原爆投下からほぼ10年間、つまり昭和20年代に重なる年月を被爆者は「空白の10年」と呼ぶ。文字通り、公的な援護制度や政策もなく、被爆者たちを差別や偏見にさらされるままにした10年であり、当時最も支援を必要とした人たちが次々に亡くなった。 それまでの「空白の10年」の実態を今のうちに被爆者から聞き取り記録しておきたい。そう願い、広島県原爆被害者団体協議会が昨年から3年計画で調査を進めている。その第1段階のアンケート結果が最近まとまった。回答者は県内の生存被爆者のうち7096人。被爆時に胎児から30代だった人にまでわたり、被爆後10年の記憶に限定して尋ねた。 まあ、それに異論があるわけでもないが。 この空白には米国側に資料がけっこうあるはずで、それはどの程度研究されているのだろう。頭がぼうっとしているからというのを弁解に放言すると、日本の原爆はジェノサイドだったよというのはさすがに放言が過ぎて