作品の看板を背負う主演俳優にとって、求められる役割を全うすることが第一だ。一方で、「期待に違わぬ働き」と、「殻を打ち破る仕事」は相反しやすいのも事実。つまり、存在の大きな役者であればあるほど作品の都度マンネリと戦うことになる。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。 * * * 夏ドラマが続々とスタート。中でも注目の一作が、ヒットメーカー・野島伸司脚本、石原さとみ主演の『高嶺の花』(日本テレビ系水曜午後10時)。視聴者の高い期待を反映してか、初回平均視聴率は11.1%と二桁台の好スタートを切りました。 物語は……名門華道の月島家に長女として生まれた、もも(石原さとみ)が主人公。いわゆる「お嬢様」で美貌と華道の才能を兼ね備える一方、その名にそぐわないアクティブさ、天衣無縫な行動をとる一面も。また、結婚直前に婚約者から裏切られて自律神経失調症になり、味覚障害を抱え