残すのはいつだって歴史の勝利者だった。また中世において生き残った証拠、資料は司祭たちによって書かれ、司祭たちは検閲をコントロールしていたたため信仰の時代であるかのように見える。そうした時代にあって「普通の人々」が何を考えていたのかを知るのはなかなかに困難である。 そうした歴史への抵抗として書かれたものとしては100のモノが語る世界の歴史1: 文明の誕生 - 基本読書 など、モノに注目した世界史などもあるが、本書はいくつかの例外と
善次郎は、力の限り走っていた。 右胸と顔を刺されてなお、生きることを諦めてはいなかった。 迫り来る死の恐怖を振り払いながら、彼はどこへ向かおうとしたのだろう。 薄れ行く意識に抗って、彼は何を考えていたのだろう。 80歳を超えた老体とは思えない懸命の走りも、暴漢の追撃を振り切ることはできず、背後から咽頭部を切りつけられた銀行王・安田善次郎は、82年の人生に幕を閉じることとなる。100歳まで生きたとしても完遂できないほどの事業計画と、2億円を超える資産を残して。 善次郎が亡くなった1921年の日本の国家予算は15億9100万円。つまり、彼はたった一代で、国家予算の10%以上の資産を築いたことになる。単純比較はできないが、現在の国家予算(約92.6兆円)を基準に考えると、善次郎がいかに稼ぎまくったのかが想像できる。 富山の下級武士家庭で生まれ育った彼は、どのようにしてこれほどのお金を稼いだのか。
ゆうべ遅くにアパートの管理会社から、お宅の階下の部屋の天井から水漏れがあるとの苦情があったのだが、何か変ったことはないかと電話が入った。特にないと答えると、とりあえず明日様子を見に行かせてとのこと。漏られてる部屋の人はたまらんだろうな。急遽休みをもらい待機中である。まあこういう状況で物事がチャッチャ進むということは経験上皆無で、午前中には伺いますといいながら、なかなか来ない業者を待っているところ。落ち着かない。 「ピース又吉がむさぼり読む新潮文庫20冊」フェア展開中の又吉直樹『第2図書係補佐』を今頃になって読んでいる。ずいぶん前に話題になったときに読みそびれていたのを、たまたま「ブ」で見つけたので。書評ではなくその本にまつわる思い出を綴ったもので、肝心の本はそれぞれのエッセイのラスト数行でちょこっと触れる程度のものが多い。でもそれがなぜか楽しい。 映画に関するコラムをまとめた山田稔の『シネ
忙しい読者のために今日の記事を要約すれば 「ナボコフの文学講義が文庫になった。すばらしい本だから、とにかく読め」 である。 しかしこれだけでは何も伝わらない自信がある。 これだけでうなずいてくれる人はそもそも、ナボコフの文学講義が文庫になったことなど、読書猿に言われるまでもなくご存知だろう。 というか、ナボコフの『ヨーロッパ文学講義 』も『ロシア文学講義』も『ナボコフのドン・キホーテ講義』も、とっくの昔に読んでいるだろう。 だからオススメする相手は、別の人たちである。 そんな訳で、いくつかのバージョンを書いてみた。それぞれは独立して読めるはずである。 成功している気がしないのは仕方がないが、それでも「こんな本があるなんて、どうしてもっと早く教えてくれないんだ」という批判は回避できると思う。 ちゃんと言ったからな。 ※『ナボコフの文学講義 上/下』(河出文庫)は、『ヨーロッパ文学講義』(ティ
あなたは「三種の神器」が何か、知っているだろうか。“サラリーマンの三種の神器”とか“セクシー小悪魔の三種の神器”のような慣用句ではなく、天皇を天皇たらしめるための3つの品物のことだ。確か、剣と鏡と宝玉だったような…ぐらいは知っていて欲しいが、難しいかもしれない。 本書は第125代の今上天皇、明仁まで代々受け継がれてきた三種の神器について、いつ、どのように、なぜそうなったのか。そしてそれらは今、どうなっているのかを古事記、日本書紀、その他の地方風土記を資料に謎を解き明かしていく。著者は神職の資格を持つ作家で、私は数年前に『ヒルコ 棄てられた謎の神』を読んでから常に新刊をチェックする書き手となった。古代史というと、あまりにも遥か彼方の出来事で寓話のようにしか思っていなかったが、この本でイザナギ、イザナミを始めとした神々に対して生身の人間を感じ、きちんと学んでいきたいと思うようになったのだ。 さ
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