机の上には古い手紙や落語会のプログラムなどの貴重な資料が次々と並んだ。落語研究家、小澤紘司さん(72)は、平成27年に亡くなった落語家で人間国宝の桂米朝さんと50年以上の親交があった。落語の魅力を次世代につなぐ活動に取り組んでいる。(荒木利宏) 米朝さんの貴重な資料をまとめる 「桂米朝さんからもらった手紙やはがきはすべて保存している。私が出した手紙も米朝さんの家から出てこないかな、と思っているんですがね」 小澤さんはそう言って笑った。 米朝さんが文化勲章を受章した21年以降、各地で開催された「米朝展」の資料構成を担当。尼崎市の米朝さんの自宅に赴き、時には泊まり込んで資料整理にあたることもあったという。 「師匠の四代目桂米團治が米朝さんに上方落語の将来を託した手紙や、自身の独演会の記録をまとめたノートなど、貴重な資料がたくさん出てきた。これらを整理し、次世代の研究者が参照しやすい形にまとめる