前に読んだ、黒澤良『内務省の政治史』に参考文献としてあがっていたことから知った本。1974年出版の古い本ながら非常に面白いですね。 1905年から1915年にかけて、原敬が政友会を躍進させた10年間を分析した本で、副題が「政治技術の巨匠」となっているように、原がいかなる手練手管をもって政友会という組織を成長させたか、そして政党嫌いの山県有朋にその政友会と原という政治家の存在を認めさせることができたのか、といった部分に焦点を当てています。 ここ最近、日本の政治史において、政友会よりも民政党(憲政会)を評価する本が多い印象があります(例えば、坂野潤治『日本近代史』などでは露骨に政友会を低く、民政党を高く評価している)。確かに、田中義一以降の昭和の政友会というのは、「民主主義の足を引っ張った」部分も多く、評価できる部分は少ないかもしれません。また、「我田引鉄」と呼ばれた政友会の利益誘導政治も、自
■政党政治を考えるきっかけに 原稿は、半世紀前に出来ていた。 首相として金解禁や軍縮を行い、1930(昭和5)年に東京駅で狙撃され、「男子の本懐」と言った濱口雄幸。その生涯をたどった。 もとは、政治学者・丸山眞男の父で新聞記者の丸山幹治(かんじ)が、濱口家から評伝執筆を頼まれ、取材を進めていた。だが老衰のため、眞男の教え子で大学院生だった今井さんがひきついだ。今井さんは、幹治の取材メモ、濱口の日記、枢密院や海軍などの未公開史料にも広くあたり、原稿用紙千枚以上にまとめた。「丸山眞男さんは、文章のアクセントのつけ方など、手を入れてくれました」 50年代後半、完成稿を濱口家に渡したが、幹治の死去もあって刊行には至らなかった。今井さんは日本近代政治史の研究を続け、横浜市立大教授などを歴任する。 2006年に出た『丸山眞男回顧談』で、この原稿のことを知った編集者が今井さんに連絡。今こそ読まれるべきだ
『丸山眞男手帖』68(2014.1)に掲載された高木博義「「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」断想」を読んだ。丸山眞男「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」は『‘60』第14号(1989.3)に掲載された。『’60』は、日米安保の1960年に丸山の東大法学部での講義「東洋政治思想史」を聴いた学生有志のクラス会「60年の会」の会誌。高木は、1989年2月初めの寒い夜、吉祥寺東町にある丸山宅を訪れ、この原稿をいただいた方である。 この『‘60』は非売品であるが、私はこの「回想」は、確か石井和夫(東大出版会名誉顧問、『日本政治思想史研究』の編集担当者および門倉弘(東大出版会元編集者、『丸山眞男講義録』編集担当者、1月15日逝去)を通して、そのコピーを同年1989年の初夏にもらって読んだ覚えがある。 この「回想」の最終段落は、1946年3月22日の自身の誕生日の日付を末尾に記した丸山「超国家主義の論理と
はじまりの政治思想講義! この社会の起源には何があったのか。ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズの議論を精密かつ大胆に読みなおし、近代の中心的思想を今に蘇らせる清冽な入門書! シリーズ:ちくま新書 1,012円(税込) Cコード:0210 整理番号:1039 刊行日: 2013/11/05 ※発売日は地域・書店によって 前後する場合があります 判型:新書判 ページ数:304 ISBN:978-4-480-06742-5 JANコード:9784480067425 購入 オモダ ソノエ 1968年兵庫県西宮市生まれ。早稲田大学政治経済学部、日本開発銀行を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。現在、明治大学政治経済学部教授。専門は、現代思想・政治思想史。フーコーの思想を、とりわけ「権力」や「統治」といった主題を中心に研究する。また、社会科学・人間科学への統計の応用史を掘り下げ、
戦後体制の分岐点に現れた幸福実現党。 政治学の権威が、その意味を分析。 著者の大学時代のゼミ担当教授が語った、日本の政治の「これまで」と「これから」。 「幸福実現党」は、自民党の先にある、「未来型政権政党」である。真実の正論によるユートピア政治を実現してみたい。今は「孔子の政治学」のように実際性が足りないと思われて、机上の空論と見ている人も多かろうが、「私の言葉の上に未来は築かれる」と信じている。 (大川隆法「あとがき」より) ◇◇ 霊言・守護霊霊言とは ◇◇ 「霊言現象」とは、あの世の霊存在の言葉を語り下ろす現象のことをいう。これは高度な悟りを開いた者に特有のものであり、「霊媒現象」(トランス状態になって意識を失い、霊が一方的にしゃべる現象)とは異なる。外国人霊の霊言の場合には、霊言現象を行う者の言語中枢から、必要な言葉を選び出し、日本語で語ることも可能である。 また、人間の魂は原則とし
1979年(昭和54年)東京都出身[1]。「郁夫」という名前は大正デモクラシー期の政治学者である大山郁夫から由来しているという[2]。 2002年(平成14年)に上智大学法学部を卒業し、2010年(平成22年)に東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了する。学位論文は「世界政治と規範変容 重債務貧困国の債務救済における国際規範形成をめぐって」であり、博士(学術)を取得する[3]。 2010年(平成22年)に立教大学法学部助教、2012年(平成24年)に高千穂大学准教授、2016年(平成28年)から同大学教授を務める。また、2010年(平成22年)から2021年(令和3年)3月まで国際基督教大学社会科学研究所で研究員を務めた[4]。 2013年(平成25年)12月2日には、2013ユーキャン新語・流行語大賞トップテンに「ヘイトスピーチ」がランクインしたことで、「その「ことば」に深くかかわった
