◇自衛隊が前面、米に覚悟示す 晴れ渡る空に陸上自衛隊の大型輸送ヘリCH47が2機、巨大なバケツ(容量7・5トン)をつり下げて仙台市の陸自霞目(かすみのめ)駐屯地を飛び立ったのは、東日本大震災6日後の3月17日朝だった。東京電力福島第1原発3号機からは白煙が上がる。使用済み核燃料プールの水が沸騰した放射性水蒸気だ。海水をくんで放水し、プールを冷やす前代未聞の作戦だった。 「炉心溶融が進行していれば、放水によって水蒸気爆発を起こすおそれもある」。菅直人首相らは「最悪のシナリオ」を危惧し、防衛省は搭乗隊員向けにできる限りの防護策をとった。放射線を極力遮断するため戦闘用防護衣の下に鉛製ベストを着込み、床部にはタングステン板を敷き詰めた。原発上空に停止せず、横切りながら放水する方式とした。 「ヘリ放水開始」。午前9時48分、テレビ画像のテロップとともに映像は世界に生中継された。計4回(計約30トン)