物品の売買に関するルール、売主と買主の責任、親族や相続に関する取り決めなど、私たちの仕事や生活に密接に関係する「民法」の改正案が、2017年5月26日に成立した。 民法の改正は、IT業界にも大きな影響を与える。システム開発委託時の契約内容や、その際に発生するユーザー企業とITベンダーの責任範囲などが変わるからだ。これまでの商慣習や契約慣行を見直す必要が出てくる。 負うべき責任範囲や期間が変わる 民法改正について詳しく説明する前に、まずはシステム開発の現場で起きる影響の一例を紹介しよう。 あるユーザー企業がITベンダーにシステム開発を委託したところ、プログラム上の欠陥が潜んでいた。ユーザー企業はそれに気付かず、検収を終えて使い始めていたとする。 現在の民法(以下、現行法)の場合、無償で欠陥の修正を依頼したり、修正にかかった費用負担をITベンダーに求めたりするには、システムの引き渡しから1年以