ISBN: 9784000258999 発売⽇: 2013/04/01 サイズ: 20cm/473,15p 統合の終焉―EUの実像と論理 [著]遠藤乾 昨秋、欧州連合(EU)加盟国の対外文化機関の連合体であるEUNICの本部(ブリュッセル)を訪れる機会があった。ときはユーロ危機の真っただ中。EUへの悲観論が支配的だった頃だ。 ところがスタッフは意にも介していないようで、いたって楽観的。すっかり拍子抜けしてしまうと同時に、EUという存在の捉(とら)えにくさを改めて実感した。今も英国がEU脱退を検討する一方、来月にはクロアチアが新たに加盟する。 EUを動かしている運動律=論理とは一体何なのか。 EUの形成過程からその実像、思想的含意までを精査しながら、著者は「欧州合衆国」のような大文字の「統合」はもはや望むべくもないものの、EU以前の世界に戻れないほど小文字の「統合」が進んでいると説く。 曰(
ゼミでしゃべったことをもとに。 ================== 中江兆民『三酔人経綸問答』という本の切迫感とアクチュアリティを支えているのはその独特の問答体、三人のキャラクターが、それぞれある程度一貫した政治思想的なスタンスのみならず、人格的な個性、肉体的な息遣いまでをも割り振られ、論争を繰り広げるという体裁である。これはたとえば丸山真男が指摘している通り、世界的にのみならず、日本の思想史上もいくつかの先例を見つけることができるスタイルであるが、その中でもある種の突出性を帯びている。 複数の登場人物のうちの特定の一人、主人公格のキャラクターが、著者自身の思想を仮託され、他のキャラクターたちはこの主人公、すなわちは思想家としての著者自身に対する(仮想)論敵としてありうべき疑問、反論を突き付け、それに対して主人公が応じる、というスタイルは、ひとつのありふれたパターンである。はなはだしい場
自民党の憲法草案をめぐって、同党の内部でも異論があるようだ。詳しくはこちら。 憲法に「家族の助け合い」を入れるべきか?自民党改憲草案に河野太郎議員が反論 憲法をめぐっては、9条や96条などの様々な争点が存在するが、ここでは少し違った角度から、この問題について考えてみたい。 勝者が正義をつくるのか 「正義」という概念がある。よく言われるのが、「勝った奴が正義だ!」みたいな話。たとえば、人気マンガ『ワンピース』ではこんなシーンがある。 巨大な戦力を誇る大海賊と海軍との戦争が始まる。むろん、それぞれに「正しさ」がある。一方においては、捕らえられた仲間を助けるという正しさ、もう一方には秩序を守るという正しさ。そんななかで、登場人物の一人、ドフラミンゴは次のように叫ぶ。(誰に向かって叫んでいるのかは謎である。たぶん読者であろう) 海賊が悪!?海軍が正義!?そんなものはいくらでも塗り替えられてきた…!
※記事に追記しました(2013.6.19.) つい昨日ですが、ツイッター上で長谷川晴生(@hhasegawa)氏の以下のコメントに接しました。 平泉澄「私はプロレスが好きでね。猪木がさんざん負けて、これはあかんかと思うと、彼は逆転する。それは何とも言えぬ楽しみですわ。」内容面もさることながらこの発言に目が留まらざるを得ない。そして維新の会へ。 / “平泉澄と仁科芳雄と石井…” htn.to/PHYGYj — hhasegawaさん (@hhasegawa) 2013年6月6日 ここで紹介されているのは、『「皇国史観」という問題 十五年戦争期における文部省の修史事業と思想統制政策』『地図から消えた島々 幻の日本領と南洋探検家たち』を著された(小生もどちらも読みたいとかねてから思っているのですが、いまだに果たせていないのは残念でなりません)長谷川亮一氏のブログ「日夜困惑日記@望夢楼」の、以下の
1 はじめに――ゾルゲ=尾崎グループの国際的広がり ソ連赤軍第4部諜報員リヒアルト・ゾルゲと日本の朝日新聞記者・近衛内閣嘱託尾崎秀実を中心としたグループ「ラムゼイ機関」は、満州・中国侵略を続ける日本軍国主義に対するソ連赤軍、コミンテルン=世界共産党の諜報工作に携わったとされている。当時の情報戦における最大の功績は、1941年6月のドイツ軍のソ連侵攻を事前にモスクワに打電し、また日本の天皇が臨席した1941年夏の御前会議で、日本が北進政策(満州からソ連への侵攻)ではなく南進政策(中国から東南アジアへの侵攻)を採った決定を伝えて、ソ連軍の対独戦への軍事力集中を可能にしたことだとされている。アメリカのあるインターネット・サイトには、ゾルゲについてのさまざまな歴史的評価が集められている。曰く、「スパイの中のスパイ」「世界を変えた男」「スターリンのジェームズ・ボンド」等々。 確かに1941年
【今日の言葉】 「学術的」とは別の言葉で言えば「批判的」とも言えるだろう。 (長谷川修一「聖書考古学」) 【読書日記】 こんばんは。ともです。 今日は、木庭顕「デモクラシーの古典的基礎」「法存立の歴史的基盤」を解釈した地点から、―いわば「斜め後ろ」から―、憲法96条を読んでみたいと思います。あくまで私の「解釈」ですので、みなさまは「批判的」にお読みください。 ■憲法96条を素直に読んでみる まず、素直に条文を読んでみましょう。 日本国憲法 第9章 改正 第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこ
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