出版状況クロニクル25(2010年5月1日〜5月31日) 今月の出版業界に関する報道はあきれるほどiPadと電子書籍問題一色に染められ、それはまだ続いていくのだろう。 だが本クロニクル24でも書いておいたように、これらの報道は現在の出版業界の危機の本質を隠蔽、ミスリードしかねない狂騒曲と見なすべきだろう。 1989年の消費税導入に際し、ほとんどの商品が外税となった。出版業界は同じような狂騒の果てに、内税方式を採用するという失策を犯したことを忘れるべきではない。 この5月は経済不況、大型連休、天候不順も重なり、スーパーやコンビニは売上不振だった。書店も例外ではないはずだ。電子リーダー狂騒曲の背後で、出版危機はさらに深刻化し、今年上半期の終わりを迎えようとしている。それでも今月はいくつかの電子書籍をめぐる話から始めるしかないだろう。 1.『中央公論』6月号が特集「活字メディアが消える日」を組み